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(C)オールアウト難病に向き合って力強く生きた少女の実話を映画化。自由に動かせなくなっていく手で、亜也は日記を書き続ける・・・。
■監督:岡村 力/原作:木藤亜也 著『1リットルの涙(難病と闘い続ける少女亜也の日記)』(エフエー出版、1986年)
■出演:大西麻恵、かとうかずこ、浜田光夫、芦川よしみ、他
■2004年/98分/日本/製作:株式会社オールアウト
■配給:1リットルの涙上映委員会
■テアトル池袋、浅草・KURAWOODほか全国各地で上映中(2005年2月現在)、全国順次公開予定、上映情報他詳細はこちらで
15歳の木藤亜也は、通学途中に転んで下あごを強く打ち、二針も縫う怪我をする。最近歩き方がおかしいと、亜也を心配する母に連れて行かれた病院で、脊髄小脳変性症だと診断される。「文章にすると考えがはっきりする」と、主治医に勧められて、亜也は日記を付け始める。病に負けずがんばって生きる亜也だが、確実に病気は進行していき…。
本作品は実話で、モデルとなったのは、中学3年生の時に脊髄小脳変性症を発病し、1988年に25歳の若さで一生を閉じた木藤亜也さん。彼女が日々の想いを綴った日記をまとめた『1リットルの涙』と、その母・潮香さんの手記『いのちのハードル』(ともにエフエー出版)を原作に映画化したもの。進行していく病気に苦しみ葛藤しながらも、前向きに明るく生きようとする少女の姿を描いている。
脊髄小脳変性症とは、運動を円滑に行い身体の平衡を保つのに必要な、小脳や脳幹から脊髄にかけての神経細胞が変性していく(=壊されていく)病気。病気はゆっくりと進行し、すぐに死に至るわけではないが、発症の原因は不明で、今の医学では有効な治療法はない。
(C)オールアウト発症するまでは普通に生きていた少女が、突然治る見込みのない病気だと宣告される。常に死を意識して生きねばならない。はじめは歩行がふらつく程度だが、次第に体を思うように動かせなくなり、一人では何もできなくなっていく。話す言葉も、不明瞭で舌足らずのような発音しかできなくなる。手足は不自然にねじれ、歩けなくなり、最後には寝たきり状態になる。
亜也はどんな想いで、病気であることを受け止め、病と向き合っていったのか――映画初出演の大西麻恵が、主人公・亜也の精神的な葛藤も身体的な痛みも見事に表現している。この役者さん自身が実際に病気を患ってしまったのではと思うくらい、表情もしぐさも真に迫った演技である。大西は、亜也さんの日記を読み込み、亜也さんの主治医であった山本紘子医師に話を聞き、養護学校で授業を受けたり、ビデオで脊髄小脳変性症患者の動きや話し方などを研究したりして、役にのぞんだという。
タイトルの『1リットルの涙』は、亜也さんが日記に書いていた言葉である。それまで通っていた高校から養護学校へ転校せざるを得なくなった時に、彼女はこう記した。
「わたしは東高を去ります。そして、身障者という重い荷物をひとりで背負って生きてゆきます。なんてかっこいいことが言えるようになるには、少なくとも1リットルの涙が必要だったし、これからももっといるとおもいます。耐えておくれ、わたしの涙腺よ!」と。
健常者の同級生らと過ごす高校生活は、亜也にとって楽なものではなく、悔しい思いをすることもあるが、大好きな友だちもいて去りがたいものであるのに・・・。
(C)オールアウト亜也の心中を思うと、観ているほうも涙があふれてくるが、この物語は決して悲しいだけの作品ではない。亜也の明るさやひたむきさ、一生懸命に生きようとする姿は清々しく、勇気を与えてくれる。
頭の中を「輪切り」にして見る脳のCT検査をした時のこと、CTの機械が頭にかぶさったのは「宇宙船の中にいるみたいで面白かった」と、亜也は母に話す。病院の屋上で入院中の洗濯物を干す時に、母と妹に、医師や看護師さんらに注目されて「アイドルになった気分」と冗談を言う亜也。心配させまいとしてか、つとめて明るくふるまう亜也の姿がいとおしい。一生懸命リハビリをする亜也の姿は、他の患者たちの励みにもなっていく。
また、亜也は入院中に、読書の好きな亜也に本の話をしてくれ、励ましてくれる研修医に淡い恋心を抱く。亜也が主治医の山本医師に「先生…私…、結婚できる?」と聞くシーンの切なさ。亜也が「私、どういう病気ですか?」と尋ねた時と同様に、山本医師はその場限りの気休めではなく、正直に亜也に答える。亜也は医師の答えに対していずれも「本当のことを教えてくれて、ありがとう」と言うのだ。どんなにか辛く悔しいだろうに、亜也はなんと強い人なのだろうと思う。
「不幸じゃない、不便なだけ」「自分で決めたら、しまったと思ってもやり直せる」「人の役にたつことをしたい」「胸に手をあててみる。どきっと音がする。うれしいな、私は生きている」。こんなにも一生懸命に生きている彼女の姿を見て、観客は自分も前向きに強く生きようという気持ちを新たにすることだろう。(Saiko/ViVa!コンテンツサポーター、2005年2月)
投稿者: Saiko 2005年02月12日