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世界で初めて原爆が投下されてからすでに57年。「ヒバクシャ」はこの57年をどう生きてきたのだろうか。原爆の体験はこの間、日本や世界の人々と共有されてきただろうか?ヒバクシャとはどのような存在なのだろうか?広島で被爆した85才の医師、肥田舜太郎氏の活動を通して、人類史上稀に見る悲惨な体験から日本のヒバクシャが獲得した、アイデンティティ、そしてその魂のメッセージを探る。(オフィシャルサイトより抜粋)。
■監督:鎌仲ひとみ、プロデューサー:小泉修吉、川井田博幸、撮影:岩田まき子
■出演:ラシャ・アッバース(14歳)、ローラ・ベイリー(79歳)、テリー・ベイリー(52歳)、ムスタファ(10歳)、ムスタファの父(51歳)、肥田舜太郎(85歳)、トム・ベイリー(56歳)、ケイシー・ルード(52歳)、ジュワード・アル・アリ(57歳)、池田早苗(69歳)
■16mmフィルム/116分/カラー
■製作:グループ現代
■写真協力:森住卓
■上映情報(オフィシャルサイト)
2004年4月、18歳の高校を卒業したばかりの青年が、イラクの劣化ウラン問題を世の中に訴えたいと現地に取材に赴いた。そして、起こった人質事件。世の中の多くの人にとっては、「イラク」も「劣化ウラン」も遠いところのことだった。日常生活になじみのない言葉が散りばめられた出来事に、まるで八つ当たりでもされたかのような「自己責任」という法外な文言が、さらに連なった。
彼らの救出のために連日、全力を尽くした一人が「ヒバクシャ・世界の終わりに」の監督・鎌仲ひとみさんである。解放が決まった翌々日に見た映画は、青年が強く心を動かされた「劣化ウラン」によってヒバクシャとなった人たちのことがよくわかった。
鎌仲さんは、1998年イラクを初めて訪れた。そこで出会ったのは、白血病に苦しむ少女。当初、それが劣化ウランの影響での発病とはわからず、経済制裁によって治療薬がないことに大きな怒りをもったという。しかし、その病が、広島・長崎で投下直後に放射能の高い地域を歩き回っていたことで被爆をした原爆被災者と同じものであると気がつく。1991年にアメリカが湾岸戦争で劣化ウラン弾を使い始めて以来、アメリカ軍が戦場とした地域には「ヒバクシャ」がいることがわかったのである。
原子力発電所で生み出され続けてしまう劣化ウラン。アメリカでは、武器に転用できることがわかり劣化ウラン弾が大量に生産された。2003年のイラク戦争で、劣化ウラン弾は、地中貫通型爆弾も含めて総計2300トンもの量が使用されたという。放射性物質をばらまく爆弾が、バグダットやバスラなど人口密集地で大量に使われたのである。イラクでは、91年以降、小児白血病が7倍にも増加。生まれてくる子供の先天性奇形も多発した。女性は体内に放射能を取り込みやすく発病率が高い。
広島で間接被爆をして、被爆医療を研究し続けている85歳の肥田医師が登場する。被爆後すぐには症状が出ないヒバクシャたちは、因果関係を立証することが難しい。ゆえに、ヒバクシャと認定されることも少なく、悩みも深い。チェルノブイル事故が起こった10年後の日本。北海道、東北で乳がん患者が激増したことを肥田医師はグラフにして見せる。
鎌仲監督は肥田医師と共に、アメリカ・ワシントン州の日本に落とされた原爆も作ったハンフォード核施設周辺で、放射性物質を被爆した農民たちを訪れる。実験のように放射物質が大気に放出されていた時期があり、ある地域では、ほぼ全員といっていいほどの人たちがガンになった。汚染が続くはずの農地で作られているジャガイモはフライドポテト用として日本に輸出されている。もちろんアメリカ政府はその因果関係を認めることはなく、汚染はないことになっている。
原爆を落とし、劣化ウランを造り続けるアメリカに、ヒバクシャがいること。湾岸戦争帰還兵に健康障害が大きいことも周知の事実だ。さらにいえば、戦場だけでなく、核実験現場なども含め、「核」があるところにはヒバクシャがいる、と鎌仲さんはいう。
彼女が歩く、イラク、日本、アメリカ、ヨーロッパ・・・。いつの間にか、遠いところにいると思えた人たちが同じ時代軸の上で、ぐるりつながっていることを、わたしたちは受け止める。汚染が半減するためにかかる年月は45億年・・・。
空に国境があるはずもなく、人の心にも国境はない。(高橋ユリカ)
■自主上映グループを募集中
「ヒバクシャ・世界の終わりに」の上映活動は、全国各地における自主上映会によって展開しています。グループ現代では、自主上映会を主催してくれる500の上映協力者を募集しています。基本的に16ミリフィルムでの貸出で、フィルム貸出料金は1日12万円。興味のある人はグループ現代・ヒバクシャ担当(E-mail: distribution@g-gendai.co.jp)まで。
貸し出し条件など詳細
関連サイト
・予告編(OurPlanet-TV)
・劣化ウランについて