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ムービーレビュー

ボランティアや市民活動に関する映画やビデオ作品などの映像とともに、自主上映情報なども紹介します。

酔画仙(すいがせん)

貧民街で殴られていた物乞いの少年を、通りがかった学者が助ける。殴られた理由を描いたスンオプの絵を見たキムは、彼の画才を見抜き・・・。19世紀後半の朝鮮王朝時代末期、貧民に生まれ筆一本で宮廷画家にまでのぼりつめたチャン・スンオプの生涯を描く。

■監督:イム・グォンテク(『風の丘を超えて~西便制』『春香伝』)
■出演:チェ・ミンシク(『パイラン』『オールド・ボーイ』)、アン・ソンギ(『祝祭』『眠る男』)、ソン・イェジン(『ラブストーリー』)、ユ・ホジョン、キム・ヨジン、ハン・ミョング、チョン・テウ、チェ・ジョンソン、他
■韓国/2002年/119分/配給:エスパース・サロウ
■12月18日より岩波ホール(東京)にて公開、ほか全国順次公開
■第55回(2002)カンヌ国際映画祭監督賞受賞、第23回(2002)青龍賞最優秀作品賞監督賞、撮影賞、ほか
作品公式HP

貧民街で殴られていた物乞いの少年チャン・スンオプを、通りがかった学者キム・ビョンムンが助ける。殴られた理由を描いたスンオプの絵を見たキムは、彼の画才を見抜き・・・。


19世紀後半、腐敗政治や外国の侵入に揺れた朝鮮王朝末期の激動の時代を生きた、実在の天才画家、張承業(チャン・スンオプ 雅号:吾園 1843~1897)の生涯を描いた作品。身分の低い家系に生まれ孤児同様に育ち、やがて絵の才能を認められて宮廷画家にまでのぼりつめた男。

酒と女性なしには筆をとらなかったといわれるが、その神業のような筆の運びは人々を感嘆させる作品を数多く生み出した。伝統的画風にこだわらず、自由な作風で、韓国近代絵画の土台を築き上げ、申潤福(シン・ユンボク 雅号:恵園)、金弘道(キム・ホンド 雅号:檀園)とともに“朝鮮時代三大画家”と称される。54歳で姿を消し、最期は仙人になったとも言い伝えられている。

本作は、チャン・スンオプにまつわるわずかな記録を豊かな創造力で膨らまして味付けし、その一生を力強く描き上げる。スンオプの絵の才能と型にはまらない性格を表すいくつもの印象的なエピソードが綴られる。若い頃、住み込みで働いていた通訳官の家で、貴重な画帳を夜中にこっそり盗み見て、自分の部屋に戻り本物同様に再現する。その驚くべき観察力と記憶力。

また、通訳官の妹に淡い恋心を抱くも、彼女は貴族に嫁いでいく。淋しい片想いの気持ちが表れているような、梅の木にとまるつがいの雀と、その画の端に独りぼっちの雀の絵。

画家として名が知られはじめた頃、没落貴族の妓生(娼妓)メヒャンの笙演奏に魅了される。初めて出会ったその夜に彼が着物に描いた梅花の絵を一生涯大切にもち、彼のよき理解者となったメヒャン。しかし、当時迫害を受けていたカトリック信者であった彼女は行方をくらまし、二人は再会と別れをくり返す。

自棄酒に泥酔して指に墨をつけて描きなぐった、酒瓶を抱えて拳を振り上げる猿の絵に、スンオプはみずからの姿をみて、流浪の旅に出る。
  やがて彼の作品を所有していなければ出世できないとまで言われるほど有名になり、誰もが彼の絵を所望するが彼自身は満たされない。人々がもったいないと止めても、納得できない作品はずたずたにやぶりすてる。宮廷画家として召されても、宮廷から逃げだしてしまう。

もって生まれた才能もあるが、名声に甘んじることなく、今の作品を乗り越えて常に新しいものを目指していったからこそ、すばらしい作品を生み出していくことができたのだろう。
  憑かれたように筆をとる彼の横顔。全身の気を集中させ、握る筆がすっと美しい絵を生み出していく様。チェ・ミンシクが圧倒的な存在感で主人公を熱演している。

しかし、彼自身は自分の作品に真に満足することがあったのだろうか。本作品中の映像は、スンオプが描く山水画と同様に美しく、華やかであると同時に、どこか荒涼としていて淋しげでもあり、スンオプの心のうちを想像させる。(Saiko/ViVa!コンテンツサポーター

投稿者: Saiko  2004年11月01日