2006年03月28日 八ツ場ダム住民訴訟1都5県ニュース (カテゴリー: 八ッ場(やんば)ダム )
さまざまな形でメディアカバーが増えてきている八ツ場ダム問題ですが、住民訴訟の第5~6ラウンド目へと突入しています。転載します。
+++++++転載歓迎++++++++++++
八ツ場ダム住民訴訟1都5県ニュース
第11号(06年3月22日)
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【栃木の会】
3月1日の対宇都宮市長裁判で、原告側は、湯西川ダム使用権が不要であると判断した場合には撤退が可能であり、その場合に建設負担金は支払わず、納付済み負担金の還付も可能と主張した。次回は
5月17日10時半~湯西川ダムの利水に関して原告による口頭陳述。3月9日の第6回対県知事裁判では伊藤武晴氏が、八ツ場ダムは利根川治水対策上無用のダムであるとパワーポイントを用い陳述した。次回5月25日10時~も原告陳述。(葛谷)
【茨城の会】
2月28日第6回裁判が閉廷を告げる頃、驚くべきことがおきた。県側の伴弁護士が発言「この訴訟は裁判に値しない。と主張したが原告に反論はないのか」法廷内のすべての人が耳を疑った。前々回、原
告は十分に反論している。その折裁判長は「被告は反論しませんか」と念押しまでした。県はこの上の空の弁護士に数百万円もの弁護料を払っているのだ。次回5月9日(火)反論の反論をすると言う。
不誠実な裁判はまだ続く。(神原)
【群馬の会】
八ツ場ダムをストップさせる群馬の会第1回総会を3月5日(日)、県庁昭和庁舎にて行い、約30人の出席があった。経過報告、会計報告、会則、役員を承認の後「日独裁判官物語」を上映。多くの方に見ていただきたい内容なので人数が少ないのが残念であった。4月3日(月)3時より樋口弁護士事務所(コスモス)にて、「群馬の利水問題」についての学習会を行う。講師は伊藤祐司県議。次回裁判は5月12日(金)11時より。(真下)
【東京の会】
東京都の事業評価委員2名に直接面談し費用対効果の根拠などを尋ねる。理不尽な公共事業を止めるシステムは一応あるのに運用面で形骸化が著しい。4月11日午前11時から606号法廷で利水について原告側からパワーポイント使用で陳述の予定。いよいよ本題に入る。3月18日の総会で活動方針などを決定、今年度最初の学習会を5月13日(土)1:30より小平中央公民館(予定)で開催。講師は「公共事
業」をテーマに佐藤謙一郎さん。(懸樋)
【千葉の会】
利根川流域住民の声を結集しようと市民団体が江戸川堤防強化工事現場の現地調査に参加した。3月18日(土)、市民10名と国土省の職員7名とで松戸から野田までの4ポイントを巡回したが、主催の市民団体が河川事務所との交流を積み重ねていることは、工事提案の議論や国土省のパンフにも市民との交流の成果を紹介し、事業に生かしてきたことをうたっていることから理解できた。今回の参加で千葉の会の施策、県や国への対策を強化するヒントをえられた。第6回裁判は5月26日(金)11時から(村越)
【埼玉の会】
3月4日「埼玉県春日部市民の集い」では、、八ッ場ダム学習会に約50人の市民が嶋津暉之さんの話に頷きながら熱心に聞きいっていた。現地見学も計画される見込みで、県内に運動が着実に広がってきた
のを実感した。会主催で、地すべりがあった滝沢ダムを見学する予定。次回裁判は治水について主張する4月19日(水)午前11時よりさいたま地裁105号法廷にて(藤永)
【予定地(群馬県長野原町)の今】
水没予定地の川原湯温泉では、ダム事業の影響で水源が枯れ、観光業に支障をきたす状況。住環境が悪化する中、住民流出に歯止めがかからず、国交省は現地再建をめざした代替地の計画面積を当初の6割に縮小。代替地分譲を視野に住民への意向調査を行っているが、代替地の設計図は未だに完成していない。長野原町では4月の町長選を控え、財政悪化、人口減少に苦しむ町政の立て直しが争点となっている。
【発行】
八ッ場ダムをストップさせる市民連絡会/八ッ場ダム住民訴訟弁護
団/八ッ場ダムを考える会 http://www.yamba-net.org/
八ッ場ダム訴訟サイトhttp://www.yamba.sakura.ne.jp/
連絡先:042-341-7524(深澤)048-825-3291(藤永)
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まさのあつこ atsukom@mrj.biglobe.ne.jp
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2006年02月20日 ダム行政の新しい法則 (カテゴリー: 八ッ場(やんば)ダム )
「もうこれ以上のダムは作らない。いよいよ首都圏でも始まったということですな」と社会資本整備審議会河川分科会河川整備基本方針検討小委員会の司会役の近藤徹委員長が言った。関西の淀川を意識してのことだろう。関東での脱ダムを宣言するのは私だ、という得意げな表情が、その口元に現れた。利根川水系の河川整備基本方針案を審議したまとめの席でだ。
簡単に言うと、彼が言おうとしたのは「利根川水系では八ツ場ダムが最後のダム」ということだが、実は、それは聞こえはよくても、まったく理屈にあっていなかった。
国交省の利根川水系の資料には「新規の洪水調節施設」のことが書かれていて、国交省の示す「基本高水」をクリアするには、まだまだ何基ものダムがなければ計算が合わないのだ。逆に言えば、本当はもう八ツ場ダムも要らないことにもつながっている。
首都圏の脱ダム宣言もいいが、基本高水からの計算には合っていない。
複数の水系の河川整備基本方針の策定の場を傍聴し、資料を見た結果、国交省河川局なりに新しい法則を敷いたらしいことが見えてきた。各水系のほとんどは、その法則になら当てはまる。
法則は以下の通りだ。
1. 「基本高水」は変えない。(ここから先は2つに分かれる)
2. ダム計画が動いていないところは、「基本高水」を神棚に上げて、つじつまだけ合わせる。利根川でも那賀川でも、つじつまあわせとして「新規の洪水調節施設」と書き込んでいるが、それがダムなのか遊水地なのかは極めて曖昧にぼかして「未定」であるというフリをするが、実は、やる気も場所も必要性もない。
3. ダム計画が動いているところは、あくまで「基本高水」を金科玉条としてダム計画を進める。
国交省が定める基本高水は過大だと言われ続けてきた。
ダム事業を進めるための机上の計算だと言われてきた。
2と3の使い分けが、その証拠として積み上がりつつあると思う。
まさのあつこ atsukom@mrj.biglobe.ne.jp
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2006年01月29日 「再々意見書」や「公開質問書」と加藤登紀子さん (カテゴリー: 八ッ場(やんば)ダム )
多くの人が、「もうダム問題は終わった」と考えています。ダム計画が止まり始め、長野県知事から「脱ダム宣言」が出た頃から。勝負あり、市民は勝ったと。でも取り残されたダムがあります。取り残された人々も生きています。意味のないダムは、未来世代のことを考えれば止めるべき。意味のないダムの維持管理や撤去というムダな仕事を残して死んでいくべきではありません。
地元の人を踏みにじって進められる事業、社会・環境・経済的に持続可能でない事業は、公共事業ではない。そんな事業にしないための法改正が必要で、そんな事業が継続されているとすれば直ちに政治決断によって止めるべき。二つは表裏一体です。
法改正と政治決断、その両方の方向転換が国という「巨大タンカー」で起きるときには、一つの方向に継続的にうねりがぶつかっていかねければならない。小さくてもいい、継続的かつ理に適ったものであればまともな為政者は動く。
八ツ場ダムの場合、国交大臣、東京都知事、千葉県知事、群馬県知事、埼玉県知事、茨城県知事、栃木県知事のうち誰かが、「このダムはもう理に適わない」と気づき、行動を起こせば止まる。
半世紀にわたって未だに推進されている八ツ場ダム建設計画に異論を唱える面々が、1月20日、「利根川水系河川整備基本方針の策定」に関する再々意見書を提出。意見書と再意見書に続く、第三弾、再々意見書の中身は4点。
1 現実性のない利根川水系河川整備基本方針を策定して何の意味があるのか。
2 矛盾だらけの基本方針案をつくるべきではない。
3 来るはずがない過大な基本高水流量を見直すべきである。
4 河川分科会または検討小委員会は「審議会等の運営に関する指針」(閣議決定)を踏まえて関係者の意見聴取を行うべきである。
一方、八ツ場ダムを考える会では、八ッ場ダム水没地住民の生活再建問題に関する公開質問書を出し、その回答を遅らせている国交省に対し、催促状を出しています。
質問書の主旨について、同会の渡邊洋子さんは、「住民の生活再建といっても、具体的に今の川原湯の住民を助けなければ、ということではありません。それは、ある意味、僭越な好意の押し付けになってしまいます。生活再建の当事者ではない市民団体が、納税者の立場からできることは、ダム計画の中で進められている生活再建事業の”公共”性を問うことです」と説明。
また、会そのものが目指しているところを改めて聞いてみると、「私達はダム中止を何より望んでいます。ただ、ダムが中止になっただけでは、問題は解決しません。ダム事業が進められている地域では、それまで人々の生業であったものが失われ、いわゆる公共事業として中央から与えられた土木事業が地域の生活基盤を支えています。八ッ場ダム問題をきっかけに、首都圏の人々が都市と地方のあり方、農山村の再生を改めて考えるような問題提起をしていくのが課題です」と渡邊洋子さん。
ダムの問題に関わると、それだけでは終わらないんですよね。
私自身は、「森のニンシン」というメルマガをやっていますが、それはダムに関わったがためにその延長線上に出てきてしまったライフワークです。
さて、この八ツ場ダムを考える会には、最近、歌手の加藤登紀子さんが特別顧問に就任されました!
まさのあつこ atsukom@mrj.biglobe.ne.jp
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2006年01月11日 ほんとうは要らなかった河川分科会? (カテゴリー: 法律・制度 , 八ッ場(やんば)ダム )
ここ最近、半ば半狂乱で書きまくっていました(短時間で一気に書きなぐっているので拙文でたいへんすみません。いずれ時間ができたら、もう少し分かりやすく書き直したいですがその時間はとれそうもありません)。
昨年秋から傍聴を続けた社会資本整備審議会河川分科会と河川整備基本方針検討小委員が、単なる、国交省案のお墨付き機関となっていることに危機感を抱いて、公開アンケートだ、要請書だと出しまくっているわけですが、要請書を書くために「審議会等の整理合理化に関する基本的計画」とその「審議会等の設置に関する指針」を読んでいて、重要な点を再認識しました。
=== === ===
別紙1 審議会等の設置に関する指針
1. 国民や有識者の意見を聴くに当たっては、可能な限り、意見提出手続の活用、公聴会や聴聞の活用、関係団体の意見の聴取等によることとし、いたずらに審議会等を設置することを避けることとする。
~~略~~
別紙3 審議会等の設置に関する指針
利害関係者の意見聴取等
① 審議会等は、その調査審議に当たり、特に必要があると認めるときは、当該調査審議事項と密接に関連する利益を有する個人又は団体から意見を聴取する機会を設けるよう努めるものとする。この場合において、他の関係者の利益との公正な均衡の保持に留意するものとする。
なお、公聴会の開催等、法令に別段の定めのあるときは、それによるものとする。
② 審議会等に対して、①の意見聴取に係る申出又は審議会等に関する苦情があったときは、各府省は、庶務担当当局としてこれらの整理等をした上で、その結果を適時に審議会等に報告するよう努めるものとする。
=== 下線はまさの加筆 ===
とあります。
★ 社会資本整備審議会は、河川法第16条でその役割を位置づけてしまってあるので、開かないわけに行きませんが(別紙1の方はどうしようもないにしても)、その精神をくめば、
★ 河川分科会や河川整備基本方針検討小委員会の方はいたずらに設置せずに、直接、意見提出手続の活用、公聴会や聴聞の活用、関係団体の意見の聴取等を行なって、関係市民団体や八ツ場ダムの住民訴訟を起こしている原告(納税者)からの意見聴取をすべきではないか。
★また、と別紙3の②に該当することとして
2005年11月15日に提出された「利根川水系河川整備基本方針の策定」に関する意見書では、首都圏のダム問題を考える市民と議員の会(代表 藤原信)や、水源開発問題全国連絡会(共同代表 嶋津暉之 遠藤保男)から
利根川は1都5県におけるさまざまな立場や利害、関心が絡む大河川でありますので、実際のデータに基づいて科学的な議論を、時間をかけて行い、事務局案の抜本的な見直しをされることを強く要望します。また、広く意見を聴取する機会を設けられることも強く要望いたします。
また、2005年12月16日に提出された「利根川水系河川整備基本方針の策定」に関する再意見書」では、首都圏のダム問題を考える市民と議員の会(代表 藤原信)、八ッ場ダムを考える会(代表 樽谷修)、水源開発問題全国連絡会(共同代表 嶋津暉之 遠藤保男)から、
委員会におかれましては拙速に事務局案を承認することなく、利根川水系の専門部会を設けて、委員自らが専門的な検討を行い、さらにパブリックコメントを求めて、その意見提出者と河川管理者が議論できる場を提供することを強く要望します。
一般市民の意見にも耳を傾け、根本に立ち返って利根川水系河川整備基本方針について真っ当な審議を行うことを求めます。
と求められていた(他に苦情も)。
これらの市民団体が出した「意見書」と「再意見書」の対象となっている利根川水系の河川整備基本方針について河川分科会が審議するのは、これからなので、まだ間に合うはず。
別紙3の②にあるように、意見を整理し、意見聴取の機会を設けるべきではないかと思います。
まさのあつこ atsukom@mrj.biglobe.ne.jp
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2006年01月04日 群馬県知事の「確認」 (カテゴリー: 八ッ場(やんば)ダム )
以上6回で、2005年11月から12月に行われた利根川水系の河川整備基本方針についての「社会資本整備審議会・河川分科会・河川整備基本方針検討小委員会」(審議会と略しました)について気づいた論点をまとめてきましたが、最後にもっとも重要なまとめです。
12月19日、利根川水系の群馬県知事代理の川西寛理事が、河川計画課長に確認をしたことです。
八ツ場ダム予定地のご当地の委員が、最後の最後に行ったこの確認は、とても意味が深いと思いました。
「利根川の河川整備基本方針の案ができて、これから河川整備計画へと移っていくわけですが、最新の知見で出てきているさまざまなデータが積み重なってきているわけで、計画が策定されていく段階で、今度も社会情勢の変化により、河川整備基本方針が変更されることがあるのか、確認したい」
これに対し、「そのとおりです」という意味のことを布村課長は言いました。
この確認と答弁は、まるで、1997年の国交省の国会答弁「基本方針で定めた中ではこの整備計画がどうしてもできないということになれば、またこの基本方針のあり方についても再度検討をする」を再答弁させたような見事なタイミングでの見事な確認でした。
私、このとき思いました。この間の布村課長の言動を見ていて、この人は、一人で思い切った発言をできる性格でもポジションでもない、普通なら、ここで短くきっぱりした肯定発言すらできないかもしれなかった。ただでさえ、前コマで書いたように審議委員や委員長からは方針と計画について妙なプレッシャーがかかっていた。
でも、この日は12月19日。計画と方針の関係については、ほんの2週間前の12月3日に日弁連のシンポジウムで、改正当事を知る元河川局長が、同様の質問をシンポジウムの実行委員会事務局長に何度も迫られて、ついに「これはね、なんでもあると思う。ダムがだめなら次の代替案はある」と布村課長の目の前で答えたばかりだった。この鮮明な記憶がなければ、群馬県からのこの確認にこうは答えられなかったのではないか。
この確認を行った群馬県の「理事」さんもスゴイと思ったし、ちゃんと答えた布村課長も偉かった。
審議会の傍聴とシンポジウム(その前日の研究会も)と、絶妙なタイミングで、関係者が絡み合うことができた。運命的だったと、傍聴をした会議室を出ながら思った。
まさのあつこ atsukom@mrj.biglobe.ne.jp
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2006年01月04日 八ツ場ダムは最後のダム? (カテゴリー: 法律・制度 , 八ッ場(やんば)ダム )
次に、「八ツ場ダムは最後のダム」と河川計画課長の口から飛び出たことについてです。12月6日の審議会で、審議会の事務局(シナリオライターと言ってもよろしいでしょう)である国交省河川局の布村河川計画課長が、「利根川本川上流部」の説明で、「洪水調整施設は八ッ場ダムが最後」という言葉を差し挟んだのです。
そこで傍聴後、確認のために、河川計画課に立ち寄りました。
布村課長には日弁連のシンポジウム直後に会場でお話を聞かせてもらったので、おかげさまで顔なじみとなり、取材がしやすくなりました。
「今日、八ッ場ダムが最後と言いましたね?」と私。布村課長「言いました」までは良かったのですが「あそこではね」と言うので、「むむっ」と思いました。
そのとき、ピンと思ったこと。「はは~ん、市民団体から出た意見書で審議委員たちから、あれこれ聞かれ、説明が面倒になって、『八ツ場ダムを最後にしますから』(目をつぶってください)くらいのことを言ったんではないか?その延長で、審議会の中でもそう言わざるをえなかったが、22000トンという基本高水を維持する限り、計算上そうはいかない、そこで、『あそこではね』となったのでは?」ということ。勘ぐりすぎでしょうか?しかし、それ以外に「あそこではね」とその後の説明がつきません。
そこで「あと3900トンどうするんですか?」と突っ込みを入れてみました。
すると、「ほらあの、再開発とか遊水池とか振り替えとか」と苦しい答え。
私「そんなもので3900トンも対処できないでしょ」
課長「(ダムは)利根川本川で作らないってことですよ」
私「八斗島より上流には作らないってことですか」
課長「いやいや神流川とか烏川は入りませんよ。あっちにはダムが下久保しかありませんから」
と読んでも分からないと思いますが、利根川には、八斗島という基準点から上流に、北から「奥利根流域」「吾妻川」「神流川・烏川」などの支流の流域があります。課長のこのときの返答は、その位置関係から言って支離滅裂でした。
この日の審議に対して、市民団体から再び意見書が出されました(文末に転載)。
そこで、その次の審議(12月19日)で、さすがにこの件で、審議委員からも質問が出て、どういうことなのかを布村課長が再度説明しました。
しかし、さらに、その説明があいまいでした。同じ審議会の中で、同じ課長が、二つの違う説明を行ったのです。
一度目は、「下久保ダムだけでは足りないので、他のダムを考えていたが、遊水地で対応することにした」と「八ツ場ダムが最後」の発言について説明を行った。ところが、それでは納得しなかったか、聞き逃したかして、近藤委員長が再度「八ツ場ダムが最後」について確認すると、「ダムの再編で行うが、作るダムはひとつか二つか検討する。八ツ場ダムが最後という意味ではない」と言い直したので、ますます分からなくなった。
同じ質問に対して、「遊水地で対応することにした」と、「ダムはひとつか二つか検討する」はまったく違う。
ところがその矛盾を突く人が審議会ではいない。利根川水系についての最終日だというのに、困ったことです。
いったい、どっちなのか、作るのか、作らないのか、どこに作るというのか、またまた、傍聴後に確認に行きました。すると「あなたには3回ぐらい説明したじゃないか」と(ウソこけ)、完全に苛立っているご様子。
国交省が配布した資料と、この時、布村課長が言った結論から言うと、新久保ダムという神流川にあるダムのかさ上げと、奥利根流域に新しく作る新設ダム(一体、どこにかはまったく不明)で対処することになっている。「ん?じゃ、審議会で発言された遊水地というのは?」と突っ込みを入れるのはもう止めました。
どう考えても、現実味がない。聞けば聞くほど、ほころびが出てくる。それをこちらが真面目に突っ込んでいって、課長発言として言質をとってしまうと、とんでもない幻の計画が生まれてしまいかねない。発言が二転三転しているところは、ほとんど「幻」の計画だと思っていいと思います。(それにしても、どんな議事録が出てくるんだろう?議事録を作る人がかわいそうだ)
そんなわけで、国交省説明やそれに疑問を持たない審議会に苛立って出された市民団体からの再意見書を転載します。さきほど私が整理した旧法→新法への3つの大きな変化以外についても、詳細に論じています。
~~~~転載~~~
社会資本整備審議会河川分科会
会長 西谷 剛 様 委員 各位
河川整備基本方針検討小委員会
委員長 近藤 徹 様 委員 各位
「利根川水系河川整備基本方針の策定」に関する再意見書
2005年12月16日
首都圏のダム問題を考える市民と議員の会
代表 藤原 信
八ッ場ダムを考える会
代表 樽谷 修
水源開発問題全国連絡会
共同代表 嶋津暉之
遠藤保男
12月19日の社会資本整備審議会河川分科会河川整備基本方針検討小委員会において「利根川水系河川整備基本方針」に関する5回目の審議が行われます。前回の12月6日の小委員会における事務局の説明には基本的な誤りがあり、さらに、基本方針事務局案は、数字の辻褄合わせをしただけの現実性のない案であると判断されますので、意見書を再度提出します。私たちの主な意見は下記の4点です。
委員会におかれましては拙速に事務局案を承認することなく、利根川水系の専門部会を設けて、委員自らが専門的な検討を行い、さらにパブリックコメントを求めて、その意見提出者と河川管理者が議論できる場を提供することを強く要望します。
一般市民の意見にも耳を傾け、根本に立ち返って利根川水系河川整備基本方針について真っ当な審議を行うことを求めます。
1 「八ッ場ダムが最後」という事務局説明の誤りを問題にすべきである。
12月6日の小委員会では資料2の3ページ「1-1-2 河川ごとの方針 (1)利根川本川上流部」の説明において、事務局は「洪水調節施設の整備は八ッ場ダムが最後である。」と言明しました。しかし、基本方針案の数字を見れば明らかなように、基本方針案の内容は八ッ場ダムだけで洪水調節施設が完了するというには程遠いものです。基本方針案では八斗島地点上流の洪水調節必要量は毎秒5,500m3となっています。河川局の計算によれば、利根川上流部にある既設6ダム+八ッ場ダムによる八斗島地点の洪水調節効果は平均で毎秒1,600m3ですから、残り3,900m3はダム等によって調節する必要があります。2で述べるように、烏川水系の下久保ダムの治水機能増強や河道内調節池の設置はさほど大きな効果はありませんので、3,900m3のほとんどは新規ダムに依存することになります。1,600m3と3,900m3から、必要な新規ダムの基数を求めると、(烏川水系も含めて)17基にもなります。
利根川上流では治水目的を含む多目的ダム計画が次々と中止されてきています。中止になったダム計画は4基で、その合計貯水容量は約2億m3にもなります。治水ダムがどうしても必要ならば、中止した4ダムを治水専用にしてダム計画を再構築し、利根川上流のダム治水容量の大幅増強を図るはずですが、国土交通省はそのような検討もすることなく、4基のダム計画をあっさりと中止しました。このことは、ダム治水容量の増強には緊急の必要性がなく、これから治水ダムを新たに計画して建設することがきわめて困難であること、事実上不可能になっていることを物語っています。
今回の基本方針案はこのように事実上不可能な多数の新規ダムの建設を前提としているのです。このことをカモフラージュするために、事務局は「利根川本川上流部では八ッ場ダムが最後である。」と説明したのでしょうが、それは方針案の内容と全く異なる説明です。委員会はこの事務局の説明における基本的な誤りをなぜ問題にしないのでしょうか。委員会は現実性が全くない基本方針案を承認しようとしていることの責任を自覚すべきです。
なお、基本方針案が現実性を全く失っているのは、3で述べるように基本高水流量がきわめて過大に設定されているからであって、基本高水流量を科学的な手法で求めれば、八ッ場ダムを含め、新たなダム建設が不要となる基本方針に改めることができます。
2 基本方針案の記述のまやかしを問題にすべきである。
基本方針案では下久保ダムの治水機能増強や烏川の河道内調節池の設置が強調され、それらが八斗島地点に対してあたかも大きな洪水調節効果を持つかのように書かれていますが、それらの効果はさほど大きなものではありません。現在の下久保ダムはダム地点において最大洪水流入量毎秒2,000m3のうち、その3/4の1,500m3をカットすることになっていますから、ダムの嵩上げや貯水容量の用途振替で下久保ダムの洪水調節容量をいくら増やしても、最大であと500m3しかカットすることができません。それによる八斗島地点への効果はせいぜい100m3前後ではないでしょうか。また、河道内調節池の効果も小さなものです。たとえば小貝川に最近設置された母子島遊水池(面積1.6平方km、洪水調節容量500万m3)の洪水調節効果はすぐ下流の黒子地点で毎秒100m3ですから、仮に同規模の遊水池を烏川の河道内に設置しても八斗島地点に対する効果は数十m3です。このように、下久保ダムの治水機能増強や烏川の河道内調節池設置の効果は小さなものなのです。
そして、不可解であるのは、基本方針案は下久保ダムの治水機能増強や烏川の河道内調節池設置が大きな効果があるように記述しておきながら、一方で、烏川が利根川に合流する洪水流量(計画高水流量)を従前の計画と同様、毎秒8,800m3にしていることです。これらがもし大きな治水効果を持つならば、計画高水流量が従前の値よりも小さくなるはずです。同じ計画高水流量が踏襲されているということはそれらがさほどの治水機能を持たないこと、単に目くらましのために、すなわち、非現実的な新規ダム建設の必要性が前面に出ないように、下久保ダムの治水機能増強や烏川の河道内調節池の設置が記述されたことを意味しています。委員会はこのような記述のまやかしをなぜ問題にしないのでしょうか。委員会はもっと真剣に基本方針案の内容を吟味すべきです。
3 従前からの過大な基本高水流量を再検証すべきである。
基本方針案が八ッ場ダムも含め、非現実的な数多くの新規ダム建設を必要するものになっているのは、従前からの基本高水流量毎秒22,000m3(八斗島地点)が過大であることにあります。この数字は、200年に1回の洪水とされる昭和22年のカスリーン台風が再来した場合の流量を洪水流出モデルで計算したものですが、その計算値には二つの面で大きな疑問があります。第一は、カスリーン台風の実績洪水流量は毎秒17,000m3であって(それも観測流量ではなく、実際値よりも過大だと指摘されている)、当時の上流部の氾濫面積から見て、氾濫流量を加算しても、22,000m3にまで膨れ上がるはずがないことです。第二は、森林の保水力の向上が全く考慮されていないことです。当時は戦後間もないころで、戦時中の森林乱伐により、利根川流域の山の保水力が著しく低下していた時代でした。その後、植林が盛んに行われ、森林が生長してきましたから、現在は当時と比べれば山の保水力が大きく向上しています。このことを指摘する意見は委員会においても出されています。
この二点を踏まえて、すなわち、カスリーン台風時の氾濫流量を正しく把握し、さらに森林の成長による山の保水力の向上を前提として科学的な計算を行えば、カスリーン台風の再来による最大洪水流量は毎秒22,000m3よりはるかに小さい値になるはずです。
12月6日の委員会資料では、使用した洪水流出モデルの妥当性を最近の洪水で検証した結果だけが示されましたが、その計算結果は最初の土壌湿潤状態などの設定条件によって大きく変わりますから、単に計算結果だけを示しても意味がありません。
委員会には河川工学の専門家が何人も入っているのですから、基本高水流量の計算を事務局まかせにするのではなく、委員自らが基本高水流量の科学的な検証を行うべきです。河川工学が専門の委員はなぜ自分の専門知識を使って基本高水流量の検証を行わないのでしょうか。
科学的な検証を行えば、基本高水流量は毎秒22,000m3よりはるかに小さい値になり、現実性がある基本方針を策定することができるようになります。
4 数字の辻褄合わせをしている基本方針を策定すべではない。
基本方針案は、基本高水流量(八斗島地点)をきわめて過大な毎秒22,000m3にしたため、数字の苦しい辻褄合わせをしているところが随所にみられます。たとえば、中川から江戸川に入る洪水流量はゼロになっていますが、それは両河川の洪水ピーク時刻が大きくずれた場合です。実際には、当然のことながら、雨の降り方によって両河川の洪水ピーク時刻が一致することがありますから、その場合は中川の洪水ピーク流量毎秒500m3が江戸川の洪水ピーク流量に加算されます。また、小貝川については毎秒1,300m3の洪水が利根川に合流したにもかかわらず、利根川への影響がゼロになっていますが、これも理解しがたい話です。
とにかく、非現実的な毎秒22,000m3からはじまって、数字を割り振っていくから、随所に説明に苦しいところが出て、辻褄合わせをしなければならなくなっているのです。
このように、辻褄合わせをしなければならないような基本方針を策定して何の意味があるのでしょうか。委員会は、事務局案を根本から見直し、現実的で意味のある基本方針の策定を事務局に求めるべきです。
~~~転載終わり~~~
まさのあつこ atsukom@mrj.biglobe.ne.jp
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2006年01月04日 旧法と新法に基づく治水計画の違い (カテゴリー: 法律・制度 , 八ッ場(やんば)ダム )
先に、旧河川法に基づいた治水計画と新河川法に基づいた治水計画でどんな違いが出たのかを整理しておきます。
以前、八ッ場ダム・ファクトシート で書いたように、
旧法に基づく治水計画(工事実施基本計画と言いました)は、
利根川の基本高水(ダムなどがない場合に流れる洪水の流量)は、22,000トン
●そのうち、16,000トンを河川改修と利根川放水路
●残りの6,000トンを上流ダム群で対処することになっていました。
そこで次のように批判をしました。
●戦前からの「利根川放水路」=計画は影も形もなし(=土地利用上は不可能)
●現在、既存のダム6つと八ツ場ダムができたとして1600トンしか手当てできないのに、6,000トンを上流ダム群で手当てするとしたら、あと4,400トンはどうするのか?単純計算であと12の上流ダム群必要になる。不可能、非現実的ではないか?
それが新法に基づく治水計画(河川整備基本方針と言います)でどうなったかと言うと、
●案の定、誰が見ても非現実的な利根川方水路は、消滅しました。
●そして「16,000トンを河川改修と利根川放水路」だったのが、今度は「16.500トンを河川改修と利根川方水路の代替」となりました。代替とは、印旛沼を洪水調整池として活用することです。また、河川改修と印旛沼活用で500トン増やした分、上流ダム群への依存度が500トン減りました。
つまり、基本高水22,000トンを変えずに、旧法→新法 で、
●河道で治水する量が、16,000トン→16.500トン
●利根川方水路建設→印旛沼の活用
●上流ダム群6000トン→「洪水調節施設」という表現になって5500トン
と3つの大きな変化があったわけです。
審議委員たちはこの変化に対し
・「幻の利根川方水路が消えた」ことを幾分楽しそうに評し
・下流で手当てする500トン分の増加分を「堤防に負担をかけることになる」と顔をしかめて見せ
・印旛沼の水質にとって良いのではないかと述べました
つまり、すべて単なるコメント、感想です。
専門家でなくても言える程度の、しかし専門家らしく聞こえるコメントでした。
その他は、自分の専門分野から単に「発言のための発言」を委員長から指名された際に、仕方なく一言づつ行ったという印象です。(中学生を持つお子さんのいるある傍聴者は、 「あれくらいならウチの子でも言えるなぁ」と呆れていました)
ところが、責任ある専門家であれば、当然沸き起こってくるであろう、以下のような不思議な点については、当初、質問すら出てきませんでした。
・500トンの上流・下流の不思議な突然の増減(数字の操作)の根拠
・上流(ダム群)で対処する500トン減りはしたけれど、5500トンという依然として膨大な「洪水調節施設」をどうやって上流で確保するのかという重要な点(私自身、八ツ場ダムの大きさで換算したら、それはあと12基のダムが必要という膨大な数でした)に対するシンプルな疑問
・治水安全度を大きく保ちたいという気持ちは分かるが、12基分のダムを作るということが(もうダム適地など残っていないから)、非現実的だということを考えれば、そもそも22000トンという基本高水が(たとえどういう計算で出てきたにしても、100歩譲って計算が正しいにしても)非現実的ではないかというシンプルな疑問
これらの疑問については、あまりにも審議がなかったために、市民団体からは2回目の意見書が出されていきました。あとで転載します。
まさのあつこ atsukom@mrj.biglobe.ne.jp
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2006年01月04日 審議会と市民の関係(審議の回数) (カテゴリー: 法律・制度 , 八ッ場(やんば)ダム )
まずは、市民団体からの意見書に審議会(「河川整備基本方針検討小委員会」という名が長いので、ここではこう呼びます)が反応したことについてです。
利根川水系については、計5回、審議が行われました。
河川整備基本方針検討小委員会 <利根川水系>
●第三十回河川整備基本方針検討小委員会 (平成17年12月19日)
●第二十八回河川整備基本方針検討小委員会 (平成17年12月6日)
●第二十四回河川整備基本方針検討小委員会 (平成17年11月9日)
●第二十二回河川整備基本方針検討小委員会 (平成17年10月12日)
●第二十一回河川整備基本方針検討小委員会 (平成17年10月3日)
これは、淀川3回、吉野川2回に対して、多い。この審議回数の差は、利根川の審議の度に、傍聴人がたくさん来ていたことと、意見書が何度も出されたせいではないかと思います。その中身は追って触れることにしますが、審議委員たちに宛てられた市民団体による最初の意見書の中身は以下の通りです。
転載します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
社会資本整備審議会河川分科会
分科会長 西谷 剛 様
委員各位
河川整備基本方針検討小委員会
委員長 近藤 徹 様
委員各位
「利根川水系河川整備基本方針の策定」に関する意見書
2005年11月15日
首都圏のダム問題を考える市民と議員の会
代表 藤原 信
水源開発問題全国連絡会
共同代表 嶋津暉之 遠藤保男
今般、河川整備基本方針検討小委員会において行われた「利根川水系河川整備基本方針の策定」に関する議論を傍聴しました。11月9日の小委員会における近藤徹委員長による「方針を書くための議論は全うした」との発言に対し異議を申し立てたく、意見書を提出します。
1 拙速な審議を改めるべきである
利根川水系河川整備基本方針案に関する審議は次回の小委員会で終わりというスピードで進んでいます。利根川水系に関しては、10月3日の第1回で1時間、10月12日の第2回で1時間、今回11月9日の第3回で2時間の審議を行っただけです。それも、その大半の時間は事務局からの説明に使われており、審議といっても、各委員が1回程度発言するだけです。利根川水系のように巨大な河川についてなぜ、このように短い時間で、議論らしい議論もしないまま、審議を終わらせようとするのでしょうか。2、3で述べるように、事務局が示した基本方針案には基本的な問題があるにもかかわらず、それがほとんどそのまま、小委員会で承認されようとしているのは、議論すべきことを議論していないからです。河川法が改正されてから早くも8年が経過しました。本来はもっと前から利根川水系の河川整備のあり方について着実な議論を積み上げてくるべきであったにもかかわらず、8年間は何もせず、この場になって急に猛スピードで審議を終わらせ、事務局案をほとんどそのまま承認しようとするのは理解しがたいことです。小委員会においては、利根川水系等の水系ごとに専門部会を設け、事務局案だけに依拠するのではなく、委員自らが専門的な検討を行い、さらにパブリックコメントを求めて、時間をかけて議論し、しっかりした審議を行うべきです。
2 過大な基本高水流量を見直すべきである
利根川水系河川整備基本方針案の大前提である毎秒22,000m3の基本高水流量(八斗島地点)はきわめて過大な値です。この数字は、200年に1回の洪水とされる昭和22年のカスリーン台風が再来した場合の計算流量ですが、その計算に用いた流出モデルは現在の流域の状態に適合させたものではありませんから、非常に過大な値が算出されています。カスリーン台風の実績洪水流量は毎秒17,000m3であって(それも観測流量ではなく、実際値よりも過大だと指摘されている)、当時の上流部の氾濫流量を加算しても22,000m3にまで膨れ上がるはずがありません。当時の氾濫面積からの検証を行えば22,000m3が架空のものであることが明らかになります。しかも、当時は戦後間もないころで、戦時中の森林乱伐により、利根川流域の山の保水力が著しく低下していた時代でした。その後、植林が盛んに行われ、森林が生長してきましたから、現在は当時と比べれば山の保水力が大きく向上しています。流域の状態の変化を踏まえた科学的な検討を行えば、カスリーン台風が再来した場合の洪水流量は22,000m3よりはるかに小さい値になるはずです。科学的な検討を何ら行うことなく、工事実施基本計画の基本高水流量の数字をそのまま踏襲したのが、今回の基本方針案です。
事務局の資料では、流量確率法と既往洪水流量によって22,000m3の妥当性を検証したことになっていますが、その検証に使った計算モデルは上記と同様に現在の流域の状態に適合させたものではなく、過大な値を算出するモデルですから、検証したことには全くなりません。
利根川水系工事実施基本計画の基本高水流量は、今から約25年前に定められたものです。その後、流量等の観測データがかなり蓄積され、解析手法も進歩してきました。工事実施基本計画の数字に固執することなく、蓄積された観測データを用いて最新の解析手法で、さらに、現在の流域の状態を踏まえて、合理的な基本高水流量を求めるべきです。
3 現実性のない基本方針を定めるべきではない
今回の河川整備基本方針案は毎秒22,000m3という過大な基本高水流量を踏襲したため、従前の工事実施基本計画と同様に、現実性のないものになっています。今回の方針案では幻の放水路といわれ、実現が不可能とされていた従来の利根川放水路はなくなりましたが、まだ、実現不可能なものが多く含まれています。その端的な例は、利根川上流ダム群の建設です。今回の方針案では利根川のダム依存分(八斗島上流)が毎秒500m3減ったとはいえ、まだ5,500m3もあります。国土交通省の計算では既設6ダムと八ッ場ダムの効果は毎秒1,600m3ですから、残りの3,900m3への対応が必要となります。今回の案では下久保ダム等の再編成や烏川での遊水池建設も行うことになっていますが、それらの治水効果はさほど大きなものではありませんので、やはり利根川水系にこれから大規模ダムを十基以上つくらなければなりません。この点は従前の計画と基本的に変わりません
ご承知のように、利根川上流では治水目的を含む多目的ダム計画が次々と中止されてきています。中止になったダム計画は4基で、その合計貯水容量は約2億m3にもなります。治水ダムがどうしても必要ならば、中止した4ダムを治水専用にしてダム計画を再構築し、利根川上流のダム治水容量の大幅増強を図るはずですが、国土交通省はそのような検討もすることなく、4基のダム計画をあっさりと中止しました。この事実は、ダム治水容量の増強には緊急の必要性がなく、これから治水ダムを新たに計画して建設することがきわめて困難であること、事実上不可能になっていることを物語っています。以上のように今回の基本方針案は実現不可能なことを含む、現実性のない内容になっているのです。そのように現実性のない基本方針を策定して何の意味があるのでしょうか。
以上、述べたように、利根川水系河川整備基本方針に関する小委員会の審議は、最低限、議論すべき点を欠如したまま、次回で終わろうとしています。利根川は1都5県におけるさまざまな立場や利害、関心が絡む大河川でありますので、実際のデータに基づいて科学的な議論を、時間をかけて行い、事務局案の抜本的な見直しをされることを強く要望します。また、広く意見を聴取する機会を設けられることも強く要望いたします。
~~~転載終わり~~
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2006年01月04日 利根川の河川整備基本方針 (カテゴリー: 法律・制度 , 八ッ場(やんば)ダム )
旧年中に整理しようと思ったことが今年になってしまいました。昨年、傍聴した社会資本整備審議会の河川分科会の河川整備基本方針検討小委員会で審議された「利根川水系」についてです。
以下、私なりの論点ですが、いくつかのことを整理していきたいと思います。
●「八ツ場ダムは最後のダム」ということが河川計画課長の口から飛び出たことと、「ダム再編」という概念。
●幻の「利根川方水路」の計画がついに消滅したこと。
●市民団体からの意見書に審議会が反応したこと。
●最後の最後に群馬県知事代理が河川計画課長に確認をした河川整備基本方針と河川整備基本計画の関係(議論の過程で、審議委員や委員長が確認しようとした一般論としての河川整備基本方針と河川整備基本計画の関係)
●利根川に限らず、小委員会内外での議論から感じざるを得ない現行の「河川法」の無理
順不同になるかもしれませんが、整理します。
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2005年11月27日 利根川の基本高水はドンブリ勘定だった (カテゴリー: 八ッ場(やんば)ダム )
経済財政諮問会議でも財政制度等審議会でも「特別会計改革」が盛んに議論された秋だった。それなのに、その一つ「治水特別会計」から支出される4600億円の八ッ場ダム事業は…というわけで、行ってきました。ストップ!八ッ場ダム-住民訴訟1周年集会-。(写真は受付の面々)
・ 利根川の基本高水を、1980年当時、建設省で決めあぐねて、関係知事に聞いたら「大きめ」がよいとなって決まったどんぶり勘定的なものだったこと
・ 千葉県が平成14年に2千万円をかけて行った「包括外部監査」では外部監査人が水余りを指摘していたこと
・ 栃木県では市町村のハザードマップの変更の結果、想定していた氾濫地域が小さくなったこと
(写真は6都県の原告の面々)
などなど、それぞれ各都県の住民達や弁護士たちが調査研究の結果、次々と新しい事実を掘り起こしていることを知りました。
さて、一方、現在、国交省の「社会資本整備河川分科会河川整備基本方針検討小委員会」(ながっ!)では、このような事実が埋もれたままの状態で審議され、「訴訟」の「そ」の字も出ません。まして、河川整備基本方針の根幹を成すとも言える「基本高水」が、今日披露されたような、ずさんかつ非科学的な立て方をされていることも知ってか知らずか、まったく議論されていません。学識経験者が集う審議会なのに。(それって、ひょっとして、姉歯の構造計算と建築確認機関のような関係?そしてしわ寄せはやっぱり・・・・住民)
それには「委員の人選」にも問題があるのではないかという点も提起されました。同委員会の委員長である近藤徹氏は、『「旧建設省出身者」であり、平成8年1月からは「水資源開発公団総裁」(平成15年10月から水資源機構理事長)』としてダムを推進してきた人物だから、「出来レース」ではないかと(只野靖弁護士)。
そりゃそうだな、と思いました。
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2005年11月24日 参考資料 (カテゴリー: 八ッ場(やんば)ダム )
これから語っていこうとすることに関する参考資料の一部は次の通りです。
★国交省の河川整備基本方針検討小委員会
の議事録と資料
平成17年11月9日<利根川水系>
平成17年10月12日<利根川水系、淀川水系>
平成17年10月3日 <利根川水系、淀川水系>
このうち私が傍聴したのは、利根川に関しては11月9日のものだけなので、現在、それ以外のふたつの議事録を読んでいます。
★ 月刊誌「世界」岩波書店で、基本高水論争が展開中です。
新潟大学の大熊孝教授による2004年10月号の論考が口火を切り、その後、社会資本整備審議会河川分科会委員などによる反論、その反論で、2005年4月号、6月号、10月号、11月号、12月号と来ています。
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2005年11月23日 訴訟一周年集会 (カテゴリー: 八ッ場(やんば)ダム )
今週末は「STOP八ッ場ダム住民訴訟一周年集会」に取材にいくつもりです。
日時:2005 年11 月27 日(日)午後1 時15 分~4 時20 分
場所:南大塚ホール(東京都豊島区南大塚2‐36‐1)TEL 03‐39464301
JR大塚駅南口下車 徒歩約5 分/丸の内線新大塚駅下車 徒歩約8 分
集会のパンフには
『「裁判をやってよかった」と心から思います。(略)それはこの計画に、『水没地と周辺の住民がどんなに苦しもうとも、水環境がどんなに変化しようとも、事業費がどんなにアップしようとも、計画の見直しをしないという異常な問題点があるからです』とあります。
この訴訟については、1都5県の第一回口頭弁論からの模様の短信が八ッ場ダムをストップさせる市民連絡会の 「ニュース&チラシ」というコーナーにすべて掲載(1号~8号)されていて、動きを追うことができます。
以下は、そのメール版の転載です。
+++++++転載歓迎++++++++++++
八ツ場ダム住民訴訟1都5県ニュース
第8号(05年11月15日)
+++++++++++++++++++++++
【お知らせ】★八ッ場ダム住民訴訟一周年集会★
2005年11月27日(日)1:15~4:20 in 南大塚ホール
(JR大塚駅南口下車徒歩5分/豊島区南大塚2-36-1)
主催:八ッ場ダムをストップさせる市民連絡会 1000円。詳細は
http://www.yamba-net.org/modules/news/article.php?storyid=141
【茨城の会】
10月4日第4回裁判。被告県側は?原告の訴えは国の政策であり財務会計行為ではない?対価どおりダムは造られ、水も得られる。損害は掛けていない、と裁判の棄却を求めてきた。政治も行政も本来は市民の直接参加で行われるものだ。間接民主主義は便宜的なもので、もともと不完全なものだ。異議ありの声があれば県は謙虚に受止め説明に努めるべきだ。門前払いは、民主主義の冒涜だ。次回12月13
日反論する(神原)
【栃木の会】
第5回の対県知事訴訟(南摩・湯西川・八ツ場ダム)は11月24日10時。本論の財務会計行為に関する釈明が行われるか、注目したい。対宇都宮市長の訴訟(湯西川ダム)は12月14日10時。次回以降、鳥瞰図的な資料が出てくれば、争うことができる。南摩ダムの関連ダムである県営東大芦川ダムを中止させた2周年記念に、地元住民が「ダム中止顕彰の碑」を建立。ダム訴訟では被告の前知事も、除幕式には主賓で招かれた。(葛谷)
【群馬の会】
9月19日、八ツ場ダムを考える会との共催で学習会「地下水こそ生活用水源に!~前橋、高崎の地下水」を行った。講師は地質環境コンサルタントの和田信彦氏と嶋津暉之氏。その中で、草津温泉万代鉱源泉の砒素濃度がかなり高いこと、品木ダムの中和生成物(浚渫物の土捨て場の土砂)からは指定基準以上の砒素が検出されたことが明らかになった。今後の裁判の貴重な資料になればと思う。第5回裁判は12月16日(金)13時半より。(真下)
【東京の会】
10月5日の第5回裁判も傍聴席は満席。高橋弁護士がダムの必要性、安全性に関わる訴状の根幹部分での議論を求めるが被告はこれを避け、裁判長も消極姿勢。論点整理のために「次回裁判の前に弁論準備の打ち合わせを」となった。12月12日(月)11時から東京地裁。終了後弁護士会館で説明会。原告からパワーポイントの使用を要求する。11月初めの現地ツアーでは紅葉の渓谷、ひなびた温泉街など残していくべきものを再確認した(懸樋)
【埼玉の会】
10月30日、下久保ダムの見学会を開催。下久保ダム・譲原地すべり館を見学した後、鬼石町の関口町長さんのお話を伺った。関口町長は、山間の町の役割は森林と川を守ること、自然の摂理に反した巨大施設は自然も人も荒廃させる、と話された。その後ダム直下の三波石峡・やや下流の荒廃した渓谷を見て帰る。次回裁判は11月30日(水)11時。原告側から下久保ダムを例にして意見陳述を行う予定。
(藤永)
【千葉の会】
県の決算委員会で八ッ場ダム事業に関する質問が多く出された。過大な水需要計画となっていること、本事業の必要性ありと結論づけた再評価委員会のあり方についても追求されたが、水道局は説得力に欠ける答弁に終始した。今週18日の裁判に向けて、被告側から「住民訴訟制度の趣旨を逸脱した濫用の請求である」とする準備書面が提出されている。法廷においても県は門前払いすることなく、その説明責任をきちんと果たすべきだ。(入江)
【予定地(群馬県長野原町)の今】
水没五地区では、代替地計画の意向調査が行われた。全水没の川原湯、川原畑地区では、計画当初280世帯あったが転出が進み、現在、世帯数が1/3に減少。その中で代替地へ移転を希望した世帯は50世帯余にとどまった。現地は県内屈指の紅葉の名所、吾妻渓谷を抱えるが、トンネル、橋梁等の工事が進み、発破作業の騒音、大型ダンプカーの通行が、観光地である同地の環境に大きな打撃を与えつつある。(八ッ場ダムを考える会)
【発行】
八ッ場ダムをストップさせる市民連絡会/八ッ場ダム住民訴訟弁護団/八ッ場ダムを考える会 http://www.yamba-net.org/八ッ場ダム訴訟サイトhttp://www.yamba.sakura.ne.jp/
連絡先:042-341-7524(深澤)048-825-3291(藤永)
+++++++転載歓迎++++++++++++
まさのあつこ atsukom@mrj.biglobe.ne.jp
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2005年09月10日 政党占い (カテゴリー: 八ッ場(やんば)ダム )
こちらでお知らせした9月2日に行われた八ッ場ダム学習会の報告はこちらです。
呼びかけておきながら、私自身は、三重県の速水林業を会場に行われた「林業塾」に参加しており(ヒトの日程を調整するうち、自分のをコロっと忘れていた(懺悔)、当日の世話役をKさんに「頼みます!」と任せて…。
でもおかげさまで、予想を上回る盛会で、資料も足りなかったと嬉しい悲鳴をあとで聞かせていただいたのですが、もし、このブログを見ていらした方がいらしたら、すみません。
さて、今週末は選挙です。
私の回りでは2005年夏のマニフェスト占いという「政党占い」が、ワサワサと流行っています。
設問に答えると「あなたにピッタリな政党は○%」と出てくる。
大きな争点は網羅されており、ちょっと面白いです。
私自身は、自衛隊のイラク撤退、インド洋撤退が基本のキだろうと思っています。
戦争を第二の「公共事業」にしてはならない。
まさのあつこ atsukom@mrj.biglobe.ne.jp
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2005年08月30日 各政党へのアンケート(八ッ場ダム) (カテゴリー: 八ッ場(やんば)ダム )
林業塾へいくので、ドタバタしている。
選挙を前に、市民団体が八ッ場ダム事業について行った各政党へのアンケー トの結果の発表(自民、民主、公明、共産、社民が回答)はこちらです。
2005年08月19日 自治体議会と八ッ場ダム (カテゴリー: 八ッ場(やんば)ダム )
地方自治法第99条は、「普通地方公共団体の議会は、当該普通地方公共団体の公益に関する事件につき意見書を国会又は関係行政庁に提出することができる」と定めています。
八ッ場(やんば)ダムの受益者となる1都5県内の基礎自治体の議会では、この法律に基づいて、事業の「中止」や「見直し」を求める意見書を出した自治体が、かなりの数あります。
これらの自治体の住民は、八ッ場ダムができると、「安全な地下水」に代わって、「魚も住めない強酸性の吾妻川(利根川支流)の水を石灰で中和させ、ダムで貯めて取るダムの水」を飲ませられます。そんな非合理、非経済なことを許してはならないという意思が込められています。
【はっきりと中止を求めた議会】
●東久留米議会:「八ッ場ダムの建設計画を中止することを求める意見書」2004年6月22日
【見直しを求めた議会】
●小金井市議会:「水余りに逆行し、無駄な公共事業となる八ッ場ダム計画の廃止を求める意見書」2004年3月26日
●小平市議会:「八ッ場ダム建設見直しを求める意見書」2004年6月29日
●佐倉市議会:「八ッ場ダム事業の見直しを求める意見書」2003年3月
●習志野市議会:「八ッ場ダム事業の見直しを求める意見書」2003年6月
●船橋市議会:「八ッ場ダム事業の見直しを求める意見書」2003年9月
●四街道市議会:「八ッ場ダム事業の見直しを求める意見書」2003年12月
かつて永田町にいた経験からすると、「見直し」というのは保守的な方のために、少し耳障りのいい言葉にしただけの話で、実際には「中止」という意味があります。政策秘書として、「中止」という案文を書き、さまざまな配慮で「見直し」と書き直した経験が実際にあります(笑)。
それから、さすがご当地です。
中止も見越して、予定地の生活再建を求めた議会もありました。
●群馬県議会:「八ッ場ダム予定地の生活再建への万全の対処」2004年6月
市民からの陳情の結果、「趣旨採択」という扱いになった自治体もあります。
●東大和市議会:「八ツ場(やんば)ダム建設見直しを求めます」の趣旨採択2004年9月17日
陳情要旨は、①東大和市議会が東京都に対してダム建設費の多額の負担金について再検討を求めるよう働きかけてください。②政府に対し、八ッ場ダム建設について抜本的見直しを行うことを働きかけてください、でした。
議会会派によって合同要望書が出された自治体もありました。
●千葉県議会:4会派(日本共産党、社民・県民連合、市民ネット・無所属市民の会、水と緑の会)から合同要望書 2003年12月議会 ①国交省の意見照会に対し、回答を急がず十分審議を重ねること、②県の今後の人口予測と水需要を外部の有識者を入れて再精査し、八ッ場ダムの必要性を抜本的に見直すこと。
★そして、さらに★
【八ッ場ダムと井戸水の関係】
東京都の多摩地域では、もしも八ッ場ダムができると、現在飲んでいる美味しい地下水が、ダムのマズイ水に切り替わることに危機感をいだき、次のような多くの自治体で意見書が東京都に提出されました。
●小金井市「多摩地域の水道水に使われている地下水を水道水源として位置づけることを求める意見書」2004年3月議会
●小平市、多摩市、国立市、西東京市、小金井市、日野市、昭島市、国分寺市、武蔵野市:「多摩地域の地下水を水道水源として安定的に飲み続けることを求める意見書」2004年9月議会
★さらに、さらに最新情報★
市長会から06年度の東京都予算編成に対する要望事項に、「多摩地区の上水道用地下水の活用について」という項目が入ったそうです。内容は以下の通り。
~~~~~~
要望事項18 「多摩地区の上水道用地下水の活用について」 要望先 水道局
(要 旨)
多摩地区の取水用井戸の積極的な活用をはかり、河川水と地下水の割合については現状の割合を確保されたい。
(説 明)
多摩地区の地下水は、地盤沈下が沈静化した昭和60年代以降、日平均排水量127万トンと29%の揚水実績があり、平常時はもとより、渇水時や震災時においても身近に利用できる貴重な水源である。
また、地下水は「おいしい水」の要件とされる適度なミネラル分を含み、水温も年間を通じてほぼ一定している。
都水道局は平成15年度に策定した「多摩地区水道経営最善基本計画」に基づき、統合25市町への業務委託を解消し、平成24年度を目途に都水道局が直接運営する移行計画を推進中である。
移行後においても、都水道局が保有している260本の取水井戸の計画的な更生工事と取水ポンプの更新を行うなど維持管理の充実と積極的な活用を継続し、安全でおいしい水の広域的な確保を図られたい。
~~~~~~
これを踏まえれば、どうすべきか。
事業進捗は予算ベースでまだ4割。引き返すなら今。
1都5県、国交省、内閣総理大臣、関係機関は「見直す」べきでしょう。
まさのあつこ atsukom@mrj.biglobe.ne.jp
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2005年08月17日 八ッ場(やんば)ダムの学習会 (カテゴリー: 八ッ場(やんば)ダム )
昨日、民主党のマニフェストに「八ッ場(やんば)ダム」の中止が書き込まれたことはお伝えしました。
改めてその部分だけを抜粋します。
「国直轄の大型事業を5割、1.3兆円を目標に削減します。ムダづかいの象徴である川辺川ダム事業(熊本県・総事業費2650億円)や吉野川可動堰計画(徳島県・総事業費1040億円)、八ツ場ダム事業(群馬県・総事業費4600億円)など、大規模な直轄公共事業の建設や計画をすみやかにストップし、真に地域振興となる事業に切り替えます。」
公共事業としての妥当性と必要性を失った事業に対する適切な判断かと思います。
最後に「真に地域振興となる事業に切り替えます」とありますが、それについて具体的に提案をしている市民法案を含めた八ッ場ダムの学習会が催されます。
八ッ場(やんば)ダムについての学習会
群馬県長野原町に計画される八ッ場ダム事業(国交省事業)が抱える問題、その解決策の一つとしての「ダム計画中止に伴う生活再建支援(市民)法案」などの提案を説明します。
日時:9月2日(金)18:00~
参加費:500円(資料代)
場所:弁護士会館10階 1002室
講師:嶋津暉之(水源問題開発全国連絡会共同代表)
主催:オーフス・ネット
* 詳しくは、こちら
~~~~~~~~~
★なお八ッ場ダム中止という民主党マニフェストへの群馬での反応はこちら。
まさのあつこ atsukom@mrj.biglobe.ne.jp
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2005年08月16日 豆腐屋とマニフェスト (カテゴリー: 八ッ場(やんば)ダム )
朝日新聞の生活面「戦後60年家族」で「ふるさとが沈む」という八ッ場ダムの特集が組まれました。
2005年8月10日
ダムと生きる重み、詩に-生活しながら闘う。それが川原湯
2005年8月11日
根付こうと頑張った。子らの成長が支えだった。
2005年8月12日
-温かな「湯の街」再び 僕たちは犠牲者になる気はないー
今の川原湯温泉(水没予定)をとてもよく表している記事です。
先週、水没予定地をお伺いしたときに現地の方から聞いた言葉を重く思い出します。
「豆腐一つ買いに行くにも、もう近所にお店がない(転出してしまったから)んですよ。そういう状況や気持ちを理解してもらえているのかと思って」
理解していると言っても、理解していないと言ってもウソになる。しかし、あまりにも軽すぎて、そうは答えられなかった。理解して欲しいのだという気持ちを受けとめるだけで一杯になる。
現地では今、代替地への移転の意向調査を行っている最中です。
一方で、今日、民主党がマニフェストを発表し、そこに八ッ場ダムの中止が書き込まれました。
>国直轄の大型事業を5割、1.3兆円を目標に削減します。
という中の一つです。
その項目の最後にはこうあります。
>「真に地域振興となる事業に切り替えます」
まさのあつこ atsukom@mrj.biglobe.ne.jp
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2005年07月09日 八ッ場ダム・ファクトシート (カテゴリー: 八ッ場(やんば)ダム )
(中和工場でのpHの数字を間違えてしまいました!お詫びおよび訂正いたします!!7月13日)
八ッ場ダムについて、人と話をする機会があり、メモを作成しました。
せっかくですので、皆さんにも共有していただきたいと思い、こちらにも掲げることにしました。
なお、このメモでは、水没予定地の「涙の半世紀」には触れていませんので、それを想像しながら読んでいただければ幸いです。
(元もとA4サイズ2枚に収まるように作ったので、少々見づらいですが、ご容赦ください)
八ッ場ダム 現状と問題
1.ダラダラといつの間にか始まるダム計画-住民との合意形成なし
1947年(昭和22年)カスリン台風
1949年 利根川上流ダム群計画
1952年 ダム調査通知が群馬県長野原町に 以後1992年まで半世紀にわたるダム闘争
2005年 (事業進捗4割)→2010年完成(国交省)予定は実は2020年に?(首都圏人口は2015年から減少)
2.治水計画 1/200年 -破綻済み
基本高水(ダムなどがない場合に流れる洪水の流量)22,000トン想定(1947年)
治水計画(16,000トンを河川改修・利根川放水路) + (6,000トンを上流ダム群)
しかし
― 戦前からの「利根川放水路」=計画は影も形もなし(=土地利用上は不可能)
― 計画6,000トン - 1600トン(既設6ダムと八ツ場ダム) =あと4,400トンは?
・・・単純計算であと12の上流ダム群必要=不可能、非現実的
実は
― 過大すぎる想定 ブックレット 『八ツ場ダムは止まるか』P.32グラフ 必見
― 既往最大は17000トンなので「何もしない」選択肢がありえるが、議論されない
・・・・・河川法に基づく河川整備基本方針の欠点、常識論の入り込む余地なし
・・・・・国交省と社会資本整備審議会の密室で決まる
3.利水計画 - ムダに
背景:水資源開発促進法(昭和36年:「産業の開発又は発展及び都市人口の増加に伴い用水を必要
とする地域に対する水の供給を確保」が目的)に基づき、7水系(利根川、荒川、豊川、木曽川、淀川、吉野川、筑後川)に水資源開発計画(フルプラン)=右肩上がりの経済成長が前提
しかし
現実:東京は75年、6都県は90年に水需要頭打ち、減少 『八ツ場ダムは止まるか』P.25グラフ
4.環境 - 河川法改正(97年、治水、利水に環境加わる)、環境影響評価法制定(97年)以前の計画
5.一日60トンの石灰を必要とするダム -尋常ではない
上流に草津温泉(強酸性ph2~3)
中和工場で毎日石灰60トンを溶かし込み、品木ダムに沈殿させて、ph5.5に
未来永劫、ダムがある限り続けなければ、ダムのコンクリート壁は融けてしまう。
6.その他のリスク
地すべり ― 貯水によって誘発される、もともと地すべり多発地帯
ダムサイト ― 熱水変質、断層、岩盤に節理「ダムの基礎地盤としてきわめて不安定」(1970年国会答弁)
浅間山、草津白根山(24時間監視体制)噴火の危険 ― 満水時、決壊の可能性
7.政治背景 -なぜ、無理して計画が進められたか?
ダム闘争期:福田派VS中曽根の“上州戦争”(旧群馬3区)、首相を3人を輩出
福田赳夫(推進)、中曽根康弘(様子見→推進)、小渕恵三(ビルの谷間のラーメン屋)
96年小選挙区で、福田康夫(群馬4区)と小渕優子(群馬5区)の選挙区へ
8.事業費 -総額2110億円→4600億円に(04年度増額)
関連事業も含めると、5,850億円。起債の利息も入れると、国民負担は8800億円
各都県別負担(『八ツ場ダムは止まるか』P.20)
7.住民訴訟 -現在、第3~第4ラウンド
04年9月10日 1都5県(千葉、埼玉、茨城、栃木、群馬)に住民監査請求(5391人)
→却下、棄却 04年11月に各地裁に一斉提訴。違法支出だとして返還を求める訴訟
1)水道事業管理者(水道局や企業庁長)の利水負担金
2)知事の負担金:治水負担金と水道事業特別会計への繰出金
3)知事と水道事業管理者は過去1年分の違法支出
4)水道事業管理者は八ッ場ダムの使用権設定申請を取下げて八ッ場ダム事業から撤退
*司法による行政チェックの問題点
計画段階での提訴が不可能、提訴しても事業は止まらない、自治体は住民監査請求・住民訴訟を起こせるが国に対してはできないなど、事実上不可能 ― 行政手続法、行政事件訴訟法の改正が必要
9.八ツ場ダムと日本のダム事業
・水源地域対策特別措置法 73年成立
―群馬県知事が八ッ場ダムの地元対策として提案)
水源地域整備計画、生活再建のための措置を定める
・中止ダム事業の数 2004年までに94事業が中止
1997年3事業、1999年4事業、2001年32事業、2002年3事業、2003年12事業、2004年6事業(計64事業)+ 生活貯水池(総貯水容量 100万m3未満)
・今なにが必要か?―ダムが止まった場合のルール作り
水没予定地の地域再建
ダム計画で破壊された予定地住民の生活再建
10.半世紀経過した「八ツ場ダム」事業は即刻中止すべき
まさのあつこ atsukom@mrj.biglobe.ne.jp
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2005年06月30日 当初予算を使い果たした八ッ場ダム (カテゴリー: 八ッ場(やんば)ダム )
『八ッ場ダムは止まるか』(岩波ブックレット)の取材以来、久しぶりに国土交通省関東地方整備局河川部に電話しました。八ッ場ダムの工事進捗率の正確な数字をもらうためです。
すると、担当者である広域水管理官は昨年12月に異動。後任は出張中ということで、補佐の方に、工事進捗率を聞きました。
「予算ベースで4割ちょっと」が回答。事業総額4600億円なので、その4割強と言えば1900億円ってところですね。04年度、事業総額は倍増。元は2110億円でした。
つまり、当初予算のほとんどを使い果たしたところ。
ほんらい、そこで、止めるべきですよね。
ちなみに工事の進捗率は何をもって言うかで違うので言えないそうです。「本体工事は全然ですね?鉄道は?道路は?」と聞いても、そんな数字はないとのこと。
まさのあつこ atsukom@mrj.biglobe.ne.jp
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2005年06月26日 八ッ場ダムの進捗 (カテゴリー: 八ッ場(やんば)ダム )
読んでくださっている方から、八ツ場(やんば)ダムの工事進捗はどのくらいかというご質問をいただいていました(気づくのが遅れて失礼しました)。
昨年の資料がどこかにあると思うのですが、さっと出てきませんので、「数字」は今週、国土交通省から新たに仕入れることにして、数字にはよらない物言いをさせていただきます。「まだ、全然」です。
八ッ場ダム事業は、「国」が新しい代替地を物理的に準備してそこに移住するなり他へ移住するなりしてもらって、そこに住んでおられる方を追い出して、はじめて成立します。
本来、「同意」がなくては開始できないはずのものです。
ところが、八ッ場ダム事業の場合、新しい町づくりに必要な代替地をお持ちの方々の中に、同意されていない方がいらっしゃいます。その意味で、事業全体として、まだ、全然、進捗していないと言えます。
その代わり、進捗しているのは、他のダム事業地域で起きたこととまったく同じ。
地域破壊です。
同意した人は、同意していない人のせいで、苦渋の選択をしたのにいつまでも新しい生活に移れないという心境になってしまう。もちろん、同意していない人にはなんの罪も責任もない。もちろん、思い込まされている人でもそれも分かっている。
権利関係が曖昧で、信頼の上に築かれていた地域社会で、突然、権利がお金、つまり将来の生活保障を意味するようになり、地面を持っている人と借りていた人の間の関係が崩れる。
国はこうして地域社会の崩壊を待って、事業を進めていきます。
人が破壊されたあとに、ダムができるので、私は心からダムが嫌いです。
八ッ場ダム予定地では、見切りをつけて出ていった人が多くいます。
でも、諦めて反対の旗を降ろした人でも、ダムができるまでは動かない人も多い。もし事業が止まるのであれば、そのまま住み続けたいと考えている人もいます。
私は何ができるのか。八ッ場ダムの犠牲になる人々が何を考えているのか、何を望むのかを伝える役割を担うべきなのか(しかし、それでその人々を少しでも幸せにできるのか?)、八ッ場ダムはムダな事業であると証明していくべきなのか。前者と後者は違うエネルギーと違う思考を必要とすると考え、動きが取れずにいました。
誰が、不要なもののために、一生を翻弄されたと宣告されたいでしょうか。
そこに暮らす人の気持ちに寄り添うと、私は八ッ場ダムが不要だということが言えなくなりました。しかし、ゴメンなさい。言わなくてはいけない。この事業はつじつまが合わない。ゴメンなさい。この事業はムダです。
半世紀を経てもなお、進まない事業は、自動的に終了すべきです。
社会も、必要性も、50年前とは全然違います。
国の公共事業の見直し基準を、見直すときがきたと思います。
まさのあつこ atsukom@mrj.biglobe.ne.jp
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2005年03月12日 未完成の絵 (カテゴリー: 八ッ場(やんば)ダム )
思いをつないでくださる方がいて、先日、「心からのお返事」を宛てた水出さんに、3月7日(月)、お会いすることができました。
川原湯は小春日和。でも雪景色でした。ほとんど押し掛けです。塩をまかれても不思議はないなぁと思っていたのに、実直にお話を聞かせてくださり、「前に向かって進みたい」(最後のチャンスを逃したくない)という気持ちが伝わってきました。
お聞きした中で、最もドキリとした言葉は、現実への皮肉を込めて出てきた 「絵に描いた餅を見たい」という言葉でした(はずみでおっしゃられた言葉)。
普通、「絵に描いた餅」とは、実現性がない絵空事を意味します。
ところが、川原湯には、「描くことすらできない餅」という現実がありました。まち再建の未来図はあるのだが、その未来図が物理的に途中でぷっつり切れている。それゆえに、俗に言う「絵に描いた餅」、としてすら完成していない現実を言い表された。

土地を売る人と売らない人。水没予定地と非水没予定地。地主とそうでない人。どこのダム水没予定地にもある、立場や考え方の違う人がいるままで、国家が、事業を見切り発車した結果が、その未完成な絵だ。
まさのあつこ atsukom@mrj.biglobe.ne.jp
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2005年03月06日 脱ダム後の処理 (カテゴリー: 法律・制度 , 八ッ場(やんば)ダム )
昨年末、「自治創造研究会」代表の横田昌三さんから、「ダムが中止された後、どのようなことになっているのか、会で発行しているニュースレター「地域と政策」に書いてくれないか」と依頼がありました。
「地域と政策」の宣伝を兼ね、サンプルとしてその原稿を載せさせて欲しいと頼んだところ、了解をいただきました。連絡先など文末に掲載します。
以下、自治創研レター「地域と政策」(2005.1)掲載の原稿まるごとです。
脱ダムを考える-中止後の処理
まさのあつこ/ジャーナリスト
長良川河口堰が閉まった1995年以後、自然破壊と税金のムダ遣いへの批判は燃えさかった。これが97年、環境保全や住民参加という概念を取り入れた河川法改正やダム事業を含めた公共事業見直しにつながった。ダム等事業審議委員会(95年)、ダム総点検 (97年)、公共事業の再評価制度(99年)、与党三党の中止勧告(00年)と見直しは進み、年間予算も97年に6590億円だったダム予算が04年には3800億円と4割減少した。ダム中止はもはや珍事でない(表1参照)。
ところが、中止後について定めた制度を国は持たない。そのため、各自治体が独自に試行錯誤を重ねている。以下に多くの事例の中から大分、長野、鳥取の例を挙げてみる。
表1 中止ダム事業の数
1997年 3 事業
1999年 4 事業
2001年 32 事業
2002年 3 事業
2003年 12 事業
2004年 6 事業
計 64 事業
生活貯水池(総貯水容量 100万m3未満)を含めると中止は94事業
大野町が主導した大分(矢田ダム)
00年11月、大分県大野町に予定されていた矢田ダムが中止。その際、大野町は、水没予定地域から上がった県道の拡幅など68項目を、県と国に要望した。総務課によれば、その後、国からは行政事業費として72年の計画以来にダム対策に費やした職員などの給与分2億6千万円が、県からは「矢田ダム対策費」として2億1千万円が支払われた。前者と後者の1億円を足し、3億6千万円の基金で、町が主体で68項目達成を目指している。
ハードランディングの長野(下諏訪ダム、浅川ダム)
政争の具になってしまったケースが長野だ。脱ダム宣言に伴う下諏訪ダムの中止に際し、知事はダムを止めても予定通りに土地買収を行うことを一人の地権者に確約し、その約9600万円の予算案を議会に提出。ところが議会は、予算案からその全額を削除。地権者は、買収費で買う予定だった代替地の購入契約の違約金(約680万円)と手付け金分を県に損害賠償。県がそれに応じて決着した。一方、議会は浅川ダムの請負業者への損害賠償費は、00年度に約3300万円、01年度に約1400万円を認めた。
リーディングケースの鳥取(中部ダム)
「ダム建設140億円、河川改修147億円、だからダムの方がお得」と説明した県職員に「今正直に言えば過去は問わない」と迫り、結局、河川改修78億円という本音を吐かせて中部ダムを中止した鳥取県知事。この止めっぷりにも増して見事なのは、ダム中止後の影響住民への配慮だ。自らを会長として「旧中部ダム予定地域振興協議会」を00年8月から現在まで11回にわたり開催。三朝町長、県土整備部長、三朝町助役をメンバーとしたトップ会談だが、職員が県と当該地域を行き来しながら、住民の意見を吸い上げ振興計画を作成。注目を集めたのは、186億円を投入した振興計画に、住宅の新改築に上限300万円、バリアフリー化に80万円、新築時の利子補給に60万円など(06年までに40戸が利用の予定)、日本で初めての個人に対する補償も含まれていたことだ。
補助金返還を巡るデマ
県営事業については、国への補助金返還で県財政がつぶれるとデマが飛んだ自治体もある。03年4月に国交省が「公共事業再評価など手続を踏んで中断した場合は返還を求めることはない」と通知してこの問題は決着。しかし、影響住民への補償や迷惑料、生活再建については、地域の実状に合わせ、自治体(及び議会)が主導で動かなければ対応が不可能だ。ダムは止まっても見返りなど要らないとする地域や住民もいる。また、「ダム計画中止後の生活再建支援法案」(PDFファイル)が市民立法の形で、市民団体「水源開発問題全国連絡会」からは提案されている。
ダムに限らず、大型公共事業の見直しの時代、自治体と国の補助金返還を巡るルールしかないのはなんとも心許ない。地域インフラから個人生活に及んだ犠牲に対し、後処理をどうするか、議論を活発化させ、早急に政策判断を行わねばならないのが、これからの自治体であり国であり、議会である。
参照:鳥取県「旧中部ダム予定地域振興課ホームページ」
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この記事の後、「参考」として、文中に出てくる水源開発問題全国連絡会の「ダム計画中止後の生活再建支援法案」(PDFファイル)が編集部により紹介されています。
というわけで、ニューズレター「地域と政策」(年間購読料1000円(送料込))は、自治体関係者を対象としたニューズレターです。お問い合せは、03-3592-8345社民党政策審議会気付、自治創研、横田昌三さんへ。
ちなみに、上記の市民立法案は、清津川ダム計画(すでに中止決定済み)の水没予定地だった住民により参考にされ、自治体への要望として提出されています。
まさのあつこ atsukom@mrj.biglobe.ne.jp
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2005年03月01日 ダムは岩の上にできるのではない (カテゴリー: 八ッ場(やんば)ダム )
八ッ場ダムに関する国会質問が続いています。今度は神風(じんぷう)英男議員が、2月28日の衆議院予算委員会分科会第八分科会で行いました。
国民負担、完成時期、水余り現象、基本高水流量の非現実性、八ッ場ダムの治水効果のなさについての質問。それに対する河川局長のダラダラ答弁の後、最後は、地元の生活再建についての質問でした。以下、私が聴き取った概要です。
~~~
神風英男議員:
大臣は吾妻渓谷には行かれたことがございますか
国土交通大臣:
まだありません。
神風英男議員:
私は、昨年、11月22日、23日とダムサイト建設予定地等を視察してまいりました。そこで、旅館を経営されている方と何人かでお話しをしてまいりました。
現地の皆さんは、たいへんな思いの中で50年を過ごされてきたのを実感しました。家族も生まれたときから毎日「ダム、ダム、ダム、ダム」で話が二転三転している。人間関係もそれでズタズタにされてきた。皆さん疲れ果てて、とにかく、次の新しい生活を見切りをつけて発車をしたい、そんな思いが一番強い。ダムがどうなろうといい。早く、自分たちの生活を再建したいというのが、一番大きな皆さん方の希望でございまして、私自身は、八ッ場ダムは無用の長物だと思っておりますが、生活再建を皆様方には、ぜひ、きちんとしていただきたい。
旅館のご主人がお話されていた言葉に、「ダムは岩の上にできるのではない。人々の犠牲の上にできる」。だからこういったダム問題にも、心のケアを取り入れてもらいたいということをおっしゃっておられました。八ッ場ダムに限らず、いろいろな面で公共事業の場合は出てくるので、大臣にお願いしたい。
国土交通大臣:
ダムにつきましては、当然、社会情勢や経済情勢が変化しますので、その都度、適正な見直しが必要だと思います。しかし、一方で、治水面から見た場合、滅多に来ないことがやはりやってくるのが災害でございまして、そういったことを想定して、整備をしていく必要がある。それはおそらく過去から日本の歴史が始まって以来(なぜか、ニヤニヤする:まさの感想)、治水というのはそういうもんなんだろうと私は思います。ただ、予算は限られたものしかございません。そういう意味では効率的に使わなくてはいけませんし、またソフトの対策も充実をはかっていきたいと思います。
~~~
国土交通大臣は、答えなかった。生活再建の重大さについて。治水に話をすり替え、逃げました。すり替えるにしても、「利水」については、一言も反論すらできていない。
3月1日の読売新聞群馬版、上毛新聞で、水没地に替わる「代替地」の分譲価格を、国交省が提示したというニュースを報じています。4度目の提示。
地権者は、ダムによる移転に対して「補償費」を受け取りますが、そのお金で、国土交通省が用意する代替地を買わなければなりません。その代替地の価格が、もらった補償費と比べて高ければ、高くて買えない。補償費と代替地のお金がイコールならば、新しい旅館やお店を建てることもできない。代替地を買ったからといって、新しい生活ができるわけではない。
代替地の整備が進んでいない。このことを、ある土地所有者が、「代替地を高くすれば誰も買わない。代替地を作らなくても済む。結局、国交省の狙いはそれじゃないか」と言うのをこの耳で聞きました。その時は、まさかと思いました。しかし、これが現地の方々のとらえ方なのだと、納得します。
実際、見通しが立たない中、移転者が相次いていく。追い出した形です。
ダムの第一番の「受益者」は本来、犠牲を強いられる住民でなければならない。ところが、目的を失った八ッ場ダム計画で受益を受けたのは、現在に至るまで、工事受注者と献金を受けた政治家でしかない。
目的を失ったダムは中止すべき。
半世紀に渡る惰性の国策の犠牲者に対しては報いるべき。
この二つは矛盾しません。
まさのあつこ atsukom@mrj.biglobe.ne.jp
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2005年02月27日 心からのお返事 (カテゴリー: 八ッ場(やんば)ダム )
過大な洪水想定 の号に、川原湯温泉の方が、コメントを付けてくださいました。
ご存じない方のために念のため。「川原湯温泉」は八ッ場ダムができると水没することになり、現在の川原湯の上にずり上がり方式で「現地再建」を目指している集落です。
ふり絞ってコメントを付けてくださった勇気にとても感謝します。それに対して、不十分かもしれないけれど、同じ欄にコメントでお返事を書きましたが、あえて、こちらでもさらにお返事させていただきます。
私には、実は、苫田ダム(岡山県)の水没予定地で(お母さんのお胎の中にいる時から)育った山本まりという友だちがいます。彼女のお爺さんは反対運動の先頭に立っておられた方です。水没予定地の住民同士、意見も立場も違い、反目させられ、バラバラになり、なんの罪もないのに苦しめられ、なんの罪もなかった私の友だちも、傷つきながら、育ちました。反対が諦めに変わり、故郷の家が壊され…、その風景を目にし、そんな気持ちを下流住民はまったく知らない。
私はまりさんと出会って以来、たった10年、彼女の気持ちに寄り添うだけしかできてきませんでした。今もこれを書きながら、まりさんと一緒に見た風景、訪れるたびに変わっていった風景を思い出して、今また再び、あの「真綿で首を絞められる」(水没予定地の住民が感じる感情を描写したまりさんの言葉)ような風景が、水出さんの目の前にあるのかと思い、せめて、その気持ちに寄り添わせてもらうことができたら、せめてそれだけでもできたら、と思っています。
水出さん、私に会っていただけませんか?思いのたけをお話しいただけませんか?
コメントへのコメントの方にも書きましたが、もう一度、強調しますが、水没予定地の方々が、税金の無駄遣いをしているなどと、考えている人間は、私を含め、ひとりもいません。ぜひ、そのことだけは確信を持ってください。
私の怒りは、「必要」ならまだしも、「必要でなくなってしまった」にも関わらず、そのことで、皆さんに謝りもせず、政策転換もせず、償いもせず、八ッ場ダム計画を推し進めようとする日本という国(国交省、国会、地方自治体)の卑しさ、しかも、皆さんの犠牲を知りもせず、考えもせず、そしてそれを、どうにもできない自分も含めての「今」に対する怒りです。
私の怒りや苛立ちの矢が、川原湯に住んでおられる方に向いておられるように感じるとしたら、それは、ごめんなさい。でも、絶対にそうではありませんから、それだけはぜひ分かっていただければと思います。
以下は、水出さんのコメントに、同じコメント欄でつけた私のコメントです。念のために、こちらにも自己転載させていただきますね。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
水出耕一さま
読んでくださって、コメントまでくださってありがとうございます。
「タバコ屋1件・土産屋1件・食堂1件・旅館13件
・郷土料理店1件・すし屋1件・床屋.美容室3件・・・」になってきたのですね。
昨年、川原湯温泉を訪れた時、数年前に初めて行ったときには無かった広場が、川原湯温泉から駅の方へ降りていく左手に出現していたのを思い出します。
風景が変わっていく中で、53年の月日の中で感じる怒り、どこにぶつけることもできない怒りやその他、言葉などにはできない感情の中におられること、感じます。
「その中で国土交通省にも私たちの要求はして行きます」
そのお手伝いをさせてくださいませんか?ダムができようと、できまいと、最も大事なことは、最も辛い思い(思いだけではなくどうにも思い通りにならない生活)をさせられた水出様達が、報われる(一部でも報われる、本来ならすべて報われる、それ以上に報われる)ことだと思っています。
土足で立ち入りたくないので、取材もこれまで、私は遠慮しいしいやってきました。初めて八ッ場を訪れたとき(数年前)、「あんた、来るの50年遅いよ」と言われました。
遅かったと思います。でも私は50年前に生まれていませんでした。その計画がまだ生きていること自体、問題だと思っています。
決して、地元住民の方が、無駄使いをしているなどと考えている人間は、一人もいません。それだけは、確信していただきたいと思います。逆に、ダムができようができまいが、国は、この半世紀の迷惑に対し、地元の皆さんに損害賠償もしくは慰謝料を払うべきだとすら思っているのです。
とりいそぎ、心より、コメントをくださったことへのお礼と、その勇気への尊敬をこめて。(まさのあつこ)
~~~~~~~~
まさのあつこ atsukom@mrj.biglobe.ne.jp
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2005年02月27日 「暫定」と「安定」水利権 (カテゴリー: 八ッ場(やんば)ダム )
水利権許可行政を見直すべし
クライマックス第三弾でいよいよ、本日の最終レポートです。
まずは解説です。「河川は、公共用物」(河川法第二条)なのですが、それを使うには、河川管理者(おおざっぱに言えば、一級河川が国土交通省、二級河川が都道府県知事)に「水利権」を申請し、許可されるという形で可能になります。今日、お伝えしてきた2月25日、衆議院予算委員会分科会での塩川鉄也議員の質問の最後は、この「水利権」許可行政を見直すべきではないかというものでした。
国土交通省は、不思議なことに、「水利権は、ダムを作ると増える」と考えます。
逆に言うと、ダム無しで取水できる水のことを「暫定水利権」と呼び、「ダムを早く作って解消して安定水利権にしましょう」という考え方をします。おかしいですね。
実際に、川に流れている「水」には何も変わらない。それなのに、彼らは「安定」に対して、勝手に「不安定だ」と言います。 しかし違います。
帳簿上で、「暫定」と呼んだり「安定」と呼んだりしているだけで、「安定」の反対は「不安定」という意味ではない。実際には、何も変わりません。
なのに「ダム無し」で取れている水は、早く解消しなければと理屈を付けて、結局、これが、たとえば八ッ場ダムを作る理由になっています。
いや、ほんと。そんなことが、八ッ場ダムを作る理由になっているんです。
「暫定」か「安定」か、呼び名の違いだけで、ダムが要るという理屈になっています。でも、実際のところ、水は、足りている。そのことを、塩川議員は明らかにしました。
ちょっと解説し過ぎかもしれませんが、国土交通省河川局長が、わざわざ、分かりにくく答弁しています(まったく日本語になっていないところがある)から、その意味でたっぷり解説させていただきました。
塩川鉄也議員:
利水について伺う。特に埼玉県にとって農業用水の合理化事業の問題がある。その水利権が暫定的なもので、非灌漑期の水源を別のダムにより手当しないと安定した水利権とならないとされている。しかし、現実には水は供給されている。安定した水利権として認めない理由はなんなのか?
河川局長:
農業用水の合理化事業について。灌漑用水はだいたい夏期に必要な用水である。夏の間の用水を合理化するようにして生み出される新たな水源は見直しの中で出てくる。冬期間については、そもそも農業用水の水利権がもともとない。したがって、冬期間の流況に対して、安定した水利権が与えうるかどうかは、実際の流況は、例えば平成8年、9年には、冬季に取水制限が行われるような渇水が起きてきている。安定的な水源とするためには、たとえば、八ッ場ダムの新たな水源開発に乗らなければ水利権を付与することができないとなっており、現在の暫定水利は、ダムが完成した時点で、安定水利になるという性格のもの。
塩川鉄也議員:
しかし、もともと冬場は農業用水は使っていないから、河川の流量が夏期と比べて少なくなるとはいえ、都市用水の取水が困難になることはない。97年、98年の話もあったが、取水制限のときも余裕があった。冬場に取水制限が行われた97年、98年でも、実際には調整もなかった。20年間困難があったことはない。流況を調査したデータを見ても、現実には余裕があることが示されている。暫定水利は、「暫定」と言えるのかが、今問われている。これは機会を改めて議論したいが、暫定水利権の扱いを含めた水利権の許可制度について抜本的な検討が必要ではないかと考える。
最後に一つ大臣に伺う。水については首都圏では、水道事業者、水利権者はそれぞれあるが、水そのものは一つ。水の融通ということについて、もっと現実に即した対応が必要ではないか。例えば、水利権の転用についてもハードルが高いと言われている。工業用水から上用水への転用を円滑におこなえるよう求める制度見直しを認める声もある。
日本工業用水協会のまとめた「今後の工業用水事業のあり方に関する研究会」報告書では、上水等への転用が円滑に行われるよう、たとえば転用に伴い、返還する工業用水事業補助金と、新たに交付される上水道補助金事業との相殺や、一定の要件を満たした場合の工業用水事業補助金の返還免除など制度の見直しの検討を求めている。経産、農水が対応するってこともあるだろうが、水利権者の間の調整や水道事業者相互の水融通について、もっと時代に合わせた柔な対応が必要ではないか。大臣いかがか?
国土交通大臣:
水利用の合理化は私も必要だと思っている。水利権の転用をはじめ、水道施設での漏水の防止、工業用水の回収利用の向上、下水処理水の再利用、雨水の有効利用等、水利用の合理化はこれからもしっかりと推進させていただきたいと思っている。利根川水系における水利権の転用は、実績は、昭和40年度から26件ある。そのうち転用先は24件が上水。
塩川鉄也議員:
利根川流域の実状に合わない水利用計画や取水対策を見直して、住民の声を反映した水計画を作ること、中でも八ッ場ダム計画の中止を改めて求めて質問を終わります。
==
というわけで、見事な充実した30分の国会質問でした。
「現在の暫定水利は、ダムが完成した時点で、安定水利になるという性格のもの」という河川局長の答弁。これが「利水問題」のすべてです。
「暫定」(彼らが言う「不安定」)か「安定」か、というのは、ダムを作る「前」と「後」の名称の違いでしかありません。
水は、もともと、川にあります。
人間の、いえ、国土交通省の都合で名前が変わるだけ。
それが、「暫定」と「安定」の違いです。
おんどりゃ~。
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2005年02月26日 洪水調整効果ゼロ (カテゴリー: 八ッ場(やんば)ダム )
さて、クライマックスの第二弾です。
八ッ場ダムが必要です、というパンフや国会議員への説明資料に、これまで、国土交通省が必ず入れ込んできたのが、「カスリン台風」でした。その被害を大々的に宣伝する写真でした。だからダムが必要ですと。ところが…です。
塩川鉄也議員:
カスリン台風のときに、八ッ場ダムの洪水調節効果は?資料ももらっているが。31位の過去の洪水ということで出ている。カスリン台風のときの八ッ場ダムの洪水調節効果はどの程度あるのか?
河川局長:
八ッ場ダムにつきましては吾妻川という支川に建設されるダムだが、その流域に沢山の雨が降る場合とそうでない場合があるわけで、カスリン台風のときの降り方には、八ッ場ダムの効果においては八ッ斗島地点について、大きいものは期待できないと計算結果がでています。ただし、利根川水系のような流域の大きい川になると、いろんな雨の降り方があるので、平均的には600トン、大きいものでは1500トンなどの調節効果が見られるが、ご指摘のカスリーン台風のときは、大きい効果は見込めないという結果になっている。
塩川鉄也議員:
八ッ場ダムを作る理由の一つは、カスリン台風だとさんざん言われてきた。しかし、実際、国土交通省からいただいた資料によれば、カスリン台風では、効果はゼロなんです。そういう点では今までの論拠はなんだったのか?そもそも疑われる。治水効果で見れば全体ではわずかなもの。元もと吾妻川渓谷が天然のダムとなるような渓谷の地形をなしている。洪水調整作用を果たす。ダムにこだわることは河川改修を遅らせることになっているのではないか。改めて、洪水調節効果を再検討する必要がある。いかがか?
河川局長:
河川整備基本方針、整備計画の検討の手続の中で、ご指摘のあったダムの効果や、これからダムがどのくらい必要になるのかを、合わせて検討してまいる。
塩川鉄也議員:
ダムにこだわることでかえって被害を大きくした。昨年、経済産業委員会の視察で三条市にいってきた。中小企業の社長さんから聞いた。ダムがあるから水害はないと思って、水害の保険に入っていないと。結局、河川改修が必要だったのに怠った。ダムにこだわることにより河川改修が遅れた。この点での見直しが必要だと考える。
(続く)
★そうそう。重要なことを忘れていました。
いろいろな雨の降り方がある、と河川局長は言ったけれど、台風は、誰でも知っているように、南からやってきます。すると、必ず、その雨雲は、榛名山と赤城山にぶつかって、そこで雨を降らせ、八ッ場ダムの集水域である吾妻川流域には、チョボチョボっとしか、降らないんです。
分かります?つまり、
「カスリン台風での効果が見込めない」ということは、「台風での効果が認められない」ということと同義語です。そして、南から湿った空気で大雨が降る以外、大雨が降る要素なんか、あの地域にはないのです。雨雲は宇宙からは来ませんからね。
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2005年02月26日 過大な洪水想定 (カテゴリー: 八ッ場(やんば)ダム )
さて、クライマックスの一つです(まだまだあります)。
八ッ場ダム問題における最大の問題は、洪水が過大に想定されていることです。その過大さが、現実離れしたものであることは、河川工学をやっている人々の間では、実は、常識過ぎるほどの常識になっています。(国交省はもちろん自覚しています。目を背けていたいだけです)
どれくらい過大かと言えば…、利根川水系では、国交省は八ッ場ダムにこだわっていますが、実は、あと20個ダムを作らないと、いけないというほどの、す~んごい洪水が来ることになっています。でも、過去そんな雨、降ったことがないんです。
ダムをあと首都圏に20個。誰がどう考えても、実現可能性がない。それなのに、計画を立て直さない。その想定自体がウソなんだと言えない。ほんとうに可哀想な人々です。過去に先輩官僚たちがやった亡霊にうなされる現在の官僚たち、その答弁が以下の通りです。
塩川鉄也議員:
利根川の基本高水22,000トン/秒の算定根拠は?
河川局長:
一般的なそれぞれの水系について、どう流量を決めていくかをお話したい。まず、水系ごとの重要性を判断して、確率を、何分の1の安全度を目標にすると決める。たとえば200分の1。この200分の1の確率に総統する雨量を算定する。その雨量に基づいて河川の流出計算を行う。その結果としていろいろな数字がでてくる。それを総合的に判断して定める。利根川の場合、200分の1の雨量による算定は21200。それに加えて、実際に降った雨として、昭和22年9月のカスリン台風による実質降雨により算定し、22,000。そこで基準地点の八ッ斗(やった)島で22,000と定めている。
塩川鉄也議員:
ダムの治水効果は否定しないが、22,000のピーク流量だと今後いくつの治水ダムはいくつ作ることになるのか?これに対応するためのダムでの治水効果ですね?いくつのダムを作ることになるのか。
河川局長:
さきほど基本高水のお話をしたが、利根川については、河道への配分流量は16,000トンという計画。差の分なので、6,000トンを何らかの方法で調節していく。ダムというのは一つの方法。遊水池も合わせて考えていかなければならない。これからダムをいくつ作らなければならないかは、詳細なダム地点の検討を経ていくので、数字はいくつというのはございません。6,000トンをなんらかの形で調節していなければならないので、八ッ場ダムのあとのダムについても、これから検討しなければならない。
塩川鉄也議員:
既設のダムと八ッ場ダムを含めて、実際、いくらカットできる数字になっているのか?6,000トンのうち。
河川局長:
今、数字を持ち合わせていないが、6,000トンのうちの、まだ比率としては3割とかにしかなっていないのではないか。
塩川鉄也議員:
6,000トンの洪水調節必要量のうち、既設の6ダムと八ッ場ダムも入れて、1,600トンですから残りは4,400トン。単純計算で八ッ場ダム含め7ダムで1,600トンですから、残り4,400トンなら、同規模が20のダムが必要。これから20近くのダムを作るのが可能なのか?現実的だと思うか?
国土交通大臣:
すべてをダムでやろうということではない。さまざまな方法がある。一番いい方法を地元との協議できめていかなければならないと考えております。
塩川鉄也議員:
いや、遊水池とかダムなんですから、ダムなんですよ。そういう点でも、これから20近くもダムを作れる見通しが本当にあるのかどうか。そこをそもそも考え直す必要があるのではないか。
~~~~
おっと。友だちから電話がかかってきました。明日のお弁当はどうすると?
買い物にいかないと、今晩食べるものもありません。
ちょっと主婦してきます。
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2005年02月26日 「現状を反映していない」と河川局長 (カテゴリー: 八ッ場(やんば)ダム )
連続して書いて疲れてきました。トシです。仕事もあるので、そろそろ切り上げます。しかし、ここからが本題です。ちょっと踏ん張ります。
塩川鉄也議員:
八ッ場ダムについては、住民監査請求、支出差し止めの提訴が起きている。その意味でも、改正河川法の趣旨に則った対応が必要だと考える。学識経験者、住民の意見を反映させるとなっているのに、50年以上前につくられた八ッ場ダム計画を進めるのは、改正河川法の趣旨に反するのではないか?
河川局長:
八ッ場ダムについては、その目的があるが、現状に合わせた計画の内容を意識してやっている。昨年のダムの基本計画について、事業費改定をしたが、全体の見直しと調整はやってきている。ただ、もとのフルプラン、河川整備基本方針、整備計画については、まだ十分な現状を反映した見直しが行われていないのは、ご指摘はその通り。
塩川鉄也議員:
立ち止まって考える時ではないか。住民の声も聞き、学識経験者や住民の声を反映させる。べき。整備計画が策定されているのは全国で11だが、流域委員会を作って反映させるところは、25水系に上っている。利根川ははいっていない。ただちに行うべきではないか。協議機関をすぐ作ることを国として求めていくべきではないか?
国土交通大臣:
利根川は重要な水系だと考える。流域の学識経験者で、水系全部でいくのがいいのか、地域ごとにわけて対応した方がいいのか、今検討中。とにかく、早い機会に意見を聴取できる体制を取りたい。
塩川鉄也議員:
流域委員会を作っていただきたい。
国土交通大臣:
流域委員会は、法的に位置づけものではないが、学識者、あるいは流域の関係者の意見を聞くために、それぞれの水系にあった形で、聞く場を設けている。その一つの形態が流域委員会だと考える。利根川の場合も、十分意見聴取ができる形で、流域委員会のような形のものを考えていかなければならないと考えている。
塩川鉄也議員:
ダム事業費が一番大きいのが、八ッ場ダム。残額が一番多いのも八ッ場ダム。これから負担する住民の皆さんの声を聞くのが当然。流域委員会を作った対応が重要。住民の声を聞くことなしに事業をすすめるべきではない。
まさのあつこ atsukom@mrj.biglobe.ne.jp
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2005年02月26日 「昔の計画が生きている」と国土交通大臣 (カテゴリー: 八ッ場(やんば)ダム )
今度は、97年の河川法改正以降についての質問です。
前号の「利水」に変わり、今度は、「治水」の基本についてです。
塩川鉄也議員:
97年の河川法改正以来、河川整備基本方針および河川整備計画を住民参加、環境保護の観点から策定されるはず。利根川ではどうなっているか?
国土交通大臣:
利根川の河川整備基本方針および河川整備計画は、利根川の治水計画の基本なので早急に策定したい。近年の降雨資料の整備解析をしている最中。私からも早期策定に向けて作業をしてもらいたいと要望している。利根川は流域が大きくて、流域都県、関係市町村、関係機関がたいへん多い。これらの機関との事前調整を行い早期に策定したい。
塩川鉄也議員:
改正されて8年。ただちに作るべきが実際にできていない。フルプランもない、河川整備計画もない。昔のままのダム計画しかない。昔のままの計画でダム計画を進めるのは極めて問題ではないか?
国土交通大臣:
昔の計画が生きている。無効になったわけではない。現実に、治水の必要性は昨年1年見てもたいへん高い。新たな河川整備計画ができていないから治水についてしてはならないということではない。かつての計画に従って進めている。
塩川鉄也議員:
水需要が変わるなかで、改正河川法があるのに、昔のままでいいのかが問われている。
~~~~~~~~~
解説不要ですね。
昨年、国交省は、八ッ場ダムの基本計画を変え、事業費を倍増させ、1都5県に事業負担増を了承させました。その際、その時点ではまだ、「近年の降雨資料の整備解析」も「事前調整」も、やっていなかったことになります。
科学的な検証なしに、単に、自治体への負担の押しつけをやったことになります。また、自治体は、この重要な法運用をすっとばしたまま(いわば脱法行為)、国交省の言うなりに、増額を認めたことになります。
まさのあつこ atsukom@mrj.biglobe.ne.jp
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2005年02月26日 フルプランは「意見交換」中と水資源部長 (カテゴリー: 八ッ場(やんば)ダム )
2月25日予算委員会第八分科会の塩川鉄也議員の質問を見ながら、書き取ってみました。速記者が書き取って確認され、ウェブサイトの議事録に載るまで、通常、衆議院は参議院よりも遅い。待っていられない。そこで、概要を書き取ってみました。
書き取ってみて、優れた国会質問の組み立てを行った塩川議員とその裏方さんたちを心から尊敬。一般の方々にも100%その素晴らしさ(そこから得られたもの)を実感してもらいたいので、いくつかのパートに分けて、たっぷり解説させていただきます。
パート1は、「フルプラン(水資源開発基本計画)」についてです。
フルプラン(水資源開発基本計画)とは、昭和36年にできた水需要の増加に対応するための、水資源開発(=ダム開発)のための基本的な計画です。
東京首都圏(利根川・荒川水系)、大阪(淀川水系)、名古屋(木曽川水系)、北九州(筑後川水系)、徳島(吉野川水系)、愛知(豊川水系)の7水系、つまり、人口増加や工業の発展が目覚ましかった地域に、その時代に指定して、そこに集中的に、資本(国民の税金)を投下しようとした。国策です。
しかし、この根拠法およびフルプランもろとも廃止すべき時代です(その時代は過ぎています)。なぜなら、実質的に水需要を満たし、水が余っているにもかかわらず、「計画」と「法律」だけが存続しているからです。
実は、国交省も関係各省(経済産業省、厚生労働省、農水省)も、そして関係自治体もすべて皆、そのことが分かっています。分かっているからこそ、実状に合わせて「計画」を立て直すと、もう計画は不要だとバレてしまう。計画の終了および根拠法の廃止を宣言せざるを得ない。もうダムは造れない。それをやりたがらない。
利根川だけの問題ではありません。木曽川(長良川河口堰、徳山ダム)、吉野川(第十堰)など、みな、同じ問題でした。(吉野川は住民運動によりついに利水目的をはずさせた)
それをみとめると、政策の大転換となる。行政マンたちには、それができない。
本来は事実を大臣に報告し、適切な政策オプションを提示し(この場合、フルプランの終了と根拠法の廃止)、大臣の政策判断を促すことが責務のはず。
ですが、どうも、そういうメンタリティが育つ環境にない。「前例を作らない」「前任者がやった通りにやる」ことで、出世をしていく世界で、政策転換を提示するという当然のことができない人々になってしまっている。
官僚がその態度で仕事をするのであれば、残されたオプションは一つ。
政治家であり、「行政」をコントロールするためにある「国会」から任命された国土交通大臣自らが、自分で判断し、その政策転換を宣言しなければならない。時代が変わり、政策転換が必要であることに、大臣がいつ気づくか、どの大臣が気づくか。そういう期待の仕方しかできないわけです。
そして、国会側から、塩川議員によって、行政マン達が指摘しそびれてきたこと(内々では分かっていながら)を指摘された。それを大臣がどう判断していくかという局面がようやく訪れた、というわけです。
前置きが長くなりましたが、塩川鉄也議員による、国会質問(2月25日 予算委員会第八分科会)とその答弁のうち、八ッ場ダムのある利根川水系の「フルプラン」に関するの概要は以下の通り(敬称略)。
塩川鉄也さんの質問と国交省の答弁~~~~
塩川鉄也議員:
「全国で水余り。フルプランを作り替えなければならない時。時代のニーズに合わせた新たな利根川のフルプランはどうなっているのか?今後の見通しは?」
国土交通省水資源部長:
「利根川水系フルプラン改訂について、利根川水系の調査をしている。
関係都県に、将来の水需要の見通しなどをお願いしているところ。
私どももそうだし、基礎資料の収集整理、関係者との調整、合意形成など様々なプロセスが必要。
最終的には国土審議会での審議を経て手続を完了させる。
どうしても時間を要するので理解を賜りたい。できるだけフルプランの改訂をできるだけ早く終えたい。 現在、関係省、関係都県との間で、情報収集、意見交換、必要な調整をつとめている。
(続く)~~~~~~~
解説に戻ります。
八ッ場ダムの目的の一つは利水です。昨年度予算で事業費を4600億円へと倍増させたわけですが、増額を先にやっておいて、今頃、フルプランについて関係省、関係都県と「意見交換」「調整」している。おかしいと思いませんか?常識的には先に見直しをやってから、予算を考えますよね?
つまり、先に見直してしまうと、八ッ場ダムの利水目的がふっとんでしまうからなのです。
利水目的が破綻していること、おわかりいただけたかと思います。
(続く)
まさのあつこ atsukom@mrj.biglobe.ne.jp
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2005年02月26日 「ダムの効果は期待できない」と河川局長答弁 (カテゴリー: 八ッ場(やんば)ダム )
今朝は(もう昼でしたが)、赤旗新聞のFAXで起こされた。
「な、なにごと?」と読んでみると、びっくり。
塩川鉄也議員が2月25日、衆議院予算委員会分科会で八ッ場ダムの治水効果がないことを質問。ダム建設の中止を求めた。
それに対し、河川局長が「カスリーン台風のときのような雨の降り方には、ダムの効果は期待できない」と答弁したという記事です。
また、北側国土交通大臣が、「すべてをダムでやろうとしているわけではない。さまざまな方法があり、一番いい方法を協議できめなければならない」と答弁。
誰しも、赤旗を取っているわけではないし、予算委員会の分科会というのは、同時並行でジミに行われる質問の場なので、なかなか、報道もされない。赤旗はエライなぁ~と思いながら、上記のような要旨をかいつまんで、関係者にメールで送り、次に、衆議院のインターネット審議中継から、「ビデオライブラリ」をクリックし、2月25日…とクリックしていくと、あった。2月25日 予算委員会第八分科会 で、塩川鉄也(日本共産党) の質問。
というわけで、今日は、ちょっと連続して、この充実した国会質問の様子をレポートします。
まさのあつこ atsukom@mrj.biglobe.ne.jp
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2005年02月18日 栃木・群馬・東京の陣 (カテゴリー: 八ッ場(やんば)ダム )
あ~忙しかったです。昨年秋から年末、ボツが何回か続き、「もう~、下手な鉄砲数打ちゃ当たるだわよ。ぜったい食えるジャーナリストになるわ」と、シャカリキに営業したら、とりあえず絶えず締め切りに追われるというありがたい状態にはなりました。しかし、営業がうまくいったらいったで、今度は、取材と執筆が間に合わないことを発見!駆け出しのジャーナリストって難しい職業ですね。
それはともかく、八ッ場ダム住民訴訟はその後、栃木(1月27日)、群馬(1月28日)、東京(2月16日)の口頭弁論が終わり、次は埼玉、2月23日(水)13:15 さいたま地裁301号法廷というところまで、進んでいます。
一番近い東京地裁を覗いてみよう思っていたのですが、いきそびれたので、「八ッ場ダムをストップさせる東京の会」の深澤洋子さんが、傍聴へ来られた方へよせた報告を、一部転載させていただきます。
「昨日の東京地裁の傍聴、ありがとうございました。天気は悪いし、電車はおくれるし、悪条件の中で、80人ほどの方が来て下さったようで、東京の原告団としては感謝に堪えません。傍聴席に入りきれなかった方には申し訳ないことをしました」
それから、初めて住民訴訟の原告になった渡辺誠さんからの報告が、とても新鮮で笑えました。
司法と立法と行政の三権の中で、情報公開がいちばん進んでいないのが、司法の場だなのかもしれませんね。情報公開の基本はやっぱり、記録と保管ですものね。それがあって初めて「公開」ができる。初めて原告になった人が、初めて肌で感じることって、貴重です。そう思いました。慣れてしまうと、いろいろなことが見えなくなる。初心忘れるべからずなんですね、きっと。というわけで、以下は一部転載です。
「帰り際、黒い制服の職員らしい人に、机にあったレコーダを指さして、録音しているのかと聞くと、一切していないとのことでした。そう、田中さん、梅沢さん、只野弁護士のあの熱弁は、全く録音もされていないのです。もちろん録画も。まさにその場のライブだけ。法廷へのカメラビデオなどの持ち込みを禁止しているぐらいなら、オメーラがちゃんと保存しとけよ、と、思わず怒鳴りたくなりました。
やれやれ、こういう場に慣れている方々はとにかく、初めての私は疑問符と怒りが場面場面に表れてしまいました。まだまだ修行が足りないのでしょうか?それともあの場所が、相当浮世離れしているのでしょうか?ここにはトヨタが得意とする「カイゼン」などという言葉は存在しないんでしょうね。
どシロウトゲンコク 渡辺誠」
というわけで、深澤さん、渡辺さん、転載許可ありがとうございます。
肝心の中身に触れずに恐縮ですが、今日のところはまずはこれにて。
そうそう。最近、八ッ場ダムを考える会がウェブサイトを更新され、生き物のスライドショーのページが人気を呼んでいるようです。
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2005年02月04日 自分は魔女かと思うとき (カテゴリー: 八ッ場(やんば)ダム )
昨年夏から取材していたテーマで、今日、岩波ブックレットが出ます。
『八ッ場ダムは止まるか-首都圏最後の巨大ダム計画』
(八ッ場ダムを考える会編 定価/本体480円+税)
第一章 八ッ場ダム 現地の〈いま〉 隈 大二郎
第二章 八ッ場ダムは本当に必要か 嶋津 暉之
第三章 ダムが破壊する自然と人々の暮らし 嶋津 暉之
第四章 浅間山の下流にダムを造るとどうなるか まさのあつこ
八ッ場ダムの地質のことを真っ正面から書いてと依頼され、最初は正直、困ったな、と思いました。
以前、「ダム誘発地震」ではないかと言われた長野西部地震と牧尾ダムのことにつなげて少し、『週刊金曜日』で書きはしたものの、過去の検証と、未来予測に意味を持つ文章を書くのでは意味が違う。
そこで、夏、群馬大学の先生に密着し、浅間山をウロウロし、噴火とダムの関係を勉強していると、噴火が起きました。
次に、地すべり地形とは、馬蹄形をしている…と勉強・取材をしていると、台風による大雨で、ウチの裏にある山が、ドッと地すべりを起こし、現れた地形を見てびっくり!本当に馬蹄形をしていました(人的被害なし)。
江戸時代の浅間山の噴火を調べていると「天然ダム」という言葉に遭遇し、新潟の「天然ダム」が報道され、河道閉塞だと名前を変えていきました。
際物になってはいけない、と緊張しながら取材していました。
こういうふうに書いていいだろうか、ああゆうふうに書いて良いだろうか、と見極めようとしている時、いちいち、地球によって、「間違っていないよ」と証拠を見せられた気がして、少し、恐ろしかったです。
まさのあつこ atsukom@mrj.biglobe.ne.jp
2005年01月31日 東京電力への補償 (カテゴリー: 八ッ場(やんば)ダム )
すみません、お待たせしました。前回の続きです。八ッ場ダムを計画通り使うためには、河川法41条に基づいて、東京電力に、水利権を放棄させ、国土交通省が、補償を行わなければなりません。
=======================
(水利使用の許可に係る損失の補償)
河川法41条 水利使用に関する第二十三条又は第二十六条第一項の許可により損失を受ける者があるときは、当該水利使用に関する許可を受けた者がその損失を補償しなければならない。
=======================
その補償費はいくらですか、このことについて、東電との協議はどうなっていますかと、衆議院の塩川鉄也議員が、「八ツ場ダム建設に関する質問主意書」で尋ねました。2004年11月30日です。返答は、12月10日小泉純一郎・内閣総理大臣から届きました。
この質問主意書と答弁そのものの該当箇所は以下に転載しますが、言葉が難しいので、質問と回答を合わせて、何が分かったか、何が煙に巻かれたかを解説します。
【明らかになったこと】
1) 八ッ場ダムに水が取られる分、東電の発電量が減るので、国は、東電に「減電補償」を払う。
2) これについては、1992年(建設省関東地方建設局八ツ場ダム工事事務所長から東電に協力依頼をした年)以降、東電と協議している。
3) 減電補償の額は、東電の経営にかかわるので秘密。
4) 総事業費4600億円の中に、現在、計上されている「特別補償枠」217億円の中に「減電補償」も含まれている。(だが、それがすべてであるとは回答していない)
【国が明らかにせず煙に巻いたこと】
A)「特別補償枠」217億円という額は、工事期間中の補償費しか含まれないのではないかという質問には無回答。→つまり、ダム完成後の減電補償も入れると、217億円では済まなくなる可能性が非常に高い。
B)ダム完成後の減電補償が、217億円に含まれていない場合、その分、さらなる八ッ場ダム事業総額が、4600億円をさらに超える(増額)となる可能性。
C)「減電補償」の積算根拠は、「公共事業の施行に伴う公共補償基準要綱」等と「任意による交渉」だとぼかした。「等」とは何か、「任意による交渉」で額は変わるのかという可能性。
そこで思います。「等」だろうが、「任意による交渉」だろうが、それは、納税者や東電の株主に対し、公開されたものでなければならないだろうと。また、額の交渉の前に、現在、立派に使っている発電施設を放棄してまで、(要らない)水を確保することが、妥当なのか、そんな二重投資が、今この世の中に許されるのかが、本来は先に公開の場で決定されるべき事項だと、今、書いていて思います。
その意味で、私も(前号の日記にコメントを付けてくださった方と同様)、神原さんの考え方「東電は水利権を放棄すべきでない。既存施設の有効利用すべし」に、賛成です。
以下は、塩川鉄也衆議院議員の「八ツ場ダム建設に関する質問主意書」で、該当箇所の切り抜き。全文を見たい方は、衆議院ウェブサイトの第161回国会で、探してみてください。
=======
【質問】
七 吾妻川流域の東電が持つ水力発電用水利権の中でも、八ツ場ダム予定地付近では白砂川取水堰七・五トン,須川取水堰四・五トン、長野原取水堰十八・五トン、合計約三十トン(いずれも毎秒)もの水が、発電用の送水管の中を通って迂回している。ダムの利水権は毎秒十四・七トンであり、まともに水が得られるのか。水確保について東電との協議内容を明らかにされたい。
また、東電に対する減電補償費については、総事業費四千六百億円の中に含まれていると説明しているが、積算根拠と額を示されたい。特別補償枠は二百十七億円が計上されているが、この殆どは送水路の補強工事費や工事期間の減電補償費と考えざるをえないが内容を示されたい。特別補償枠の中にダム完成後の減電補償が含まれているのかいないのか、を明らかにされたい。
【答弁】
七について
お尋ねの水力発電は、株式会社東京電力(以下「東電」という。)が、貯水池の上流の吾妻川及び白砂川等から最大毎秒三十・一四八立方メートルの河川水を取水し、それを発電用導水管を通すことによって行っているものであるが、八ツ場ダムによる流水の正常な機能の維持並びに水道用水及び工業用水の開発に必要な水量を確保するため、東電に対して減電補償を行い、これまで水力発電に使用されてきている吾妻川及び白砂川等の河川水の一部を貯水池に流入させることとしている。
右に述べた水量の確保に関しては、平成四年に建設省関東地方建設局八ツ場ダム工事事務所長から東電に対し、諸調査の協力依頼を行い、それ以降、継続的に東電と協議してきているところである。
お尋ねの東電に対する減電補償の額については、「公共事業の施行に伴う公共補償基準要綱」(昭和四十二年二月二十一日閣議決定)等に基づいて算出するものとされているが、その見込み額については、今後、任意による交渉を経て契約に至らなければならないものであるとともに、個別企業の経営上の問題にかかわるものでもあることから、具体的な数値をお示しすることは差し控えたい。
また、事業費の内訳として公表している「特殊補償」の額には、東電に対する減電補償の見込み額も含まれている。
=======
以上。東電は、現在も、今年の春終了予定の大がかりな隋道工事をしているとの情報が入りました。つまり、東電では、新たな投資を続けているわけです。写真は八ッ場ダムを考える会提供です。
まさのあつこ atsukom@mrj.biglobe.ne.jp
2005年01月27日 東京電力の水利権 (カテゴリー: 八ッ場(やんば)ダム )
前号で口頭弁論の第一報を書いた神原さんに、先日、お話を聞いていたところ、「東京電力に『水利権を放棄するな』っていう運動はどうかなぁ」という。
実は、計画中の「八ッ場ダム」に流れ込む水のほとんどは、現在、東京電力が発電に使っている。東電が自分の水権利を、もしも「手放さない」と言えば、八ッ場ダムは、できたとしても、「空っぽ」になる。なぜなら今のままでは、川の水は、吾妻川(あがつまがわ:利根川に流れ込む八ッ場ダムが計画されている川)を通らずに、東電の送水管から下流へと、八ッ場ダム付近を迂回してしまうからだ。
具体的に数字を挙げるとこうだ。
八ッ場ダムの水利権 14.7トン/秒
それに対し、東電は、3カ所の取水堰で、発電用の水を取る。
白砂川取水堰 7.5トン/秒
須川取水堰 4.5トン/秒
長野原取水堰 18.5トン/秒
計 30.5トン/秒
(2004年11月30日提出
衆議院議員塩川鉄也氏の質問主意書より)
これだけを見ても、八ッ場ダムは、社会全体からみて、経済効率の悪い計画だと分かる。東電が、大正時代から資本を投資して作ってきた諸々の発電施設を、放棄しなければ、八ッ場ダムはできないのだ。
その補償費(次号で紹介します)は、受益者にツケ回すことになる。(受益者とは、水代を払わせられる1都5県の住民であり、治水については、回り回って、全国の国民の負担だ。)
「だから、東電に、水利権を手放すなと、僕は言いたい。今ある施設を有効に使ってくれ、『原発』なんかより、今すでにある『水力発電施設』を有効に使ってくれと、そんな運動やってくれる人いないかなぁ」と神原さん。
神原さんは住民訴訟を抱えているので、このことで一緒にやってくれる人が欲しいのだ。
「協力者が現れるかどうか分からないけど、ウェブサイトで呼びかけてみましょうか?」と私。
というわけで、「東電さん!今持っている水利権を手放すな!」という運動を、一緒にやってみようかと思う人は、次号の補償費のことを読んでからでも結構ですので、神原禮二さん(メルアド garyoan@tiara.ocn.ne.jp)に、是非、直接連絡を。
まさのあつこ atsukom@mrj.biglobe.ne.jp
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2005年01月26日 住民訴訟・茨城の陣 (カテゴリー: 八ッ場(やんば)ダム )
今どきの裁判には、「パワーポイント」は欠かせないツールのようです。
1月25日、水戸地方裁判所での「八ツ場ダム住民訴訟」第1回口頭弁論の第一報が、茨城から入ってきました。登場人物は、裁判官3人、原告側9人(弁護士3人)、被告側(弁護士5人、県職員3人)、原告側傍聴人40人。「緊迫した空気のなか開廷」したそうです。
(「公判」と書いたら、それは刑事事件用語で、民事(行政訴訟)は「口頭弁論」だとのこと。スルドイご指摘ありがとうございました。)
以下、「八ッ場ダムをストップさせる茨城の会」の神原禮二さんからの報告の転載です。
===============
口頭弁論に先立ち、茨城の会は、12時30分より法廷に入りパワーポイントの設定・テストを繰り返し、2度にわたる陳述演習の感触を確かめました。
パワーポイントの威力は、入廷してきた被告側弁護団の意表をつかれた表情からも明らか。
開廷以前に流れを引きよせました。
意見陳述は、嶋津暉之さん、藤原信さん、田中清子さんの応援を得た茨城の会40人、被告側14人、報道関係12人が見守るなか、取手市の塚越恵子さんが静かに語りはじめました。
テーマは「既に必要性のない利水・治水」「総額8800億円、茨城県の負担390億円という税金の無駄遣い」「50年余にわたる地元住民の苦しみと補償」。パワーポイントの図表と語りが一体となり法廷をぐいぐいと八ツ場問題へ引き込んで行きました。
2番手は霞ヶ浦の水質保全に携わる農学博士の濱田篤信さん。テーマは「危険な岩盤と地質」。危険極まりない所にダム建設を強行する行政の無責任が、穏やかな濱田さんに怒りの火をつけました。スクリーンの横に立ち、パワーポイントの図を指す濱田さんの怒りを秘めた陳述は感動的でした。
最後は霞ヶ浦導水事業裁判のリベンジを期す柏村忠志さん、茨城の水問題をライフワークとする専門の立場から、膨大な水余りをデータを駆使して陳述。被告はもちろん導水裁判を棄却した伴弁護士、松本裁判官を追い込んで行きました。
しかし、とどめを刺すべく「導水事業の実態を審理することなく棄却した判決は、その後の包括外部監査が指摘する水余りをいかに受けとめるのか」の段に入る直前、松本裁判官より時間切れの制止があり、無念の陳述となりました。
後、坂本弁護士より「あらかじめ陳述内容を知っていた裁判官が意識的に止めたのではないか」の解説に無念ではあるが、それだけ追い詰めたと納得。
被告側は後日検討のうえ反論の陳述をする旨の発言。伴弁護士は薄笑いを浮かべながら「ダムの必要性は原告と全く見解を異にする。機会があれば反論するが、それよりもこの訴訟が裁判に馴染まぬもの故、その点を陳述する」と語り、原告側と調整の結果、以下のように公判日程が決められました。
第2回公判:3月29日(火)午後1時30分、水戸地法裁判所301号法廷。
=以上転載でした=========
「この訴訟が裁判に馴染(なじ)まぬ」ってどういうこと?
報告を読んでいて思わず「でた~!」と笑ってしまいました。
被告側(茨城県)の弁護士が述べた「この訴訟が裁判に馴染まぬ」というのは、どこの住民訴訟でも聞かれることだと常々聞いていはいましたが、本当に言うんだな~という意味の「出た~~!」です。
「地方自治法」第二条14項 に「地方公共団体は、その事務を処理するに当つては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない」とあります。
利水に茨城県が費やす「経費」、それに対する「効果」を考えた時、そもそもの目的である「水」が(52年前に欲しかったが、現在は)足りている場合、「最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない」という義務に違反していると訴えることのどこが、「なじまない」というのか。
水が必要だ、そのために税金を使う必要があると、もしも、茨城県が言うのであれば、堂々と、水が必要であること、そのための最小の経費なのだと訴えればいい。それができずに「この訴訟が裁判になじまぬ」というのは、あまりにも姑息。
まさのあつこ atsukom@mrj.biglobe.ne.jp
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2005年01月21日 「八ッ場ダム住民訴訟」スケジュール (カテゴリー: 八ッ場(やんば)ダム )
昨年9月10日の住民監査請求から始まった「八ッ場ダム住民訴訟」が1都5県でいよいよ始まります。
何が問題なのか?裁判とは何か?三権分立の一角「司法」の世界を、この機会にぜひ覗いてみてください。
1都5県「八ッ場ダム住民訴訟」スケジュール
★第一回裁判(口頭弁論)
茨城 1月25日(火) 13:30 水戸地裁
栃木 1月27日(木) 10:00 宇都宮地裁
群馬 1月28日(木) 10:00 前橋地裁
東京 2月16日(水) 10:00 東京地裁
埼玉 2月23日(水) 13:15 さいたま地裁
千葉 未定 3月か?
「口頭弁論」では、原告は、「なぜ裁判所に訴えたのか」「誰に対して何を訴えるのか」を訴えます。
傍聴などの問い合わせ・カンパ先はこちら
●八ッ場ダムをストップさせる群馬の会
TEL:027-224-8567 郵便振替 00150-2-356373
●ムダなダムをストップさせる栃木の会
TEL:0285-23-8505 郵便振替 00140-1-500609
●八ッ場ダムをストップさせる茨城の会
TEL:0297-72-7506 郵便振替 00160-8-556816
●八ッ場ダムをストップさせる埼玉の会
TEL:048-825-3291 郵便振替 00180-2-334064
●八ッ場ダムをストップさせる千葉の会
TEL:043-486-1363 郵便振替 00120-5-426489
●八ッ場ダムをストップさせる東京の会
TEL:042-341-7524 郵便振替 00120-8-629740
私もどこかで「傍聴」に行きたいと思っています。裁判所でお会いしましょう。
まさのあつこ atsukom@mrj.biglobe.ne.jp
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2005年01月11日 たとえばボツ (カテゴリー: 八ッ場(やんば)ダム )
「日経エコロジー」2月号の「ビジネスリーダーのための新環境学」というコーナーで、『開発援助の環境社会配慮-事前の情報公開を推進 NGOの監視能力高まる』という記事を書きました。
三度目の正直となる駆け出しジャーナリストの仕事の半分は、記事の営業だと心得ています。そして、ボツになっても気にしない!落ち込まない!すぐに立ち上がる!をモットーに昨年の秋はもがいていました。最ももがいたのは、八ッ場ダムでした。
たとえば、以下は、某週刊紙へ出した「企画案」です。これは絶対面白い!絶対いける!と自信を持って出したものが、ボツになると、「気にしないわ~」と思ってその時はいても、だんだん、ボディーブローのように「なぜ、これがボツなんだ!」とだんだん後になって落ち込んできます。年末、だんだん落ち込みました(笑)。
ほとんどの週刊紙はストレートなテーマの取り上げ方をしても(例えば、八ッ場ダムがいかにムダかを書いても、一都五県の一斉訴訟が前代未聞のスゴイことだと話しても)、ぜんぜん、企画が通らない。それで、「なぜだ~!なんのための報道だ!」と思いながらも、必死に、面白おかしい切り口を考えるわけです。
そうしているうちに、自分が何を訴えようとしているのか、だんだん、分からなくなって、自信喪失してしまいます。だから何も考えず、ちょっとでも「いけるかも!」と思ったら、エイヤっと、編集者に相談してみる。編集者レベルを突破しても、企画会議で落ちてしまう。なかなか厳しい。そんなことを繰り返しています。あまり深刻に考えず、今年も頑張ってみます。
ボツになったら、他の媒体に持っていくという手はあるのだけど(そうしろと編集者からもアドバイスされますが)、以下の企画に関しては、私が本当に書きたい切り口ではないので、しかし、事実として面白いことは間違いない情報なので、こちらに載せてしまいます。
ただし、以下は、2004年9月8日に書いたもので、企画案中に出てくる「国土交通大臣」はすでに交代しています。(敬称略)
======
【企画案】
福田VS中曽根“上州戦争”の遺児「八ッ場ダム」
二世議員たち、小泉首相、小渕優子はどうするか?
●話の筋
かつての「群馬3区」は、福田赳夫、中曽根康弘、小渕恵三と、首相を3人も輩出した土地柄。現在でこそ、小選挙区制により二つに分かれ、福田康夫(群馬4区)と小渕優子(群馬5区)を輩出するが、96年に小選挙区制に変わるまで、福田派VS中曽根の“上州戦争”が激しく繰り広げられていた。
「ダムへ沈む川原湯温泉へようこそ」というアーチ看板が観光客を迎えるご当地は、まさに、八ッ場(やんば)ダムを挟んでの“上州戦争”に翻弄され続けた。
小選挙区制(そして中曽根康弘の終身比例第一位)によって上州戦争は終焉を迎え、上州戦争の主役たちは四半世紀を経て死亡もしくは引退。福田、中曽根、小渕にはそれぞれ二世議員が誕生し、八ッ場ダム予定地を抱える群馬5区では、小渕優子が新しい橋にテープカットする時代だ。
ところが、計画以来52年が経過する国交省の八ッ場ダム事業は、こうした政変からも取り残され、土地買収さえ進まないまま、続行中である。
水需要は頭打ち、脱ダムによる治水計画の破綻で、見直しが迫られる今、福田派の系図を継ぐ小泉内閣は、上州戦争の遺児とも言える八ッ場ダムをどうするのか。
小渕優子の選挙区にある上州戦争の遺児に、彼女はどう決着を迫るのか?
伏線:ダム計画について政治決断すべきは、石原伸晃国土交通大臣。2003年11月、八ッ場ダム事業費を2110億円から4600億円へと倍増させたが、予算増額をいち早く承認したのは父親の石原都知事。受益地である他関係県を含む一都五県の知事に対し、今年9月10日、不要な支出を差し止めるべしと「住民監査請求」が行われる。
●背景
【かつての群馬3区】
・ 福田赳夫、中曽根康弘、小渕恵三、首相を3人輩出
・ 現在は、群馬4区(福田康夫)と群馬5区(小渕優子)の二つに分かれている。
・ 八ッ場ダムに没する川原湯温泉は、この現在、群馬5区内にある。
【八ッ場ダムと3人の首相】
・ 福田赳夫は、ダム計画を強力に押し進めた。強酸性の水質問題で一度は死んだ八ッ場ダム計画を、石灰をぶち込む中和工場+品木ダム建設により、強引に息を吹き返させた張本人。
・ 中曽根康弘は、ここでもご多分に漏れず“風見鶏”ぶりを発揮した。福田に対抗して、ダム慎重論を唱え、地元住民を自民党に集団入党させ、ダム反対派の仲間と見せかけた。しかし、首相になるやいなや、一気にダム計画は進んだ。
・ 小渕恵三は、何をしたか?“ビルの谷間のラーメン屋”と言われた小渕は、福田の政敵と言われた田中角栄に、ダム反対派住民をあわせるべく、目白に共に参じた。しかし、まったく効果なし。
======
というわけで、企画案を書くまでに、かなり勉強し、資料を読み、労力と時間を使ってしまうわけです。
そんな中、企画を通り、記事を書き、書店に並んだ暁には、「やった~!」と思って、疲れが吹っ飛び、思わず、冒頭のように宣伝してしまいます(笑)。以上、昨年のボツの報告でした。
まさのあつこ atsukom@mrj.biglobe.ne.
2004年12月28日 八ッ場ダム予算が示す意味 (カテゴリー: 八ッ場(やんば)ダム )
財務省が、12月20日、05年の一般会計予算の内示をしました。
八ッ場ダムに関しては、国交省の要求300億円に対し、280億円の回答。
04年度の八ッ場ダム予算は196億円だったので、それから比べれば大増額。
707兆円を超える大赤字時代に、その増額ぶりは、まさに異常。「財政」という一点から見ても、八ッ場ダムがいかに非現実的な選択かわかる。それがまだ必要なものであれば分かるのですが…。
【国交省が2010年に完成するという裏側の理由】
ところが、これだけ増額して急ピッチでダム建設を進めようとも、完成時に、それが不要になっている。それがこんなにも明らかな公共事業は珍しいくらい(いや、一杯あるかも)。
八ッ場ダムの水を使うことになっている利根川流域(6都県)の人口は、国立社会保障・人口問題研究所の推計で、2015年がピークなのだ。
八ッ場ダムは、なんと言っても「52年前」にできた計画なので、その時は、まさか、人口が減少した後にダムが完成するなんて、当時の建設省だって思っていなかった。
しかし、今、国交省は、「これではマズイ」と内心、知っているので、しきりと「2010年に完成します!」と言い張っています。
でも、計算が合わないんですよ。「2010年度に完成させるためには、2005年度以降、毎年450億円の予算が必要!」と水源開発問題全国連絡会の嶋津暉之さん。
もちろん、これは逆説的な言い回しです。
これから赤字はドンドン増え、税収はドンドン減る。450億円なんて予算はつかない。
つまり、国交省は2010年に完成すると言うけれど、それは、「人口減少のタイミング」と「完成のタイミング」を見比べた場合に、ダムは不要だとはっきり誰の目にも見えてしまう、彼ら自身も認めざるを得ない。
認めた瞬間、裁判にも負けてしまうだろうから、あくまで、「完成するつもり」といい続けるでしょう。そして、裁判官はこの詭弁を見抜けるでしょうか?
あるいは、詭弁が見抜かれないように、国交省は、今回、馬鹿馬鹿しくも、関西国際空港に予算をど~んとつけたように、国交省はいつかそのうち、ど~んと、予算だけつけて、つじつまを合わせ、そして、やっぱり2015年になって、「やっぱり不要になりました」と言うのでしょうか。
今、この時点、2004年にそれが分かっていて。
長良川、諫早干拓、徳山ダム・・・、なんど同じ過ちを繰り返すのでしょうか。
右は、先日、鎌倉の山を歩いていて見つけた赤い実。
これ、なんて言います?よく見るのですが、名前が分かりません。もし、ご存じだったら教えてくださいませ。

まさのあつこ atsukom@mrj.biglobe.ne.jp
2004年12月08日 裁判官に何を求めるのか? (カテゴリー: 八ッ場(やんば)ダム )
大川隆司弁護士が語る「八ッ場ダム住民訴訟の意義と展望」を引き続きレポートします。
その前におさらいですが、住民監査請求は・・・、「私たちの自治体では、もう水は要らない。たしかに52年前は、水が欲しいと言ったかもしれないが、現在の状況に照らしてみれば、もう要らないことは誰の目にも明らか。だから、水は要らないと言いましょう。そうでないと、要らない買い物をすることになってしまう。私たちの税金で。だから、知事や水道事業管理者(水道局や企業庁)に、もう止めましょうって言いましょう」というものでした。
それを、1都5県(東京、群馬、埼玉、千葉、茨城、栃木)で一斉にやってみたわけです。5400人もの人が。ところが、示し合わせたかのように、どの都県でも却下または棄却したので、今度は裁判官に向かって訴えていくことになりました。
そこで、今日は、「裁判官に何を求めるのか」の巻です。
大川弁護士のレジメのままを書き留めると、以下の4点です。
1. 水道事業管理者(水道局や企業庁長)は利水負担金を支出するな
2. 水道事業管理者は八ッ場ダムの使用権設定申請を取下げて八ッ場ダム事業から撤退せよ
3. 知事は治水負担金を支出するな(また、水道事業特別会計への繰出金を支出するな)
4. 知事と水道事業管理者は過去1年分の違法支出について損害賠償金を支払え
これを普通の言葉で言えば、こういうことです。
裁判官に対し、次のようなことを訴えていくことになります。
「いや~、裁判官、参りましたよ。ウチの自治体の住民監査委員たち、もう、52年前に欲しいと言った水は要らないから、要らないって国交省に言ってやれって知事たちに言ってくれって頼んだのに、聞きやしないんです。だから、貴方のところに来ましたよ。よろしくお願いしますよ。今度こそ、要らない水の請求書が来ても、払う必要はないって言ってやって欲しいんですよ。それから52年前に欲しいっていった水、あれはもう要らないって国に言ってやれって、知事や水道事業管理者たちに裁判官から言ってやって欲しいんです。それからね、「治水負担金」ってやつも請求されるんですが、こんなもんも払う必要はないと言ってやってください。八ッ場ダムにその費用に見合うだけの「治水効果」がないことはもうバレてんですよ。っていうかね、治水計画がメチャクチャだってことがバレてんですよ。国交省だって百も承知ですよ。それからね、過去1年分に税金から払っちまったカネは、テメエの責任だから、テメエのポケットマネーから、自治体の金庫にちゃんと返せと、知事たちに言ってやって欲しいんだ。ほんとは今までの分、全額返せって言いたいんだけどね。法律ってややこしいね、1年しか返せって言えないっていうんだから、困ったもんだ。でも、1年分だけでも、返してもらわねぇよりいいや。じゃ、頼みますよ」

って、ことで、次回は、この「頼みますよ」ってのを、どういう法律を根拠にして頼むのか、を解説したいと思います。(写真は1都5県、集会の受付軍団。お疲れさまでした。ほとんど盗撮状態だったかも?やっほ~と美しい笑顔をこっちを向けてもらえば良かった。ゴメンなさい)
まさのあつこ atsukom@mrj.biglobe.ne.jp
2004年12月05日 なぜ訴訟か? (カテゴリー: 八ッ場(やんば)ダム )
八ッ場ダム住民訴訟スタート集会。
全国市民オンブズマンの大川隆司弁護士が、「私は前座で」と謙遜しながら、「八ッ場ダム住民訴訟の意義と展望」を語りはじめました。要約させていただくと次の通り。
「国がソロバンのはじき直しをして、八ッ場ダムの事業費が増額となったとき、自治体の側には、事業から撤退するという選択権があった。それにも関わらず、知事も議会も増額に賛成をした。そこで住民監査請求によって、自治体が考え直すチャンスをもう一度、住民の側から与えたわけです。ところが、却下、もしくは棄却という形で、自治体は、その選択権の行使をしなかった。そこでやむなく、訴訟という形で、税負担を強いられる住民の立場から異議を申し立てる。それが住民訴訟です。」

千葉県会議員の大野博美さんの司会で始まった集会の模様…。
これから数日の間、締め切り仕事の合間を利用して、ボツボツとレポートしていきたいと思います。
まさのあつこ atsukom@mrj.biglobe.ne.jp
2004年12月05日 縁の下の力持ち (カテゴリー: 八ッ場(やんば)ダム )
物語には、主役の他にも主役がいます。多くの主役が一つの物語りを多様に演じるとき、その物語は大きく展開していきます。八ッ場ダムを巡る物語も、そんな曲がり角をまたひとつ曲がったように、私には見えます。

今日は「八ッ場ダム~住民訴訟スタート集会」で、ふと、縁の下から八ッ場ダムの活動を支えているお二人を発見。「機会があったら、縁の下の力持ち編で、サイトに載せてもいいですか?」のお願いに、お二人とも照れ笑いで答えてくれました。

右は、八ッ場ダム住民訴訟の弁護団の縁の下の力持ち、谷合周三弁護士。
左は、チラシ作りからカメラマンまで、市民団体の裏舞台で、頼まれるとなんでも「アイヨ」と引き受けてしまう力持ちの渡辺誠さん。
一つの運動を定点観測していると、人々の笑顔や息づかいが見えてくる。
それが楽しいです。
「Port of Notes」の「Evening Glow」を聴きながら。(お勧めCDです)
まさのあつこ atsukom@mrj.biglobe.ne.jp
2004年12月03日 集会の案内再掲載 (カテゴリー: 八ッ場(やんば)ダム )
出張で出たり入ったりの隙間に、先日、なんでもかんでもゴチャゴチャに報告しました。
あさっての以下のイベントを再掲載します。
================
「ストップ!八ッ場ダム~住民訴訟スタート集会~」
日時:2004年 12月5日(日)午後1時20分~4時30分
場所:渋谷フォーラム・エイト(FORUM 8)
6階 オリオン・ホール
渋谷駅ハチ公口より徒歩7分、道玄坂のぼる
東京都渋谷区道玄坂2-10-7、新大宗ビル
TEL 03-3780-0008
資料代:1000円
主催: 八ッ場ダムをストップさせる市民連絡会
【プログラム】
1 開会
2 オープニング・ミニコンサート
石井ヘンドリックス 吾妻渓谷のビデオを見ながら
3 原告団アピール「八ッ場ダム住民訴訟の意義と要点」
大川隆司(全国市民オンブズマン連絡会議・弁護士)
4 講演「八ッ場ダムは利根川治水に役立つか?」
大熊孝(新潟大学教授・治水研究の第一人者)
5 パネルディスカッション「治水、利水、地質?史上最悪のダムを総点検!」
大熊 孝(上記参照)
矢部俊介(土木工学専門家)
嶋津暉之(水源開発問題全国連絡会・利水の専門家)
コーディネーター:高橋利明(弁護士)
6 質疑応答
7 連帯アピール 全国各地のダム反対運動から
川辺川ダム(熊本)板井優
徳山ダム(岐阜)森弘典
二風谷ダム・平取ダム(北海道)市川守弘
8 各政党からのアピール
9 集会宣言
連絡先 八ッ場ダムをストップさせる市民連絡会
谷合周三法律事務所 03-3512-3443
藤永知子 048-825-3291 深澤洋子 042-341-7524
事務所または上記の藤永・深澤へ
2004年11月23日 八ッ場ダム住民訴訟スタート集会 (カテゴリー: 法律・制度 , 八ッ場(やんば)ダム )

ここのところ、人前でお話すること多し。
先週18日はあるNGOでのざっくばらんなロビー講座、19日は「青の革命と水のガバナンス」という研究会での河川法についてのお話。前者では、「審議会ってなんとかなりませんかね?」というボヤキを聞かされ、後者では「河川整備基本方針は『密室』で決まり、河川整備計画は『裁量』で決まります」と河川法の構図を単純化してお話したところ(案の定)、「『密室』ではなく、ちゃんと『審議会』という場を通す」と国交省の関係者から反論があって、面白かった。
(右上写真は、群馬県長野原町。八ッ場ダム予定地のご当地は、浅間山が噴火で山が崩れて、吾妻川に雪崩れくだり、泥流が通過していった場所。写真は、2万4年前の噴火で堆積した「応桑岩屑なだれ」。いわば山の残骸が、不安定に重なってようやっと落ち着いているところ。様々な岩や石が無秩序に入り乱れているところが、この写真でよくわかると思います。ダムの水を貯めると、このグチャグチャの地質とその下の土との境目が、すべる(地すべりを起こす)のではないか、と言われている場所です。)
11月27日(土)にはオーフスネットの設立一周年記念(条約の翻訳完成記念)の報告会「環境に関する情報・参加・司法の国際動向」。「台湾ダム代替案会議・報告」というお題で私もお話ししますが、このサイトでは報告しなかった「政府援助」の世界で白熱中(?)の「社会環境配慮」に焦点をあてて、国と、国の法律が届かない「国際間」の関係で果たす「法秩序」ってなにかしらん?ということを考える材料を提示したいと思っています。(うまくいくかしら。これから金曜日まで出張なので昨日徹夜してパワポで仕上げたけれど…)
11月27日、モンベル渋谷で15:00~17:20ですが、よろしかったら、ぜひお越し下さい。お申し込みはこちら。
★ 前置きが長くなりましたが、今日の本題。
「ストップ!八ッ場ダム~住民訴訟スタート集会~」が、これも渋谷であります。
===================================
日時:2004年 12月5日(日)午後1時20分~4時30分
場所:渋谷フォーラム・エイト(FORUM 8)6階 オリオン・ホール
渋谷駅ハチ公口より徒歩7分、道玄坂のぼる
東京都渋谷区道玄坂2-10-7、新大宗ビルTEL 03-3780-0008
資料代:1000円 主催: 八ッ場ダムをストップさせる市民連絡会
===================================
9月10日に6都県(東京、茨城、埼玉、千葉、群馬、栃木)で行われた一斉住民監査請求(請求人は5400名)ですが、すべて却下と棄却という結果だったと、東京では、昨日、東京地裁に対して、さっそく提訴が行われました。(各紙22日の夕刊などに出ています。)
これを受けて、今度は住民訴訟、という区切りのスタート集会です。
▼ オープニング・ミニコンサート~吾妻渓谷のビデオを見ながら~▼ 原告団から「八ッ場ダム住民訴訟の意義と要点」
▼ 講演「八ッ場ダムは利根川治水に役立つか?」
大熊 孝(新潟大学教授・治水研究の第一人者)
▼ パネルディスカッション「治水、利水、地質~史上最悪のダムを総点検!」
大熊 孝(新潟大学教授)/矢部 俊介(土木工学専門家)/
嶋津 暉之(水源開発問題全国連絡会・利水の専門家)
いけないなぁ、という方は、おカネで支援という手もお勧めです。弁護士さんたちは、ほとんど「手弁当」^^;。以下は、八ッ場ダムをストップさせる市民連絡会からのお願い。
~~~~~~~おカネで支援~~~~~~~~~~~~~~
6都県の方は「各都県の八ッ場ダムをストップさせる会」へ。それ以外の方は「東京の会」へご入会ください。年会費一口1,000円/カンパは随時受け付け。振り込みは、下記の郵便局の振替口座へ。「通信欄には、会費・カンパの別、また、連絡経費の軽減のためファックス番号やメールアドレスなどもご記入下さい」とのこと。
八ッ場ダムをストップさせる群馬の会 027-224-8567 鈴木 庸 振替 00150-2-356373
ムダなダムをストップさせる栃木の会 0285-23-8505 伊藤武晴 振替 00140-1-500609
八ッ場ダムをストップさせる茨城の会 0297-72-7506 神原晴美 振替 00160-8-556816
八ッ場ダムをストップさせる埼玉の会 048-825-3291 藤永知子 振替 00180-2-334064
八ッ場ダムをストップさせる千葉の会 043-486-1363 中村春子 振替 00120-5-426489
八ッ場ダムをストップさせる東京の会 042-341-7524 深澤洋子 振替 00120-8-629740
その他問い合わせ:八ッ場ダムをストップさせる市民連絡会 03-3512-3443 谷合周三法律事務所または上記の藤永・深澤へ
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
本日は、民主党の管直人さん(民主党のネクストキャビネットの国交大臣)らが、現地を視察しているようです。52年もの間、都会から打ち捨てられていた問題が、国政の課題へと一歩近づいた日でした。
まさのあつこ atsukom@mrj.biglobe.ne.jp
2004年10月14日 「そこのけ」は、国際標準を満たさない (カテゴリー: 住民参加 , 八ッ場(やんば)ダム )
「道路代替用地7割『遊休』」という朝日新聞10月11日の記事を見て、さもありなんと思う。
道路建設で移転を余儀なくされる地権者のために548億円を使って用意した「代替地」10万6千m2のうち7万1千m2が「提供の可能性がなく遊休化している」と会計検査院が指摘したそうだ。
「さもありなん」と思ったのは、八ッ場ダム(群馬県長野原町)計画の状況を見聞きするからだ。
日本の公共事業が、いかに移転させられる人々の希望も聴かずに、「そこ退け、その退け、道路が通る」「そこ退け、そこ退けダムが通る」と事業主体でことを進めてきたかを示す。
計画から52年たった八ッ場ダムでは、いまだに、「補償交渉」が終わっていない。これだけを考えても(半世紀のダム闘争でくたびれ果てた現地の方々のお気持ちを私自身が踏みにじるようで申し訳がないが)、実は、ダム建設をこれ以上、一歩も進めるべきではないのだ。
水没四地区(川原畑、川原湯、横壁、林)の住民が「国交省に約束を守らせる会」として、水没地の人々に向けてチラシを織り込み、国交省のやり方に納得がいかないではないかと訴えたのは、ほんのこの夏の出来事だ。
No.1「急告 信じていた補償基準に疑心!!」
・宅地、田、畑の坪当たりの価格に他の地区と差額がある(安い)。
・その理由を聞いても国交省は説明もしない。
No.2「いまだに支払い名目もない第一小の建設用地」
・水没する小学校に替わる小学校を建設するというから(小学校だけはとりもなおさず)善意で土地を提供したのに、(そしてその際、山を切り崩して整地するから周辺の土地も一緒に提供するわけです)、建設が済んだら周辺の土地に関しては「小学校用地ではない」と支払われていない。
No.3「特報「代替地分譲基準連合交渉委員会」開かる」
・ なぜ、チラシを発行するかという説明など
目を転じて、途上国への開発援助の動向をみてみると、八ッ場ダムのケースがいかに、先進国として恥ずかしい事例であるかが分かる。すでにこんなことは、開発援助の分野では許されない、糾弾されるべきことだからだ。
インドのナルマダダム、中国の山峡ダムなど、先進国の支援による途上国の大型ダム建設は、どこにおいても、社会的・環境的な配慮は一切無視して行われてきた。それは現地政府の体制によるものもが大きかったが(国によっては軍隊や警察が強権的に移転させてしまうケースがあると「メコン・ウォッチ」の松本悟さんは言います)、国際社会では、それは援助する側の責任もある、ということになり、技術援助や融資をする場合には、対象となる事業にきちんと環境配慮がなされたか、人々への補償がきちんと行われるかが確認されない限りは、支援を行うべきではない、という流れにつながってきた。
その結果、世界銀行では、1950年代から増加の一途を辿っていたダムへの融資は、1980年代前半を境に、現在、ひたすら下降線を辿る。「移転」という大きな犠牲を払うくらいなら、作るべきではない(適正な住民参加や補償がなされない国には融資できない)、という流れになってきているのだ。
1998年に世界銀行と国際自然保護連合が設立した「世界ダム委員会」が、社会的な影響や環境への影響を配慮するべきという勧告を出したことで、この流れは決定的になった。
【移転は単なる物の移動ではない】
影響を受けるのにもかかわらず、それが過小評価されて補償がされないのは、立ち退きに会う人々の「経済的、社会的な発展」ではなく、単に「物理的移転に主眼を置いているからだ」と結論づけられていったのだ。
日本はそんな流れの中で、最後まで支援側の劣等生として悪名を馳せることになった。フィリピンのサンロケダム、インドネシアのコトパンジャン・ダムなど、働いてきた悪事の数はいくしれない。
そして、ついに、こうした外圧を受けて、JBIC(国際協力銀行)もJICA(独立行政法人国際協力機構)も、それぞれ「環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドライン」(02年4月)、「JICA環境社会配慮ガイドライン」を2004 年4 月を発行。今後は、それが守られていくかが、国際社会からも監視される段階に移っていく。
さて、改善されるべき点はまだあるものの、後者のJICAについて言えば、日本国内の公共事業のやり方と比べて、いくつもの優れた考え方が盛り込まれている。
一つは、「非自発的」に移転させられる住民に対する考え方です。
人々の移転や生計手段の喪失はできるだけ回避すべき、そして、どうしても回避できないならば最小限に食い止め、どうしても食い止めることができなかった犠牲については、その損失を補償すること、と、「回避、最小化、補償」という優先順序で考えなければならないこと。
そして、それが、移転させられる人との「合意の上で」なされなければならない、ということ。
「つまり、勝手に専門家がやってきて、あなたの補償額はいくらね、と一方的にソロバンをはじくのではなくて、移転する人自身が納得しなければならない」(「メコンウォッチ」の松本悟さんに聞きました。)
「また、補償や支援が「適切な時期に与えられなければならない」ということろが大事なんです。つまり、待たされて疲れちゃったなんていうのは論外で、新しい生活が必要なときに間に合うように早く、でなければならない」
松本悟さん(彼は「JICA環境社会配慮ガイドライン改定委員会」の委員でした。まさに改定に汗をかいた人!)にお話を聞いていて、「もう涙が出そう!」と叫ばずにいられませんでした。
二重の意味でです。今まで、勉強しなければ、と思いつつ、国内のダムで精一杯と、国際スタンダードを勉強せずに来たこと。このことをもっと早く知っていれば(いや、実は、脳みその表層では関知していながら、きちんと理解していなかった)という後悔の涙。そして、海外支援以下のスタンダードで、自国民に向きあっている日本政府に対する情けない気持ちの涙。
「八ッ場の人たちなんて、もう52年も待たされているんですよ~(泣)。そして未だに納得がいかない扱いを受けています(泣)」(まさの)
「日本には『ゴネ得』っていう言葉がありますよね。でも、そんなの当たり前なんです。それだけ背負わされるものが大きいんです。海外支援のあり方では、移転する人こそは、受益者にならなければならない(犠牲ではなく)。移転する人々の生活は改善されなければ、受益者にならなければならない。少なくとも、回復。そういう順序です。回復じゃないですよ。改善が先です!」(松本さん)
そういったことが皆、「JICA環境社会配慮ガイドライン」(2004 年4 月)の22ページ「非自発的住民移転」の項に書いてありますから、行間とともに、じっくり読んでください。
そんなわけで、こんなニワカ勉強をしたのは、明日から台湾で始まる「ダム代替案国際会議」に出席するからです。日本の恥をさらしたり、日本の悪事を謝ったりしなければならないことになるのだろうと、思ったからです。でも、それ以上に、これまで勉強(体得)してこなかった自分を、恥ずかしいと思いました。
帰国後、また、ご報告します。
まさのあつこ atsukom@mrj.biglobe.ne.jp
2004年10月13日 住民監査請求が機能しないのは何故か (カテゴリー: 法律・制度 , 八ッ場(やんば)ダム )
04年9月10日に一都五県(東京、埼玉、千葉、群馬、栃木、茨城)に対して5391人が一斉に行った住民監査請求の結果が、少しづつ出てきています。
計画から52年。03年、国交省が事業費を2110億円から4600億円に倍増を提案。埼玉県では知事をして県議会で、「2000万円で契約をした家の完成が間近に迫ったときに、4600万円だと請求されているような思い」{こうしたことが本当に世の中で通じるのか激しい怒りも感じております」と言わしめた増額を受けての住民監査請求でした。
住民たちが監査委員に求めた内容は、以下の通り。
●知事や水道事業管理者に対する以下の支出差し止め
1) 建設負担金(起債利子を入れると総額約8800億円
2) 水源地域整備事業の経費負担金(総額997億円)
3) (財)利根川・荒川水源地域対策基金の経費負担(総額249億円)
● 知事に対しては、また
4) 一般会計から水道事業特別会計への支出差し止め
5) 昨年1年間の支出(都県総計で104億円)に対する損害賠償請求
ところで、「住民監査請求」とは?不当もしくは違法と思われる公金支出について、住民が、監査委員に監査を求める仕組みです。監査委員は請求から60日以内に監査を行って勧告を行うかどうかを公表するわけです。
では、「監査委員」とはどのような人か?都道府県には4名います。2名は識見者、2名は議会議員。これすべて「地方自治法」に基づいています。監査委員は、年一回以上、自分たちでも監査を行いますが、それを補う制度が住民監査請求なわけです。
ところが、この制度、まったく信頼されていない。「どうぜ門前払い」されると諦めて、訴訟を行うための通過点の一つくらいにしか考えられていない。そこで、いちおう調べてみました。機能していないという点は、まったくもって本当。
一都五県住民監査請求結果(2003年度)
受付 却下 棄却 勧告 その他
東京都 49 37 10 2
栃木県 5 0 3 0 *
埼玉県 8 7 0 0 **
千葉県 16 9 5 0 ***
茨城県 0 0 0 0
群馬県 5 4 1 0
* 「継続中」1件、「一部認容、一部棄却」1件
* *「請求した住民が取り下げ」1件
* **「一部棄却、一部却下」2件
信頼をおけない制度というのは分かった。だからなのか、茨城のように、請求自体がゼロだった県もある。じゃ、機能しなくてもいいのかといえば、違う。茨城では代表監査委員は月66万円、議員ですら給与と別に13万3千円も報酬をもらっているので、ムダを省く仕事をしてもらわねば、それ自体がムダになります。
ところが今日また、1都5県のうち、監査請求を「却下」した自治体が出ました。今度は栃木県。「法第242条に規定する住民監査請求の要件を具備していないものと判断し、却下します」と。
却下の理由を簡単に言えば、今回の請求は、「財務会計行為自体の違法性・不当性」というものにはあたらないということです。
河川法に基づいて、治水・利水という目的をかかげて事業を開始したにもかかわらず、その効果が得られないのであれば、「不当」以外のなにものでもないはずで、そのことが理解(検証)できないのは、監査委員の能力の低さを露呈しているのではないかと、腹が立ってくるわけです。
★また、こうなってくると、地方自治法のおかしさも感じざるを得ない。
監査委員4人はいわば被告である「知事」が選んだ人であること。
議員二人は議会の中で一度、予算に賛否を示した立場であり、内輪の関係者でかばい合っている構図にしか見えないわけです。地方自治法の改正が必要課題として生じていると言えます。
以下は、埼玉ですら却下を行ったことに対し、住民監査請求を行った「八ッ場ダムをストップさせる埼玉の会」の抗議文です。転載させていただきます。
=============
不当な監査結果に抗議する
八ッ場ダム事業に関する住民監査請求の却下について
9月10日、893人の監査請求署名を添えて、埼玉県監査委員に「八ッ場ダム建設事業に対する負担金の支出差止等を求める住民監査請求」を提出しました。その監査結果が10月8日、郵送されてきました。監査結果は、監査請求を却下するというものでした。
請求の内容について全く審理することなく、意見陳述の場すら与えずに、門前払いというべき却下という結果を出した監査委員に対して、強い憤りを覚えます。
八ッ場ダムは治水・利水の両面で建設の必要性が失われ、さらに様々な災いをもたらす事業です。その事業に対して、埼玉県が総額で約800億円(起債利息も含めれば約1,200億円)も負担するのは、公金の無駄遣い以外に何ものでもありません。900名近くの県民が今回監査請求を行ったのは、このように無意味な事業に埼玉県が参加することを何としてもストップさせなければならないという思いが結集したものです。その県民の思いを監査委員は踏みにじりました。
私たちは、地方自治法、地方財政法、河川法等に照らして、必要性が失われた八ッ場ダム事業に対する埼玉県の費用負担は違法であることを指摘しましたが、県監査委員はそのことには耳を傾けず、明白な違法性の提示なしという不当な判断を行いました。必要性の喪失、巨額の公金無駄遣いという重大な事実に目をつむり、実体審理を行うことなく、監査請求人の権利である意見陳述の場すら与えずに、門前払いという結果を出した監査委員は、その責務を放棄したと言わざるをえません。
私たちは、今回の監査結果に対して強く抗議するとともに、八ッ場ダム事業への参加の不当性、違法性を問うために、住民訴訟を起こす意志を表明します。
2004年10月12日
八ッ場ダムをストップさせる埼玉の会
(連絡先などここでは省略)
==
本文とは関係ありませんが、写真は堆砂で埋まったダム。(山梨県奈良田温泉の前で)

以上
まさのあつこ atsukom@mrj.biglobe.ne.jp
2004年09月13日 嶋津暉之さん (カテゴリー: 人 , 八ッ場(やんば)ダム )
今日は、「八ッ場ダムをストップさせよう 東京集会――住民監査請求報告大集会」に行ってきました(参加者400名)。内容については主催者たちがどこかのホームページで報告するでしょうから、私は、この機会に、「嶋津暉之さん」のことを書きます。
田中康夫さんが使った「脱ダム」という言葉は、今でこそ、誰でも知る言葉となりました。でも、高度成長期に立てられたダム計画が、その受益を受ける都会人たちの知らぬ間に、目に見えない山奥で人々の心を翻弄し、コミュニティを壊していたことを、その頃、私たちのほとんどは気づいていませんでした。
嶋津さんが、それに気づいて衝撃を受けたのは、彼がまだ学生時代。1960年代でした。今日はそれから彼が辿った道(人生)の一面を書きます。
なぜなら、嶋津さんがダム水没予定地の人々の心に遭遇した場所の一つは、まぎれもなく、今日の集会のテーマであった「八ッ場ダム」だったからです。
嶋津暉之さんは、1993年にできた市民団体「水源開発問題全国連絡会」(通称:水源連)の創設メンバーの一人で、現在、共同代表です。水源連は、その名の通り。ダム開発計画に翻弄され、地域ごとにバラバラだったダム反対運動が互いに連携・連絡を取り合う組織です。
1993年とはダムを巡る時代の変換がまだまったく見えていなかった頃です。
当時、水源開発予定地に指定された地域の多くでは、ダム事業を推進しようとあの手この手の攻勢を駆けてくる事業者との長期にわたる闘いで身も心も疲れ果てる一歩手前。あるいは、人生のほとんどをダム闘争に費やしたあげく高齢者となり、二代目、三代目へと引き継いでなお、頑張る地域や、疲れ果てて諦める地域が現れた、そんな時代です。
さて、嶋津さんの話に戻ります。
嶋津さんは、1972年に東京都に就職します。何をやったと思います?
工業用水(地下水)使用の合理化です。当時は、地下水のくみ上げすぎで、地盤沈下問題が起きていました。そこで、合理化を指導するという仕事をしたのです。これは効果を上げました。この時、嶋津さんが確信したこと。
節水技術を確立すれば、ダムをこれ以上必要としない社会が来る。
遠く離れた山村に住む人々が、都市住民のために苦しむ必要がなくなるのではないか。
ところがそうはいきませんでした。
節水で成果を上げても、一度立てられた行政の計画や事業は止まらない。
嶋津さんは失望しました。
でも、そこで諦める人ではありませんでした。
学生時代に八ッ場ダム予定地である長野原町で受けた衝撃は、そんなものではなかったようです。
嶋津さんは、この時から、考え方と手法を変えました。
行政マンとして仕事を通してではなく、心ある一人の人間としての活動を始めたのです。
建設省(現在は国土交通省)や水資源開発公団(現在は水資源機構)の抱える計画、データ、人口統計、水需要実績データなどを入手し、その情報の整理と、詳細な分析を開始したのです。それにより、現実の水需要と計画のズレを見事に証明し始めました。
「ダムは要らない」という活動をする住民運動に、嶋津さんは、惜しげもなく自分の時間とエネルギーを割きました。整理した情報(何よりの武器)を与え、支援する行動に出たのです。
嶋津さんのこの新しい支援に最初に飛びついたのは、1976年に始まった琵琶湖総合開発工事の差止訴訟の原告団でした。
これをきっかけに、嶋津さんは、全国のダム反対運動から支援を求められるようになりました。
東京都職員という本職のかたわら、休日を使い果たして現場を歩き、ダム計画と水需要の実績データの乖離の証明のために、夜の睡眠時間を削りに削りました。
細川内ダム、渡瀬遊水池第二貯水池、清津川ダム、足羽川ダム、新月ダム、倉淵ダムなど、これまでに中止・休止となった多くのダム事業の反対運動の影には、常に(常に、です)、嶋津さんによるデータ分析がありました。
そのこと最もよく知っているのは、むしろ、事業者達です。
中止・休止にはなっていませんが、長良川河口堰、徳山ダム、苫田ダム、川辺川ダム、宮が瀬ダム、相模大堰、宇奈月ダムなどに対し、住民運動側が、「無駄なダムだ」と自信を持って言えるようになったのも、その土台に、嶋津さんの力(時間でありエネルギーであり心であり)がありました。
住民運動に根拠と説得力を与え続けた嶋津さんの情報は、ボディ・ブローとして、行政のみならず、無関心な世論までを動かしていきました。
ただ、「情報」とは常にそうであるように、いったん、それが説得力をもって伝わり始めると、誰がその情報を最初に整理し、準備をしたのかは、消えていきます。そんな具合で、嶋津さんが整理し、コツコツと準備した情報を、現在の日本国民のほとんどが知っていても、「嶋津暉之」という人を知っている人はほとんどいません。
知ってもらいたくて、今日は書いています。
こうした嶋津さんの手法やフットワークの回りに、首都圏でも「東京の水を考える会」が発足しました。その後、全国の反対運動を結ぶ、水源連が発足することになったのは、自然な流れだったのです。
水源連の設立以降の嶋津さんの活動は、新たな展開を見せました。
住民運動への支援だけにとどまらず、国交省(建設省)との論戦、対決、対話へも乗り出します。また、国会議員に対し、公共事業の中止・休止・継続を判断する中立的な「チェック機構」の創設を提言する活動も中心となって開始しました。
長良川河口堰が本格運用された1995年初夏、建設省は、ダム事業等審議委員会を始めましたが、その「発想」は嶋津さんたちが提言し続けた「チェック機構」とピッタリ符合します。
私がダム問題に遭遇したのは1995年の1月。
「嶋津先生」と各地の人によばれる嶋津さんに初めて出会ったのは、この年の春頃だったと思います。
時は流れ、世論の高まりを背景に、環境保全と住民参加を新しい概念に加えて、河川法が改正されたのは、1997年でした。この時、政府案に対し、民主党・共産党などが対案を提出しましたが、その骨子を練った中心人物がこれまた嶋津さんだったことは、今だから明かせる事実です。
私は門前の小僧のように、この対案づくりを、嶋津さんを、見ていました。
この頃から、少しづつ、嶋津さんの役割は増えていっていました。
というのも、「利水計画」の破綻が嶋津さんの努力によって証明され勝負がつくようになっていったのと交代で、今度は「治水」という名目で、ダム事業は生き残るようになってきたのです。
ところが、日本の河川工学者、土木関係者は、自分の立場や職(我が身ですね)優先で、「治水計画」の破綻や矛盾や現実との乖離について、あばいてはきませんでした。
住民運動に頼られるまま、嶋津さんは、「治水計画」の根拠となる基本高水(ダムがない場合の最大流量)の設定が、実は、部外者による実証がまったく不可能なままに、国交省の密室で行われていることに気づき、その証明に力を注ぐことになっていったのです。
1997年の河川法対案作成のなかで、本当に嶋津さんが最も強調していれたかった新しい仕組みとは、この基本高水を設定していく段階で、情報をすべて公開し、住民が参加していく仕組みでした。
しかし、当時、このことが、社会にはうまく伝わっていきませんでした。
門前の小僧だった私は、この頃、まだまだ理解力が低く、97年1月にジャーナリスト宣言をしたばかりで、情報発信者としても力になることができませんでした。そばにいて、すべてを見ていることに精一杯でした。
そして、2004年、現在、嶋津さんが最も力を注いでいるのが、最後まで残った首都圏の巨大ダム「八ッ場ダム」です。嶋津さんの人生行路を決めたとも言える最初の出会いから約40年。八ッ場ダム計画の始まりから今年で52年です。
今から数年前、嶋津さんは、「首都圏のダム問題を考える市民と議員の会」結成のために走り回り始めていました。一都五県の住民運動の間を、目まぐるしく飛び回り始めたのです。
東京都環境科学研究所を退任したのは、今年、2004年3月31日です。ほんとうは、「まだやり残した仕事がある」と研究所への再任用を希望されていました。普通なら、このような希望が退けられることはないそうです。
ところが、嶋津さんの希望は退けられ、そのまま退任されました。
実は、このことも、本人の口からは出ませんが、八ッ場ダムと運命的に絡んでいます。再任用のちょうどこの時期に、あることが重なったのです。
あることとは、八ッ場ダム計画の事業費が、2210億円から4600億円へと増額され、一都五県の議会が、自治体分の負担増額を承認するかどうか、という時期です。
今、批判せずにいつするか、八ッ場ダムを止めることができるなら、今しかない。嶋津さんは、そんな気持ちで、TV番組「ニュースステーション」や朝日新聞の「私の視点」などで、八ツ場ダム計画に対し、精一杯、批判的なコメントや論点を展開しました。
東京都は、八ッ場ダムの受益者、推進者でした。
都から嶋津さんの再任用が退けられた時、同僚たちの間で、(八ッ場ダム批判を)「やりすぎたからではないか」とささやかれたのは、実に、もっともなことでした。
一都五県は増額を承認しました。
嶋津さんの公務員生活も終わりました。
でも、このとき、嶋津さんが我が身をかけた叫びは、ムダに闇に消えていったわけではありませんでした。
一人の弁護士が、それを見事に受けとめていたのです。
彼は、全国市民オンブズマン連絡会議の弁護士です。
「一都五県、一斉に、住民監査請求をしよう!」
この呼びかけで、嶋津さんの人生は新しい展開を遂げました。
9月10日、一都五県に対して行われた住民監査請求に、5000人以上が名を連ねました。嶋津さんには、その主柱の一人としての新しい一歩がまた始まりました。
5000人余の一人ひとり、それぞれにきっと、嶋津さんとは違う、けれども意味のあるいきさつがあって、今回の住民監査請求に参加をされたのだと思います。私の役割は、おそらく、そんなお一人おひとりの、貴重なドラマを、できるだけ多く、「元気の素」として記録し、書き残していくことなんだろうな、と思っています。
嶋津さんに都職員という「立場」がある間は、私も、嶋津さんという人物をくっきりと人々に対して描くことを遠慮していました。でも、その歯止めは、今では、まったくなくなりました。
――東京都もバカだね。嶋津さんを再任用しておけば、こんなことにならなかったのに(笑)、自由の身にさせなかった方が、彼らにとってはきっとよかったのにね。嶋津さんのエネルギーが全開になって困るのは、彼らでしょ――というのが、最近、私の周辺で聞かれる笑い話です。
私もそう思います。
長くなったけれど、いつか、なんらかの形で、嶋津さんのことを多くの人に知ってもらいたいと思っていました。さきほど、嶋津さんに「いいですか?」と、ご了解をいただいて、載せさせていただくことにしました。
「過分な評価を」と本人はおっしゃいました。
けれども、私は書き足りた気がしません。そして、私が知っているのは、嶋津暉之さんの一面でしかありません。
5000人余のエネルギーがすべて、このような一人ひとりの集まりであり、八ッ場ダム事業は、きっと(道は険しいけれども)止まるんだろう、と、私は今、思っています。
まさのあつこ atsukom@mrj.biglobe.ne.jp
2004年09月10日 ダム事業の決定権 (カテゴリー: 法律・制度 , 八ッ場(やんば)ダム )
【住民に手の届かないダム事業の決定権】
一つ前の日記でお伝えした「行政手続法」の改正がなぜ「ダム」と関係するか?
ダムは「行政手続」だけで決定するからです。
行政の手続には(もの凄く大雑把に言うと)二つあります。
一つは法律に基づいてやること。一つは、行政の裁量でやること。
日本政府の最大の問題点は、「行政の裁量」の幅が広すぎることです。
ダムもご多分にもれず、「行政の裁量」で作られます。
たとえば、国土交通省のダムは、“隠れ箕“と言われる審議会のことを脇へおいて、どう決まるかと言えば…、
1) 基本高水(ダムが無い状態で川に流れる流量)の想定
2) 計画高水(ダムができた場合に川に流れる流量)の想定
この二つが、国土交通省内の裁量で決められます。
これに基づいてダム何個などと決めます。その決定が、水没予定地域に上からガンと下されてしまう仕組みです。
この1)がそもそも過大な想定になっているケースが多く、そのために不要なダムまでできてしまう仕組みです。(大雑把に言うとですね)
この想定さえ正しくやれば、ダムは要らなくなるところがたくさんあります。徳島の吉野川は、堤防に残った過去最大の洪水の痕で、想定のウソがバレましたね。
また、例えば脱ダム・長野県の砥川では、この1)2)の決定権が現在、国土交通省にしかないために、簡単に脱ダムへと移行ができず、四苦八苦しています。過去にどれだけの雨が降ったか(川にどれだけの水が流れたか)という実績や土地に住む人の記憶ではなく、机上の計算で決定されてしまっていて、管理を任せている川ですら、その決定権を県に渡さない。
住民には当然、その決定権はありませんし、意見を言う場も、反映される場もありません。そういう仕組み(法律)になっています。
【河川砂防技術基準】
川のそばに暮らす住民の意見を聞かないで、何で決めているかというと、あながち「決まり」がないわけでなく、「河川砂防技術基準」なるにものに基づいて、国土交通省はやっています。彼らは一定のルールに基づいてやっているという言い訳が立つわけです。
では、この基準(ルール)を決めるとき、住民・国民の意見を聞いているかと言えば、これも裁量です。このような基準(ルール)を「行政立法」と言います。
行政手続法の改正に求められているのは、このような「行政立法」(行政現在は一方的に裁量だけで決めているルール)に、住民の意見を取り入れられるようにすることです。
ところで、一つの笑い話ですが、この、これまで散々ダムを作ってきた根拠となっている「河川砂防技術基準」には、昨年度末(今年3月末)まで、(案)がついていました。昭和30年代からずっとです。確定しないまま「河川砂防技術基準(案)」の状態で使われてきました。「常に改定をしながら、最善の基準を採用してきた」と担当者は言いますが、それを何故、今、とりはずそうとしているのか、イマイチ聞いてもわかりません。
興味のある方は、国土交通省河川局河川計画課河川情報対策室のリリースをご覧ください。
【日米ダム事業決定権比較】
ちなみに、比較のために持ち出すと、「ダム建設は終わった」とされるアメリカでは、法律の中に個別のダム事業名を書き込んで推進派議員が法案を議会に提出し、多数決で建設するか否かを決めるという仕組みが(他の仕組みもあるかも)あります。
そこで、ダムに反対する住民・環境保護団体・ロビー団体は、一丸となって、各州の個々の議員をめがけて活発なロビー活動を展開します。こうして、賛否に一人の国民が持つ「政治力」として影響力を行使できるし、その結果が目に見えるわけです。
こうして止まっているのが、例えばカリフォルニア州のオーバンダムです(99年に現地に行きました)。しばらく目を離していましたが、2001年にもまだドンパチやっていたのですね。「無党派予算ウォッチドッグ」と自称する「Taxpayers for Common Sense」というNPO(ロビー活動や選挙活動ができる501(c)(4)という種類のNPOです)がそのドンパチを伝えています。
【というわけで】
「行政手続法」の改正によって、最低でも、「河川砂防技術基準」を決めるとき(行政立法)に住民や自治体が異論を差し挟み、反映されるようになれば(あるいは、「河川砂防技術基準」以外のものを重視するという仕組みに変わることでもよいのですが)、ムダなダムに血税を費やされることが避けられるというわけです。
【八ッ場ダムの場合】
先日お伝えした八ッ場ダムも同様に「過大な想定」がもとになった計画です。
今日は、一都5県(東京、埼玉、千葉、群馬、栃木、茨城)で合計5000人以上により、一斉住民監査請求が行われています。
★60日以内に、各都県の監査委員が監査を行って、知事や水道事業管理者に勧告を行うか否かを決定しますが、監査委員に、この「過大な想定」のもととなっている根拠の「河川砂防技術基準」の話まで、理解できるのだろうかというところが問題です。
地方自治法に基づく「住民監査請求」という仕組みの限界や問題点まで言い出すと、キリがないので、この辺でやめておきます。以下、私も取材にいく予定の報告集会です。
【八ッ場ダムをストップさせよう 東京集会】
日時: 2004年9月12日(日) 13時30分~16時30分
会場:新宿住友ホール(新宿住友ビル 地下1階)
新宿区西新宿2-6-1TEL:03-3344-6961
講演:田中康夫(長野県知事) 「脱ダム社会への道」
報告:板井 優(川辺川利水訴訟弁護団団長)
「川辺川ダム利水裁判の勝利」
嶋津暉之(水源開発問題全国連絡会)
「八ツ場ダムは何が問題か」
各都県の市民から
「八ツ場ダムの住民監査請求の報告」
資料代: 1,000円
主催: 八ツ場ダムをストップさせる市民連絡会
お問い合せ;
八ツ場ダムをストップさせる東京の会Tel: 042-467-2861田中清子/埼玉の会Tel: 048-825-3291藤永知子/千葉の会Tel: 043-486-1363中村春子/群馬の会Tel: 027-224-8567 鈴木庸 /首都圏のダム問題を考える市民と議員の会Tel: 03-5211-5429堀田・柴田
以上
まさのあつこ atsukom@mrj.biglobe.ne.jp
2004年09月01日 キジと目が合う (カテゴリー: 八ッ場(やんば)ダム )
脱原発社会をめざして人生を大疾走された高木仁三郎さんが遺稿として残された『鳥たちの舞うとき』(高木仁三郎著、工作舎)を、「八ッ場ダムを考える会」の渡邊洋子さんに勧められて、読みました。
作品の舞台が「八ッ場ダム」だと言うのです。
「鳥」が出てくるからというシャレではないのですが、読んで、鳥肌が立ちました。
実は、先日(8月24日午後)、八ッ場(やんば)ダムの水没予定地付近を歩いていた時に、キジと遭遇したことを思い出したのです。野生のキジです。初めて、野生のキジをみました。雑木林から道(土の道)に(向こうが)飛び出した出会い頭に目が合ってしまいました。
しまった、とばかり、彼はドタバタとコミカルに(見えました)慌てて、地面を駆けて林の中に姿を消しました。
高木さんのご本を読んだのは、その後だったのですが、目が合ってしまったキジを思い出して、それで、鳥肌が立ちました。
まるでキジからメッセージを託されてしまったように思ってしまうじゃないですか(笑)。
八ッ場ダム止めてって。今も、横目で振り返った顔がちらつきます。
みなさんにも、この本、お勧めします。
次に鳥と目が合ったとき、なんか、鳥肌、立ちますよ(笑)。
それにしても、キジって飛ぶんでしょうか。
ドタドタと走った様子はとても重そうで(ちょっと美味しそう)、君は『鳥たちの舞うとき』に出てくる鳥たちのように舞うこともできない。駆け回る生息地を守らないと、君は、死んでしまうね、と本を読みながら思ったことでした。
【必見!】
さて、この本の出版社は、なんとこれを機に、「八ッ場ダム住民監査請求」の応援を開始。「緊急情報」として、この作品の舞台が八ッ場ダムだったこと、そして、高木仁三郎さんのパートナー、久仁子さんが8月17日に現地へ行かれた時の心のこもったレポートを掲載しています。
【八ッ場ダム住民監査請求とは?】
2004年9月10日(金)、やんばダムの受益地域である首都圏(東京、千葉、埼玉、群馬、栃木、茨城)で一斉に、各知事に対して負担金の差し止めを求める「住民監査請求」を申し立てます(地方自治法第242条参照のこと)。オンブズマンが脱ダム戦争に突入というわけです。どなたも賛同・参加できます。我こそはと思う方は、八ッ場ダム住民監査請求関連ダウンロードページで、請求人になるための署名用紙もダウンロードできます。
お問い合せは、以下のいずれかに。(八ツ場ダムをストップさせる東京の会Tel: 042-467-2861田中清子/埼玉の会Tel: 048-825-3291藤永知子/千葉の会Tel: 043-486-1363中村春子/群馬の会Tel: 027-224-8567 鈴木庸 /首都圏のダム問題を考える市民と議員の会Tel: 03-5211-5429堀田・柴田)
【なぜ、監査請求?】
やんばダムの問題点が、うまく整理されているのはここ。
やんばダムを建設する側のホームページはここ。
【オマケ】
風を起こす運動には勢いがあります。応援「ひやむぎ」だってできています。群馬名産の「小麦」と「桑」で作られたひやむぎ。美味しそうです。
【高木仁三郎さん】
科学者として、そして原子力資料情報室代表として、存分に社会貢献をしてなお、遺稿でダムを提起した高木仁三郎さん。もっとしっかりやらんか、と言われてしまったような気がします。
