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ムービーレビュー

ボランティアや市民活動に関する映画やビデオ作品などの映像とともに、自主上映情報なども紹介します。

村の写真集

写真を撮りに山道を歩く父子(C)2004「村の写真集」製作委員会美しい自然が豊かに残る徳島県の山間部。ダムに沈む予定の村を舞台に、父と息子の葛藤、絆を描く。
 
 

■監督・脚本:三原光尋/写真監修:立木義浩/音楽:小椋佳(主題歌「村里へ」)
■出演:藤竜也、海東健、宮地真緒、桜むつこ、大杉漣、原田知世、ぺース・ウーほか
■2004年/日本/111分/配給:ビデオプランニング=ワコー/宣伝:グアパ・グアポ
■2005年4月23日~東京都写真美術館ホール、5月7日~梅田OS劇場C.A.P、神戸OS・シネフェニックスほか全国順次公開
■詳細はオフィシャルサイト


徳島の山村で古びた写真館を営む研一。彼の家族の想いは、すれ違っていた。妻はすでに亡く、中学生の次女・香夏が研一を支えてくれているが、長女・紀子は数年前に家を出たまま消息不明。長男・孝も父に反発して、東京で見習いカメラマンとして修行中。
ところがダムに沈む予定の村の写真集を、研一と孝とでつくることになったことから、親子の関係に変化が生まれてゆく。そんなある日、大変なことになって・・・。

たたずむ父と息子(C)2004「村の写真集」製作委員会
 
写真を撮りに山道を歩く父・研一の出で立ちは、帽子をかぶり背広にネクタイ、背中には旧式の大型カメラを入れたリュックサック。何もそんな格好で山道を歩かなくてもと、少し滑稽なのだが、職人気質の昔ながらの写真館主という雰囲気がでている。撮り終えると「ありがとうございました」と言って深々とおじぎをするところも、その人柄をよく表わす。
そんな父親を演じた藤竜也がいい味を出しているのはもちろんだが、葛藤のすえ成長してゆく孝役の海東健がなかなか好演している。

台湾人の恋人に後押しされていやいや徳島に戻ってきた孝。父とは会話がなく、故郷にも愛着を感じていない。その気持ちが次第に変化してゆくのが、孝の表情や行動に表れる。
昔の同級生たちと飲んで口論になった翌朝、川で子どもたちと魚釣りをして遊び、村に帰ってきて初めて自分からカメラを向けたいと思うものができた時の孝の表情。村の悪口をいうよそ者に、思わずなぐりかかってしまう。そして、はじめは父の後ろを何歩も離れて歩いていた孝が、次第にその距離を縮めて父のそばを歩き、最後には汗びっしょりになって父を背負って歩く。こうしたいくつものシーンが印象に残る。

子どもたちの写真を撮る息子(C)2004「村の写真集」製作委員会孝からも観客からも頑固親父としか思えない研一。だがやがて、父の姿から、人の気持ちを写真に映し出すのには何が大切なのかを、孝は学んでゆく。同様に観客も、人に向き合う姿勢とはどういうものかを、あらためて気づかされるのではないか。
川沿いの山の斜面に家々や畑が立ち並び、幾重にも重なる山々の上には雲が流れてゆく。美しい景色の中を、観る者も父子とともに歩いて回っているような気分になる。

写真は徳島県出身の写真家・立木義浩が監修。分校に通う腕白な小学生たち、30名もの大家族、仲良く農作業する夫婦、牛も家族の一員の一家、山奥に一人暮らす90過ぎのおばあさん・・・。エンドロールで次々と映し出される村人たちの写真に重なって、小椋佳が歌う主題歌「村里へ」のどこか懐かしいメロディが余韻に残る。
(Saiko/ViVa!コンテンツサポーター、2005年4月)

投稿者: Saiko  2005年04月21日