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ViVa! ムービーレビュー
ミラーを拭く男

©2003「ミラーを拭く男」パートナーズ小さな交通事故を起こしてしまった定年間近の男が、会社を辞めて自転車で全国のカーブミラーを拭いてまわる旅に出る……。定年前後の心境や、家族・夫婦の絆を描く。
定年間近に交通事故を起こしてしまった皆川勤。うつ状態で何もかも妻の紀子に任せきりの勤に、息子・芳郎と娘・真由美は冷ややかだ。勤は勝手に会社を辞めて、事故現場のカーブミラーをはじめ、市内にあるミラーを磨き始める。そんな夫に気付き、心配しつつもあきれる紀子。その後、勤は家族の前から黙って姿を消す。なんと、自転車で北海道から全国まで、ミラーを拭いてまわる旅に出たのだ…。

©2003「ミラーを拭く男」パートナーズ 全国にはいったい何本のカーブミラーがあるのだろう。それを1本1本、拭いてまわろうとは…。現実的なことを考えたら、誰がそんな行動をとるだろうか。勤は会社を辞めて、家を出て、憑かれたように自転車を走らせミラーを拭いてまわる。そんな勤の行為を何か無茶していて面白いと取材を始めるテレビ。やがて手伝いを申し出る男がテレビで呼びかけ、全国でミラー拭きが大ブームに。マスコミで取り上げると一過的にブームになる世相を皮肉っているのか、滑稽だ。
一方で、勤は取材されようがされまいが、ただ黙々とミラーを拭く。脚立に乗り、洗剤をつけた1枚目の雑巾でまず磨き、次に2枚目の雑巾でから拭きする。1本1本その作業を繰り返す。汚れていたミラーが曇り一つなく光るのを見ると清々しい気持ちになるのかもしれないが、果てしない数のミラーを拭きながら、何を考えているのだろう。ミラーを磨くことで、事故後の気持ちの整理をつけているのか、交通安全を訴えるパフォーマンスか、それとも?
勤は誰にもミラーを拭く理由を語らない。
勤の行動が理解できずに困惑し、ばらばらになりかけた家族だが、最後に妻は夫を理解したのだろう。ラストシーンで、並んで走る2台の自転車が、夫婦の絆を感じさせる。
主役を演じるのは緒形拳。約2時間の作品中、ほとんど言葉を発せず、表情と行動だけで好演。妻の紀子を栗原小巻が、息子を辺土名一茶(DA
PUMP)、娘を国仲涼子が演じている。
本作は2002年のサンダンス・NHK国際映像作家賞受賞作品の映画化。脚本を書き自らメガホンをとった梶田征則監督は、本作が劇場用長編映画としてはデビュー作。還暦目前の父が車の接触事故を起こしうつ病になった実体験を、ミラーを拭く男というアイディアに盛り込んだという。定年前後の心境やうつ病など、現代社会が抱えるテーマをユーモアを交えて取り上げながら、家族や夫婦の絆に目を向けさせてくれる作品である。(Saiko/ViVa!コンテンツサポーター)
