ViVa!のホームへびばろぐ

ダム日記2 河川法を改正しようヨ by まさのあつこ

提供=ViVa!(ビバ!) http://www.viva.ne.jp/

2005年01月31日 東京電力への補償 (カテゴリー: 八ッ場(やんば)ダム

 すみません、お待たせしました。前回の続きです。八ッ場ダムを計画通り使うためには、河川法41条に基づいて、東京電力に、水利権を放棄させ、国土交通省が、補償を行わなければなりません。
=======================
(水利使用の許可に係る損失の補償)
河川法41条 水利使用に関する第二十三条又は第二十六条第一項の許可により損失を受ける者があるときは、当該水利使用に関する許可を受けた者がその損失を補償しなければならない。
=======================

 その補償費はいくらですか、このことについて、東電との協議はどうなっていますかと、衆議院の塩川鉄也議員が、「八ツ場ダム建設に関する質問主意書」で尋ねました。2004年11月30日です。返答は、12月10日小泉純一郎・内閣総理大臣から届きました。

 この質問主意書と答弁そのものの該当箇所は以下に転載しますが、言葉が難しいので、質問と回答を合わせて、何が分かったか、何が煙に巻かれたかを解説します。

【明らかになったこと】
1) 八ッ場ダムに水が取られる分、東電の発電量が減るので、国は、東電に「減電補償」を払う。

2) これについては、1992年(建設省関東地方建設局八ツ場ダム工事事務所長から東電に協力依頼をした年)以降、東電と協議している。

3) 減電補償の額は、東電の経営にかかわるので秘密。

4) 総事業費4600億円の中に、現在、計上されている「特別補償枠」217億円の中に「減電補償」も含まれている。(だが、それがすべてであるとは回答していない)

【国が明らかにせず煙に巻いたこと】
A)「特別補償枠」217億円という額は、工事期間中の補償費しか含まれないのではないかという質問には無回答。→つまり、ダム完成後の減電補償も入れると、217億円では済まなくなる可能性が非常に高い。

B)ダム完成後の減電補償が、217億円に含まれていない場合、その分、さらなる八ッ場ダム事業総額が、4600億円をさらに超える(増額)となる可能性。

C)「減電補償」の積算根拠は、「公共事業の施行に伴う公共補償基準要綱」と「任意による交渉」だとぼかした。「等」とは何か、「任意による交渉」で額は変わるのかという可能性。

 そこで思います。「等」だろうが、「任意による交渉」だろうが、それは、納税者や東電の株主に対し、公開されたものでなければならないだろうと。また、額の交渉の前に、現在、立派に使っている発電施設を放棄してまで、(要らない)水を確保することが、妥当なのか、そんな二重投資が、今この世の中に許されるのかが、本来は先に公開の場で決定されるべき事項だと、今、書いていて思います。

 その意味で、私も(前号の日記にコメントを付けてくださった方と同様)、神原さんの考え方「東電は水利権を放棄すべきでない。既存施設の有効利用すべし」に、賛成です。

 以下は、塩川鉄也衆議院議員の「八ツ場ダム建設に関する質問主意書」で、該当箇所の切り抜き。全文を見たい方は、衆議院ウェブサイトの第161回国会で、探してみてください。

=======
【質問】
七 吾妻川流域の東電が持つ水力発電用水利権の中でも、八ツ場ダム予定地付近では白砂川取水堰七・五トン,須川取水堰四・五トン、長野原取水堰十八・五トン、合計約三十トン(いずれも毎秒)もの水が、発電用の送水管の中を通って迂回している。ダムの利水権は毎秒十四・七トンであり、まともに水が得られるのか。水確保について東電との協議内容を明らかにされたい。
 また、東電に対する減電補償費については、総事業費四千六百億円の中に含まれていると説明しているが、積算根拠と額を示されたい。特別補償枠は二百十七億円が計上されているが、この殆どは送水路の補強工事費や工事期間の減電補償費と考えざるをえないが内容を示されたい。特別補償枠の中にダム完成後の減電補償が含まれているのかいないのか、を明らかにされたい。

【答弁】
七について
 お尋ねの水力発電は、株式会社東京電力(以下「東電」という。)が、貯水池の上流の吾妻川及び白砂川等から最大毎秒三十・一四八立方メートルの河川水を取水し、それを発電用導水管を通すことによって行っているものであるが、八ツ場ダムによる流水の正常な機能の維持並びに水道用水及び工業用水の開発に必要な水量を確保するため、東電に対して減電補償を行い、これまで水力発電に使用されてきている吾妻川及び白砂川等の河川水の一部を貯水池に流入させることとしている。
 右に述べた水量の確保に関しては、平成四年に建設省関東地方建設局八ツ場ダム工事事務所長から東電に対し、諸調査の協力依頼を行い、それ以降、継続的に東電と協議してきているところである。
 お尋ねの東電に対する減電補償の額については、「公共事業の施行に伴う公共補償基準要綱」(昭和四十二年二月二十一日閣議決定)等に基づいて算出するものとされているが、その見込み額については、今後、任意による交渉を経て契約に至らなければならないものであるとともに、個別企業の経営上の問題にかかわるものでもあることから、具体的な数値をお示しすることは差し控えたい。
 また、事業費の内訳として公表している「特殊補償」の額には、東電に対する減電補償の見込み額も含まれている。

=======
以上。東電は、現在も、今年の春終了予定の大がかりな隋道工事をしているとの情報が入りました。つまり、東電では、新たな投資を続けているわけです。写真は八ッ場ダムを考える会提供です。DSCN5780.jpg

まさのあつこ atsukom@mrj.biglobe.ne.jp

2005年01月27日 東京電力の水利権 (カテゴリー: 八ッ場(やんば)ダム

前号で口頭弁論の第一報を書いた神原さんに、先日、お話を聞いていたところ、「東京電力に『水利権を放棄するな』っていう運動はどうかなぁ」という。
 
 実は、計画中の「八ッ場ダム」に流れ込む水のほとんどは、現在、東京電力が発電に使っている。東電が自分の水権利を、もしも「手放さない」と言えば、八ッ場ダムは、できたとしても、「空っぽ」になる。なぜなら今のままでは、川の水は、吾妻川(あがつまがわ:利根川に流れ込む八ッ場ダムが計画されている川)を通らずに、東電の送水管から下流へと、八ッ場ダム付近を迂回してしまうからだ。
 具体的に数字を挙げるとこうだ。

 八ッ場ダムの水利権 14.7トン/秒

 それに対し、東電は、3カ所の取水堰で、発電用の水を取る。
 白砂川取水堰  7.5トン/秒
 須川取水堰   4.5トン/秒
 長野原取水堰 18.5トン/秒
        計 30.5トン/秒 

(2004年11月30日提出 
衆議院議員塩川鉄也氏の質問主意書より)

 これだけを見ても、八ッ場ダムは、社会全体からみて、経済効率の悪い計画だと分かる。東電が、大正時代から資本を投資して作ってきた諸々の発電施設を、放棄しなければ、八ッ場ダムはできないのだ。

 その補償費(次号で紹介します)は、受益者にツケ回すことになる。(受益者とは、水代を払わせられる1都5県の住民であり、治水については、回り回って、全国の国民の負担だ。)

 「だから、東電に、水利権を手放すなと、僕は言いたい。今ある施設を有効に使ってくれ、『原発』なんかより、今すでにある『水力発電施設』を有効に使ってくれと、そんな運動やってくれる人いないかなぁ」と神原さん。
 
 神原さんは住民訴訟を抱えているので、このことで一緒にやってくれる人が欲しいのだ。
  「協力者が現れるかどうか分からないけど、ウェブサイトで呼びかけてみましょうか?」と私。
 
 というわけで、「東電さん!今持っている水利権を手放すな!」という運動を、一緒にやってみようかと思う人は、次号の補償費のことを読んでからでも結構ですので、神原禮二さん(メルアド garyoan@tiara.ocn.ne.jp)に、是非、直接連絡を。

まさのあつこ atsukom@mrj.biglobe.ne.jp

ViVa!(ビバ!)はこちら

2005年01月26日 住民訴訟・茨城の陣 (カテゴリー: 八ッ場(やんば)ダム

 今どきの裁判には、「パワーポイント」は欠かせないツールのようです。
 1月25日、水戸地方裁判所での「八ツ場ダム住民訴訟」第1回口頭弁論の第一報が、茨城から入ってきました。登場人物は、裁判官3人、原告側9人(弁護士3人)、被告側(弁護士5人、県職員3人)、原告側傍聴人40人。「緊迫した空気のなか開廷」したそうです。
(「公判」と書いたら、それは刑事事件用語で、民事(行政訴訟)は「口頭弁論」だとのこと。スルドイご指摘ありがとうございました。)

 以下、「八ッ場ダムをストップさせる茨城の会」の神原禮二さんからの報告の転載です。
 =============== 
 口頭弁論に先立ち、茨城の会は、12時30分より法廷に入りパワーポイントの設定・テストを繰り返し、2度にわたる陳述演習の感触を確かめました。
 パワーポイントの威力は、入廷してきた被告側弁護団の意表をつかれた表情からも明らか。
 開廷以前に流れを引きよせました。

 意見陳述は、嶋津暉之さん、藤原信さん、田中清子さんの応援を得た茨城の会40人、被告側14人、報道関係12人が見守るなか、取手市の塚越恵子さんが静かに語りはじめました。
 テーマは「既に必要性のない利水・治水」「総額8800億円、茨城県の負担390億円という税金の無駄遣い」「50年余にわたる地元住民の苦しみと補償」。パワーポイントの図表と語りが一体となり法廷をぐいぐいと八ツ場問題へ引き込んで行きました。

 2番手は霞ヶ浦の水質保全に携わる農学博士の濱田篤信さん。テーマは「危険な岩盤と地質」。危険極まりない所にダム建設を強行する行政の無責任が、穏やかな濱田さんに怒りの火をつけました。スクリーンの横に立ち、パワーポイントの図を指す濱田さんの怒りを秘めた陳述は感動的でした。

 最後は霞ヶ浦導水事業裁判のリベンジを期す柏村忠志さん、茨城の水問題をライフワークとする専門の立場から、膨大な水余りをデータを駆使して陳述。被告はもちろん導水裁判を棄却した伴弁護士、松本裁判官を追い込んで行きました。
 しかし、とどめを刺すべく「導水事業の実態を審理することなく棄却した判決は、その後の包括外部監査が指摘する水余りをいかに受けとめるのか」の段に入る直前、松本裁判官より時間切れの制止があり、無念の陳述となりました。

 後、坂本弁護士より「あらかじめ陳述内容を知っていた裁判官が意識的に止めたのではないか」の解説に無念ではあるが、それだけ追い詰めたと納得。

 被告側は後日検討のうえ反論の陳述をする旨の発言。伴弁護士は薄笑いを浮かべながら「ダムの必要性は原告と全く見解を異にする。機会があれば反論するが、それよりもこの訴訟が裁判に馴染まぬもの故、その点を陳述する」と語り、原告側と調整の結果、以下のように公判日程が決められました。

 第2回公判:3月29日(火)午後1時30分、水戸地法裁判所301号法廷。

=以上転載でした=========

「この訴訟が裁判に馴染(なじ)まぬ」ってどういうこと?

 報告を読んでいて思わず「でた~!」と笑ってしまいました。

 被告側(茨城県)の弁護士が述べた「この訴訟が裁判に馴染まぬ」というのは、どこの住民訴訟でも聞かれることだと常々聞いていはいましたが、本当に言うんだな~という意味の「出た~~!」です。

 「地方自治法」第二条14項 に「地方公共団体は、その事務を処理するに当つては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない」とあります。

 利水に茨城県が費やす「経費」、それに対する「効果」を考えた時、そもそもの目的である「水」が(52年前に欲しかったが、現在は)足りている場合、「最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない」という義務に違反していると訴えることのどこが、「なじまない」というのか。

 水が必要だ、そのために税金を使う必要があると、もしも、茨城県が言うのであれば、堂々と、水が必要であること、そのための最小の経費なのだと訴えればいい。それができずに「この訴訟が裁判になじまぬ」というのは、あまりにも姑息。

まさのあつこ atsukom@mrj.biglobe.ne.jp

ViVa!(ビバ!) はこちら

2005年01月21日 「八ッ場ダム住民訴訟」スケジュール (カテゴリー: 八ッ場(やんば)ダム

 昨年9月10日の住民監査請求から始まった「八ッ場ダム住民訴訟」が1都5県でいよいよ始まります。
何が問題なのか?裁判とは何か?三権分立の一角「司法」の世界を、この機会にぜひ覗いてみてください。

1都5県「八ッ場ダム住民訴訟」スケジュール
第一回裁判(口頭弁論)

茨城 1月25日(火) 13:30 水戸地裁
栃木 1月27日(木) 10:00 宇都宮地裁
群馬 1月28日(木) 10:00 前橋地裁
東京 2月16日(水) 10:00 東京地裁
埼玉 2月23日(水) 13:15 さいたま地裁
千葉 未定 3月か?

 「口頭弁論」では、原告は、「なぜ裁判所に訴えたのか」「誰に対して何を訴えるのか」を訴えます。

傍聴などの問い合わせ・カンパ先はこちら
●八ッ場ダムをストップさせる群馬の会
TEL:027-224-8567 郵便振替 00150-2-356373
●ムダなダムをストップさせる栃木の会
TEL:0285-23-8505 郵便振替 00140-1-500609
●八ッ場ダムをストップさせる茨城の会
TEL:0297-72-7506 郵便振替 00160-8-556816
●八ッ場ダムをストップさせる埼玉の会
TEL:048-825-3291 郵便振替 00180-2-334064
●八ッ場ダムをストップさせる千葉の会
TEL:043-486-1363 郵便振替 00120-5-426489
●八ッ場ダムをストップさせる東京の会
TEL:042-341-7524 郵便振替 00120-8-629740

私もどこかで「傍聴」に行きたいと思っています。裁判所でお会いしましょう。

まさのあつこ atsukom@mrj.biglobe.ne.jp

ViVa!(ビバ!)はこちら

2005年01月15日 淀川のロングラン審議 (カテゴリー: 住民参加

 八ッ場ダムは、52年前に利根川水系に計画され、現在に至るまで増額はあっても、科学的な観点からの見直しを求める政治力が足りず、現在、その財政に直結する1都5県(東京、群馬、埼玉、群馬、栃木、千葉)での住民訴訟へと発展中です。
 97年の河川法改正を境に、それとは違う運命を取りはじめたのが、関西一円(大阪、奈良、京都、三重、滋賀、兵庫)を流れる淀川水系です。
 淀川水系流域委員会を立ち上げ、大がかりな「参加」形態を創設して、平成15年には「ダムは原則、建設しない」という画期的な提言や意見書を出しました。

 97年の河川法改正の裏側で、対案作成に関わった経験がある私には、「大河川での住民参加」は想定することすら難しいと思った経験から、その実現は何をかいわんやの域にあると考えていました。
 利根川ではやろうともしなかったことを淀川ではやった。しかも4年もかけてここまで来た。その意味で、私は、実は、淀川水系流域委員会の試みを、「とにかくやった」というだけで、たいへん評価しています。
 そして、最後まで、「ダムは原則、建設しない」というこれまでの国土交通省にはなかった理念を打ち出そうと踏ん張ろうとしていることに(一枚岩ではないので予断は許せないが)、拍手を送ります。
 とはいえ、個人的な理由で4年に渡る「流域委員会」の過程をリアルタイムでフォローすることができず、忸怩たるものを感じていました。しかし、昨年、小豆島で開催された水源開発問題全国連絡会の総会に寄せられた「関西のダムと水道を考える会」代表の野村東洋夫さんの文書を読ませていただき、「なるほど、そうだったのか」という流れが、手に取るようによく分かりました。

―「参加」で乗り越えなければならない課題が、実によく分かります。
―「専門家」の役割を考えさせられます。
―「水需要予測」が明らかになり、水が要らないとバレルと分かったとき、国土交通省はどのような秘策に出るか、分かります。
―「水源開発」を巡る省庁間、省内の縦割り問題が、よくわかります。

 そんなわけで、前置きがたいへん長くなってしまいましたが、野村さんにお願いをして、その文章を転載させていただくことにしました。住民参加とは何かを考えている皆さん、ぜひ、じっくり、読んでみてください。なお、04年10月にお書きになった文章なので、その後の進展は反映されていません。
 続報もまたお伝えしたいと思います。
 
    ~~ ~~ ~~ ~~ ~~

大詰めの「淀川水系流域委員会」

  平成16年10月20日
  「関西のダムと水道を考える会」
 (代表)野村東洋夫

A,はじめに
平成13年2月にスタートしたこの委員会もいよいよ来年1月末で終了することになっています。つまり4年掛りのロングラン審議も今、その大詰めを迎えている訳です。勿論、委員会の審議対象は「ダム」だけではなく、淀川水系の多くの河川や琵琶湖の維持・利用や様々な河川環境問題も含まれていますが、私達の関心事は「ダム」ですので、ここではこの委員会の審議対象となっている5つのダム計画(丹生ダム・大戸川ダム・天ヶ瀬ダム再開発・川上ダム・余野川ダム)に絞って私達の感想などを述べさせて頂きますが、残念ながら審議は決して順調とは言えません。
新聞報道にもありましたように、この委員会は昨年の中間答申(「提言」)や最終答申(「意見書」)に“ダムは原則、建設しない”との画期的な文言を盛り込んだのですが、その後の「ダム推進勢力」の巻き返しが強く、大詰めを迎えた現況は、端的に云えば「ダム推進勢力の引き伸ばし作戦」に委員会が引き摺られている状況と言えます。

B,経緯と現況
昨年8月の「水源連だより」に「混迷の?淀川水系流域委員会」と題する私達の一文を載せて頂いておりますので一部それと重複しますが、一応この委員会のスタートからの経緯をざっと振り返って置きます。

1)01年2月 第1回委員会
今から3年9ヶ月前に約50名の委員構成でスタートしましたが、なにせ一口に「淀川水系」と言っても主要河川だけでも淀川、琵琶湖~宇治川、木津川、桂川とあり、ダムも前述のように直轄ダム、水機構ダムだけで5つもあります。しかも50名余りの委員のなかにはダムに詳しい人が数人しかいないという状況であったため、委員達がダムについて一定の(決して十分であはりませんが)知識レベルに達するのに2年の歳月を要しました。

2)03年1月 「提言」(=中間答申)
この中でダムについて“計画・工事中のものも含め、ダムは原則として建設しない”との記述が盛り込まれ、マスコミにも大きく取り上げられたため、ご記憶の方も多いのでは無いかと思います。毎月2~3回開催される「本委員会」や「部会」を手分けして傍聴した私達にはその“舞台裏”がある程度は見えたのですが、この「提言」の起草に際して50名余の委員が一枚岩になった訳では決してなく、この時点で「ダム賛成」が5名、「反対」が5名、残りの40名余は“よく分らない”という状況で、この「提言」は、この「よく分らない派」を「反対派」の委員が強引に自陣に引込んだ結果であったのです。恐らくこの委員会を冷ややかに模様眺めしていた「ダム推進勢力」も、この「提言」にはやはり驚くと共に、これを契機に本気になって動き出したものと推測されます。

3)03年5月 近畿地整が「ダム見直し案」を提示
1月の「提言」を受けた形で近畿地方整備局が、5つのダムについてかなり具体的な「見直し案」を提示して来たのですが、これの大きな特徴は次の2点でした。
  1、「提言」に反して、5ダム全てを“有効”としたこと
  2、丹生ダム、大戸川ダム、余野川ダムについては、その「利水」目的(水道)につ
    いてその必要性を“精査検討する”としていながらも、実質的にはあたかもそれ
    が消滅することを前提としているかのように、「琵琶湖環境改善」や「他ダムの利
    水容量の振り替え」などの利水代替目的を持ち出して来ていたこと

4)03年9月 近畿地整が「基礎原案」を提示
上記の「ダム見直し案」を読んだ委員からは当然、「提言」を無視した内容であるとの強い反発が出まして、激しい応酬があった後、9月になって整備局が「河川整備計画案の案」として出して来たのがこの「基礎原案」でした。残念ながら5月の「見直し案」と大差はなく、“5ダムは有効”との基本姿勢は崩していなかったのですが、ただ一つ斬新だったのは、この中で“5ダムについては今後の1~2年間を調査検討期間とし、その間はダム本体工事に入らない”と明言したことでした。(→このことは概ね実行されまして、04年度予算において5ダムの予算は大幅に減額されました)

5)03年12月 「意見書」(=最終答申)提出
3年近い審議を終え、委員会は近畿地整に最終答申を提出しましたが、その基本線は「提言」と同じで、5ダムについては次のように記述されました。
 “事業中のダムはいずれも、中止することも選択枝の一つとし、提言の趣旨を尊重した
  抜本的な見直しが必要”
最終答申ですから当然ながらここでこの委員会は終了する筈でしたが、前述のように整備局側がダムについて“あと1~2年調査検討する”とした関係から、この委員会は1年余りの“延長戦”に入ることになりました。

6)04年1月~05年1月 “延長戦”
5ダムそれぞれの持つ課題や「ダム代替案」の調査検討結果について、整備局から委員会に報告や説明が継続的に行われて来ていますが、その殆んどが5ダムの必要性を否定するものではなく、むしろなんとかダムを温存させたいとの意志を感じさせるものばかりと言っても過言ではありませんし、肝心な項目については中々資料を出そうとせず、時間稼ぎをしている気配が濃厚です。その最たるものが「利水」でして、前述のように整備局は利水参画団体の水需要予測について「精査確認中」としていましたが、昨年10月に大阪府や阪神水道のダム撤退意向が新聞報道などで公けになったこともあって、“「利水審議」において「水需要」を外す訳には行かない”とする極めて妥当な委員会からの再三の開示要請にも拘らず、今日現在でも未だに整備局は「精査確認中」で押し通している有様です。一部の委員は「馬鹿にするな!」と怒ったのですが、それでも整備局は動じません。この「壁」を突破するには、怒るだけではなく、「水需要予測」についてのある程度の知識が必要と思われますが、「非専門家委員」にはそれが不足しているため、それ以上には突っ込めないでいます。
この3年余りの間に行政から出された数多くの資料のお陰で、最近は「利水」に限らず「治水」についても市民からは結構的確な意見が出されていますし、大阪府や滋賀県などの自治体からも、その当否は別にして検討に値する具体的な資料が提示されつつあるのですが、それを即座に検討し理解できる能力のある「専門家委員」は、残念ながら「ダム推進勢力」に組み込まれているのか“黙して語らず”であり、一部の意欲的な委員も、4年近くに及ぶ審議の連続で疲れが溜まっているのか、或いは審議対象が余りにも広範で勉強が間に合わないのか、折角の私達の意見提示に対して期待通りの反応を示してくれないのが最近の実情です。
思いますに今一番大事なことは、来年1月に委員会が提出する「最終意見書」において、
委員達がダムに関してこれまでの「提言」や「意見書」のような抽象的な反対論ではなく、治水や利水の個々の問題について出来る限り具体的に記述して置くことであろうと思われます。ダムを含めた河川整備計画の最終決定権は整備局にあるとしても、委員会の最終意見書が個々のダムについての反論を具体的な根拠を基に書いた場合は、将来整備局がそれに反する決定を下すことを牽制する効果を持つと思われるからです。そう思えばこそ、私達一般市民は今、懸命に良いボールを投げ掛けているのですが、委員達が少しもヒットしてくれないというのが私達の思いです。
現状は、有効打の無いままに委員会が「ダム推進勢力の引き伸ばし作戦」に嵌ってズルズルと引き摺られており、彼等の思惑通りにこのまま来年1月の期限切れを迎えてしまうのではないかと私達は心配しています。

C,この委員会の評価すべき点と問題点
1)評価すべき点
1、 審議の公開
   本委員会や治水部会、利水部会、環境部会、或いはダムワーキンググループなどの審議は殆んどが公開で実施され、この委員会の透明度は高かったと言えます。

2、 庶務の外部委託
  委員会の事務作業一式(いわゆる「庶務」)を外部の民間企業(前半:三菱総研、後半:富士総研)に委託したこともあり、経費はかなり掛ったかも知れませんが、事務処理は迅速・的確でした。

3、 情報提供
  整備局など行政から委員への配布資料もほぼそのまま、一般傍聴者にも配布されました。この3年余りの歳月に委員や私達が入手した資料は膨大なものとなり、いくら情報開示の時代とは言え、やはりこの委員会が無ければ、とてもここまでは入手出来なかったと思われます。そしてその内容も特に委員会開始当初のものは“正直な”ものが多かったように思います。

4、マスコミ報道
   傍聴席には報道関係者の席が用意され、「提言」や「意見書」発表の際は委員長たちによる記者発表も行われました。大事な局面では傍聴席に取材記者の数も多く見られ、翌日の新聞紙面に大きな見出しが踊ったことも一度や二度ではありませんでしたから、この委員会が世間に淀川水系のダム問題を知らしめる効果は小さくなかったと思います。

5、傍聴者発言と意見書提出
   審議の終わりには毎回、20~30分程度の時間が取られ、その日の一般傍聴者に発言の機会が与えらると共に、発言内容はそのまま議事録にも載りました。また予め文書で提出すれば、委員や傍聴者への配布資料に載せてもくれました。もっともこれらは、一部の例外を除いて「一方通行」でしかなく、発言や意見書に対して委員会から回答がある訳ではありませんでしたが、しかし兎にも角にも一般市民が自らの意見を公式に発表できる場としての存在意義はあったと思います。

6、意見発表の工夫
   上述のように一般市民のからの意見は「一方通行」であり、その効果は低いと考えざるを得なかったため、私達が工夫した方法が2つありましたので、ついでにご紹介して置きます。
   a)委員と組む
   私達は、これはと思う委員と組み、私達に代わって意見発表して貰うという手法を何度か取りました。「委員発言」となると「傍聴者発言」とは重みが違い、行政側も回答せざるを得ないからです。これは一定の効果はありましたが、あくまでもその委員自身の意見として発表して貰いましたので、意見内容について委員に十分に熟知し、同意して置いて貰わないと、その後の行政側からの反論に委員が即答出来ず、尻すぼみになる恐れがありました。
   b)行政との「Q&A」を意見書とする
   私達の疑問点を整備局や大阪府水道部に「質問書」として直接ぶつけ、この質問とこれに対する回答とを一つの「意見書」として委員会に提出し、配布資料に載せて貰うことで、問題点と行政の見解との双方を一挙に委員や傍聴者、マスコミに周知することが出来、かなり有効な手法であったと思います。

7、住民対話討論会
河川整備計画策定に当って「関係住民の意見を反映させる措置」を講じることが河川法により河川管理者に義務付けられているため、近畿地整はこの委員会にその手法についての審議と提案を要請し、そこで出てきたのが「住民対話討論会」でした。
   これを受けて近畿地整の各河川事務所が、その所管するダムについてこの討論会を開催することとなり、昨年12月から今年4月に掛けての時期にその第1弾を開催し、5ダムについてそれぞれ2~5回程度の討論会が持たれました。今年8月からはその第2弾が現在開催されつつあります。第1弾については私も「丹生ダム」と「天ヶ瀬ダム再開発」のものに参加してみました。ファシリテーターと呼ばれる進行係りを置いて10人程度の応募者が一つのテーブルを囲んで討論する形のものでした。もっとも地元のダム推進派が多数を占め、初回は堅苦しい雰囲気でしたが、回を重ねるにつれ、お互いの意見や立場をある程度は理解することが出来たように思います。地元の人達の関心事はやはり「洪水」と「周辺地域整備事業」で、用地買収や住居移転が既に終了しているため、「水没問題」は過去のものとなりつつあるとの印象でした。

2)問題点
 1、専門家委員の非協力
   「流域委員会」は先ず何よりも委員達が十分な学識と経験を持ち、自分の意見をしっかり発言してくれることが必要で、当初の人選が重要なのは他の委員会、審議会と同様です。そして今から4年近く前の委員会スタート時点では“この委員会は従来とは一味違い、御用学者の寄せ集めではなく、思い切った人選を行った”との近畿地整の触れ込みだったのですが、その後の様子を見れば、少なくともダムに関する限り、他の委員会などと大同小異であったと言わざるを得ません。
   治水、利水を専門とする委員たちは、この4年近くの審議において、殆んどの人が終始ダム推進の姿勢を崩さないばかりか、昨年1月の「提言」で“ダムは原則建設せず”との方向性が出てからは、委員会自体への欠席が目立つようになり、たとえ出席しても発言はほぼ皆無という有様でした(その代表格が利水部会長のI委員)。
   他方、ダム反対派の委員は殆んどが治水・利水に素人で、提言や昨年12月の「意見書」提出までは大いに頑張ってくれましたが、ここで息切れし、その後の「延長戦」の「各論」に入ると、整備局側が次々に出して来る詳細資料の消化に追い付けず、無理も無いと同情はしますが肝腎の今の大詰め段階では、この4年間の蓄積疲労で精神的にも参ってしまっているのが実情と思われます。また、ダム地元の地方大学や県立研究所勤務の委員も多く、彼らにはダム推進勢力から有形無形の圧力が掛っていることも推測されます。因みに以前は最も活発な部会であった「琵琶湖部会」が最近すっかり大人しくなってしまっている背景には、これがあるのではないかと私達は見ています。
   要するに、その学識と経験の力を最も発揮すべき専門家委員が黙ってしまうという構図が、折角のこの“画期的”な淀川水系流域委員会を潰しつつあるのです。
   ただし唯一の例外は今本委員で、河川工学の権威であるこの方一人だけが、自ら「ダムワーキング」のグループリーダーを買って出て、獅子奮迅の活躍をされていますが、多勢に無勢、ここに来て疲労の気配が濃厚です。この方が最近よく口にされる言葉が“委員はもっと勉強せよ!”であることが何よりも雄弁に今の委員会の状況を物語っています。

 2、淀川水系の複雑・多様性
   「B、経緯と現況」でも述べましたが、「淀川水系」という審議対象が大き過ぎることも災いしたと思われます。取り分け「琵琶湖」の存在が問題を複雑にしており、特にこれの「水位管理」と治水・利水・環境との関係は複雑で、しかも大多数の委員にとっては初めて聞く話であったため、これの理解だけでも容易ではなく、今尚消化不良の委員も少なくないと思われます。逆にダム推進勢力はこれを逆手に取って丹生ダム、大戸川ダムの正当化に利用し、大阪府などの利水撤退により不要となる貯水池容量の穴埋めに「琵琶湖環境改善」という新たなダム目的を捏造したり、100年に一度の異常渇水による琵琶湖水位の低下を強調することで委員を脅しに掛ったのです。

 3、近畿地整内部の「ねじれ現象」
   近畿地方整備局河川部長の言うことと、出先機関が委員会に提出する資料や見解との矛盾が顕著です。宮本河川部長(委員会開始当時は淀川河川事務所長)の委員会開始当初における発言は、河川法の主旨を淀川水系で具現させようとの意欲を強く感じさせものでしたし、私達が今年6月に近畿地方整備局で直接会見する機会を得た時も、同様の雰囲気を感じさせました。また先日、同整備局が毎日新聞2面全面を借り切って、淀川水系の現状や課題を訴える記事を載せたことも単なるポーズとは思えません。
   しかし「近畿地方整備局」の名前で現実に委員会に出てくる資料などは、前述しましたように何とかしてダムの必要性を維持し、大阪府などの利水撤退によるダム規模の縮小を回避しようとする内容のものばかりと言っても過言ではありません。
   このことは、近畿地整も決して内部は一枚岩ではなく、河川事務所や水資源機構などの出先機関が河川部長の発言を無視しつつあることや、彼等の所有する資料の中から都合の良いものだけを選んで委員会に提出していることを伺わせます。ヘッドクォーターである河川部には案外「実務機能」は無く、以前から蓄積された資料を保有しているのも、或いは委員会に約束した諸々の「調査検討」作業を実際に行っているのも、そしてダム代替案を作成するのも、河川部本部ではなく、上記の出先機関と思われます。
   つまりトップと出先機関との「ねじれ現象」が顕著であり、委員会初期は兎も角も、正念場に来た今は、むしろトップが実務能力に勝る出先機関に引き摺られているのが実態ではないかと思われます。勿論、出先機関の背後ではゼネコン・政治家・学者などのダム推進勢力が後押しをしているのでしょうが。

4、縦割り行政の弊害
 a)他省庁との縦割り
   
全国の他の流域委員会も同様と思われますが、主催者が国土交通省近畿地方整備局であることから、この委員会に環境省・農水省などの他省庁の参加が皆無という大きな欠陥を内包しています。このために委員会審議の幅が狭くなっており、議論が他省庁管轄の分野に及ぶとそこでストップしてしまいます。たとえば淀川からの利水については上水・工水のみで農水の取水が殆んど無視されますし、丹生ダムの高時川の瀬切れ問題についても、琵琶湖河川事務所はその原因が水利権を盾にした農水の過剰な取水にあることまでは暗に示唆しますが、その先に踏み込もうとしません。「環境」については私達は詳しくありませんが、環境省の担当官が加わっていれば、審議内容はかなり違っていたのではないかと推測しています。つまり、そもそも「流域委員会」のあり方自体に問題ありです。

 b)国交省内部の縦割り 
  「利水」については国交省内部での「土地・水資源局」と「河川局」との縦割りも関係しているのではないかと私達は見ています。前述のように、ダム参画団体の将来水需要について検討することは、委員会がダム計画の当否を審議する上で必ず行うべき必須項目である筈ですが、ダム参画団体の水需要予測についての委員会からの度重なる開示要請に対して整備局は、「精査検討中」として執拗に詳細説明を回避し続けています。誠に異様な光景ですが、その背景にこの国交省内部での縦割りがあるのではないかと私達は思うのです。それは「淀川フルプラン」の関係です。つまり水需要やそれに伴う水資源開発を決めるのは、旧国土庁水資源局(現・国交省土地・水資源局)の管轄であり、今は同じ国交省となったとは言え、河川局としてはそこに踏み込めないというのが、この“異様な光景”の理由ではないかというこ
とです。
   淀川フルプラン審議会(正しくは国土審議会水資源開発分科会淀川部会)は土地・水資源局の管轄の下に、実は平成14年から開催されていますが、現在は開店休業状態にあります。恐らく淀川水系流域委員会の終了を待って、来年の早い時期に再開し、ここで一気に5ダムの水資源開発を決め、閣議決定に持ち込もうというのがダム推進勢力のシナリオというのが私達の見方ですが、宮本部長もこのシナリオに敢えて踏み込むことは出来ないということなのではないでしょうか。現に9月23日の「ダムワーキング」で、業を煮やした今本委員が「我々はこの「精査確認」を既に3年も待っているのだ。整備局はこのことを一体、どう考えているのか!」と宮本部長に強く迫った時は、さすがの部長も「この委員会審議には必ず間に合わせる」と明言したのですが、その後1ヵ月近くになっても今のところ新たな展開の気配はなく、先日の淀川部会での担当官の回答からしても、実現は怪しいのではないかと私達は見ています。

~~~~
転載以上。野村さん、ありがとうございました。(改行を少しいじりました)

まさのあつこ atsukom@mrj.biglobe.ne.

2005年01月11日 たとえばボツ (カテゴリー: 八ッ場(やんば)ダム

  「日経エコロジー」2月号の「ビジネスリーダーのための新環境学」というコーナーで、『開発援助の環境社会配慮-事前の情報公開を推進 NGOの監視能力高まる』という記事を書きました。
 三度目の正直となる駆け出しジャーナリストの仕事の半分は、記事の営業だと心得ています。そして、ボツになっても気にしない!落ち込まない!すぐに立ち上がる!をモットーに昨年の秋はもがいていました。最ももがいたのは、八ッ場ダムでした。

 たとえば、以下は、某週刊紙へ出した「企画案」です。これは絶対面白い!絶対いける!と自信を持って出したものが、ボツになると、「気にしないわ~」と思ってその時はいても、だんだん、ボディーブローのように「なぜ、これがボツなんだ!」とだんだん後になって落ち込んできます。年末、だんだん落ち込みました(笑)。
 ほとんどの週刊紙はストレートなテーマの取り上げ方をしても(例えば、八ッ場ダムがいかにムダかを書いても、一都五県の一斉訴訟が前代未聞のスゴイことだと話しても)、ぜんぜん、企画が通らない。それで、「なぜだ~!なんのための報道だ!」と思いながらも、必死に、面白おかしい切り口を考えるわけです。
 そうしているうちに、自分が何を訴えようとしているのか、だんだん、分からなくなって、自信喪失してしまいます。だから何も考えず、ちょっとでも「いけるかも!」と思ったら、エイヤっと、編集者に相談してみる。編集者レベルを突破しても、企画会議で落ちてしまう。なかなか厳しい。そんなことを繰り返しています。あまり深刻に考えず、今年も頑張ってみます。

 ボツになったら、他の媒体に持っていくという手はあるのだけど(そうしろと編集者からもアドバイスされますが)、以下の企画に関しては、私が本当に書きたい切り口ではないので、しかし、事実として面白いことは間違いない情報なので、こちらに載せてしまいます。

 ただし、以下は、2004年9月8日に書いたもので、企画案中に出てくる「国土交通大臣」はすでに交代しています。(敬称略)

======
【企画案】

福田VS中曽根“上州戦争”の遺児「八ッ場ダム」
二世議員たち、小泉首相、小渕優子はどうするか?

●話の筋

 かつての「群馬3区」は、福田赳夫、中曽根康弘、小渕恵三と、首相を3人も輩出した土地柄。現在でこそ、小選挙区制により二つに分かれ、福田康夫(群馬4区)と小渕優子(群馬5区)を輩出するが、96年に小選挙区制に変わるまで、福田派VS中曽根の“上州戦争”が激しく繰り広げられていた。
 「ダムへ沈む川原湯温泉へようこそ」というアーチ看板が観光客を迎えるご当地は、まさに、八ッ場(やんば)ダムを挟んでの“上州戦争”に翻弄され続けた。

 小選挙区制(そして中曽根康弘の終身比例第一位)によって上州戦争は終焉を迎え、上州戦争の主役たちは四半世紀を経て死亡もしくは引退。福田、中曽根、小渕にはそれぞれ二世議員が誕生し、八ッ場ダム予定地を抱える群馬5区では、小渕優子が新しい橋にテープカットする時代だ。
 ところが、計画以来52年が経過する国交省の八ッ場ダム事業は、こうした政変からも取り残され、土地買収さえ進まないまま、続行中である。

 水需要は頭打ち、脱ダムによる治水計画の破綻で、見直しが迫られる今、福田派の系図を継ぐ小泉内閣は、上州戦争の遺児とも言える八ッ場ダムをどうするのか。
 小渕優子の選挙区にある上州戦争の遺児に、彼女はどう決着を迫るのか?

伏線:ダム計画について政治決断すべきは、石原伸晃国土交通大臣。2003年11月、八ッ場ダム事業費を2110億円から4600億円へと倍増させたが、予算増額をいち早く承認したのは父親の石原都知事。受益地である他関係県を含む一都五県の知事に対し、今年9月10日、不要な支出を差し止めるべしと「住民監査請求」が行われる。

●背景

【かつての群馬3区】
・ 福田赳夫、中曽根康弘、小渕恵三、首相を3人輩出
・ 現在は、群馬4区(福田康夫)と群馬5区(小渕優子)の二つに分かれている。
・ 八ッ場ダムに没する川原湯温泉は、この現在、群馬5区内にある。

【八ッ場ダムと3人の首相】
福田赳夫は、ダム計画を強力に押し進めた。強酸性の水質問題で一度は死んだ八ッ場ダム計画を、石灰をぶち込む中和工場+品木ダム建設により、強引に息を吹き返させた張本人。
中曽根康弘は、ここでもご多分に漏れず“風見鶏”ぶりを発揮した。福田に対抗して、ダム慎重論を唱え、地元住民を自民党に集団入党させ、ダム反対派の仲間と見せかけた。しかし、首相になるやいなや、一気にダム計画は進んだ。
小渕恵三は、何をしたか?“ビルの谷間のラーメン屋”と言われた小渕は、福田の政敵と言われた田中角栄に、ダム反対派住民をあわせるべく、目白に共に参じた。しかし、まったく効果なし。
======

 というわけで、企画案を書くまでに、かなり勉強し、資料を読み、労力と時間を使ってしまうわけです。
 そんな中、企画を通り、記事を書き、書店に並んだ暁には、「やった~!」と思って、疲れが吹っ飛び、思わず、冒頭のように宣伝してしまいます(笑)。以上、昨年のボツの報告でした。

まさのあつこ atsukom@mrj.biglobe.ne.

2005年01月01日 冬休み中のお勧め図書 (カテゴリー: 遊び

みどり池.jpg 旧年中はお世話になりました。世界でさまざまな不幸が重なった年でした。一方で、知人、友人、自分自身も含め、バカスカと本を出す実りある年でもありました。以下、その一部です。

『緑のダム―森林・河川・水循環・防災』

  蔵治光一郎+保谷野初子 編・著  
  姫野雅義 中根周歩 依光良三 他
  築地書館 定価:2600円+税

『特別会計への道案内―387兆円のカラクリ』

  松浦 武志 著
  創芸出版 価格: ¥1,890 (税込)

『環境税―税財政改革と持続可能な福祉社会』

  足立 治郎著
  築地書館 2,520円 (税込)

『八ッ場ダム-足で歩いた現地ルポ』

  鈴木郁子 著
  明石書店 2415円(税込)

『アオバトのふしぎ』

  こまたん 著
  エッチエスケー 1600円+(税)

『「税金ムダ喰い」のカラクリ 政治家、公務員、都道府県別「ひどさ」を総検証! 』

  樺嶋 秀吉 著
  光文社 1,000円 (税込)

『脱ダムから緑の国へ』

  藤田 恵 著
  緑風出版 1,680円 (税込)

『日本で不妊治療を受けるということ』

  まさの あつこ 著
  岩波書店  1,785円 (税込)

天狗岳頂上.jpg ところで、昨年秋、山登りの会に参加しました。04年の終わりには、生まれて初めて雪山に挑戦しました。
 右写真は、北八ヶ岳の天狗岳(2,646m)の頂上。マイナス25度くらいです。
 右上写真は、その麓のみどり池。ここもマイナス15度くらい。生命維持のために、それ以外のすべての感覚が鈍化し、チョコレートを食べても味がせず、バックパックも全く重く感じない。命は不思議ですね。