2006年01月04日 旧法と新法に基づく治水計画の違い (カテゴリー: 法律・制度 , 八ッ場(やんば)ダム )
先に、旧河川法に基づいた治水計画と新河川法に基づいた治水計画でどんな違いが出たのかを整理しておきます。
以前、八ッ場ダム・ファクトシート で書いたように、
旧法に基づく治水計画(工事実施基本計画と言いました)は、
利根川の基本高水(ダムなどがない場合に流れる洪水の流量)は、22,000トン
●そのうち、16,000トンを河川改修と利根川放水路
●残りの6,000トンを上流ダム群で対処することになっていました。
そこで次のように批判をしました。
●戦前からの「利根川放水路」=計画は影も形もなし(=土地利用上は不可能)
●現在、既存のダム6つと八ツ場ダムができたとして1600トンしか手当てできないのに、6,000トンを上流ダム群で手当てするとしたら、あと4,400トンはどうするのか?単純計算であと12の上流ダム群必要になる。不可能、非現実的ではないか?
それが新法に基づく治水計画(河川整備基本方針と言います)でどうなったかと言うと、
●案の定、誰が見ても非現実的な利根川方水路は、消滅しました。
●そして「16,000トンを河川改修と利根川放水路」だったのが、今度は「16.500トンを河川改修と利根川方水路の代替」となりました。代替とは、印旛沼を洪水調整池として活用することです。また、河川改修と印旛沼活用で500トン増やした分、上流ダム群への依存度が500トン減りました。
つまり、基本高水22,000トンを変えずに、旧法→新法 で、
●河道で治水する量が、16,000トン→16.500トン
●利根川方水路建設→印旛沼の活用
●上流ダム群6000トン→「洪水調節施設」という表現になって5500トン
と3つの大きな変化があったわけです。
審議委員たちはこの変化に対し
・「幻の利根川方水路が消えた」ことを幾分楽しそうに評し
・下流で手当てする500トン分の増加分を「堤防に負担をかけることになる」と顔をしかめて見せ
・印旛沼の水質にとって良いのではないかと述べました
つまり、すべて単なるコメント、感想です。
専門家でなくても言える程度の、しかし専門家らしく聞こえるコメントでした。
その他は、自分の専門分野から単に「発言のための発言」を委員長から指名された際に、仕方なく一言づつ行ったという印象です。(中学生を持つお子さんのいるある傍聴者は、 「あれくらいならウチの子でも言えるなぁ」と呆れていました)
ところが、責任ある専門家であれば、当然沸き起こってくるであろう、以下のような不思議な点については、当初、質問すら出てきませんでした。
・500トンの上流・下流の不思議な突然の増減(数字の操作)の根拠
・上流(ダム群)で対処する500トン減りはしたけれど、5500トンという依然として膨大な「洪水調節施設」をどうやって上流で確保するのかという重要な点(私自身、八ツ場ダムの大きさで換算したら、それはあと12基のダムが必要という膨大な数でした)に対するシンプルな疑問
・治水安全度を大きく保ちたいという気持ちは分かるが、12基分のダムを作るということが(もうダム適地など残っていないから)、非現実的だということを考えれば、そもそも22000トンという基本高水が(たとえどういう計算で出てきたにしても、100歩譲って計算が正しいにしても)非現実的ではないかというシンプルな疑問
これらの疑問については、あまりにも審議がなかったために、市民団体からは2回目の意見書が出されていきました。あとで転載します。
まさのあつこ atsukom@mrj.biglobe.ne.jp
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