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市民活動スクランブル

このコーナーでは、さまざまな分野で活躍するNGO・NPOなどの 市民団体・非営利団体の活動やイベント、最新動向をお伝えするコーナーです。 専門家、ジャーナリスト・ライターによるレポートや、団体・活動家自身による 報告をもとにお届けします(現在データ移行中です。全コンテンツはこちらから)。

2003年04月12日

パゴダの国の国際協力――AMDAミャンマーの保健医療援助・2 

小林哲也さんに聞く パゴダの国の国際協力
――AMDAミャンマーの保健医療援助・2 

<2000年9月~2002年12月までミャンマーに滞在>

設置したソーラーパネル
設置したソーラーパネル
 国際協力NGOのAMDA(特定非営利活動法人アムダ、本部=岡山県)ミャンマー駐在代表として、2000年9月~2002年12月まで同国に赴任していた小林哲也さんによるミャンマーの医療・保健衛生報告の第2回は、環境NGOでの活動が思わぬ実を結んだプロジェクトや、国際援助が抱える課題などについての話を聞く。

■太陽光エネルギーで医療機器を運転!

 滞在中に始めたプロジェクトに、パコック総合病院の小児病棟支援があります。同市はメッティーラと同じく中部乾燥地帯に位置する人口30万弱の町で、やはり社会インフラの整備が不十分です。県の総合病院には小児病棟もありましたが、ベッドが並んでいるだけで治療用の医療機器はほとんどなく、病気の子ども達に十分な医療サービスを提供できていませんでした。そこでAMDAの支援で医療機器を設置することになったのですが、パコック市は電力事情が悪いため、機器だけを置いてもそのままでは使えません。発電機を導入する方法もありますが、燃料代が高いので、持続的に動かせる保証がないのです。

 さてどうしようかという時、環境NGOで活動していた頃目にした太陽光発電のことを思い出しました。医療機器とともにソーラーパネルを設置して、電源を自前で確保するのです。乾燥地帯で降水量の少ないパコック市は、逆に言えば太陽の光が常に降り注いでいます。実際、過去の気象データを調べたところ、パコック市の晴天率は全国でもトップクラスでした。これは太陽光発電には絶好の条件であり、使わない手はありません。早速「自然エネルギー&母子保健」プロジェクトとして形にしたところ、日本大使館を通じて外務省草の根無償資金を頂けることになり、2002年8月に稼動開始。順調に電力が供給されています。

 ミャンマーでは現在電力が大幅に不足していますが、自然破壊や環境汚染の問題から、先進国が途上国における大規模ダムや火力発電プラントの建設を支援する事は年々、難しくなっています。そうした中、持続可能なエネルギーを地域レベルで供給できる自然エネルギーは、コミュニティの自立支援の観点からも有効です。今回、自分の過去の経験を活かして自然エネルギーと保健医療の分野を組み合わせたプロジェクトを実施できたことはとても嬉しかったですね。


■政府や企業の対応に課題も

 一方で、乾燥しているミャンマーは火事が多く、いったん燃え出すと一つの村が全焼してしまうことも珍しくありません。しかし消防車もほとんどないため、機能していなかった村の消防団員達に対して防災訓練を行い、また村に消火ポンプやホースなどを設置して危機管理体制を高めるプロジェクトも行いました。こうした活動は、いざ火事にならないと効果を示しにくいため、プロジェクトの実効性を証明する点で不安でした。しかし1年後に抜き打ちで村を訪問してテストしたところ、ものの2分できちんと消火活動を出来るようになっていて、訓練の成果がすぐ分かりました。夜の見まわりも徹底していたし、AMDAが青年団に防災指導をすると、その人たちが他の人にノウハウを指導をするなどの広がりもあって大変感心しました。

 こうしたプロジェクトを行うための資金は、日本大使館(外務省)やJICAなどからの援助の他、民間の財団やAMDA会員の方々からの寄付によって賄われています。ミャンマー政府からの出資金はありません。政府、民間を問わず一般的に日本の場合、ソーラーパネルや病院、井戸など、目に見えるものは評価されやすいのですが、マイクロ・クレジットや防災訓練など、すぐに成果が出ない長期的な活動はなかなか評価されにいため、資金を調達しにくいという課題を抱えています。ただ日本政府は近年、ハード面に偏りがちな援助資金をソフト面に徐々にシフトしつつあり、この点は評価出来ると思います。またAMDA自身も、寄付などの自己資金を増やす努力が必要でしょう。

 日本政府との間での情報の共有不足も課題だと思います。JICAとNGOの共同事業のスキームなどについてはそうでもないのですが、全体的に見て日本政府による支援活動の情報がなかなか入ってこないため、「事前に連絡をしてくれれば多少なりとも連携、協力できたのに・・・」といった場面が何回かありました。予算的にも能力的にも、NGOにできることは限られているので、リソースを少しでも有効に使うために、政府とNGOが可能な限り協働出来るシステム作りを目指すべきではないでしょうか。これは商社など企業も同様で、NGOやその活動についてほとんど知らない人がまだまだ少なくありません。それでも日本人会の協力を得て活動の報告会などを続けてきたことで、ずいぶん理解が進んできました。


■機会を提供する活動が大切

「地球が舞台」表紙 駐在を通して実感したのは、国際協力の現場では専門的な知識やスキルももちろん大切ですが、一つ一つの活動のコーディネートが非常に重要だということです。現場では個々の問題がからみ合い、資金や人材にも限りがあるため、そこにあるもので一つ一つの問題を何とか解決していかなければなりません。そういう意味では企業経験はもちろん、環境NGOや議員の政策秘書の仕事を通して得た、「何か問題が起こっても、どうにかして何とか解決する」という数々の経験はとても役立ちました。

 また、NGOの数がもともと少ないミャンマーでは、村人たちはいわゆる「援助慣れ」しておらず、AMDAが行うプロジェクトに対し、村人たちが自ら積極的に関わってくれる姿勢があります。マイクロ・クレジットや防災訓練のような、自立のために機会を提供する活動の大切さを痛感しました。
 これから援助の場で働く人へのアドバイスを付け加えれば、私の仕事はプロジェクト運営のマネジメントが中心でした。こうしたコーディネート・ロジスティシャンに特化した仕事の場合、今後はますます高い専門性が要求されるようになると思います。それ以外のケースでは、コーディネーターはもっと現場に入って実際の活動に携わるようになると思います。その場合は公衆衛生学、参加型開発、女性学などなど、何らかの専門分野を持っていると、現場での仕事に大いに役立つと思います。

 (このお話は、「NETS=環境NPOネットワーク」 2003年2月22日勉強会「ミャンマーでの2年を振り返る」から、本人の了解を得て書き起こしたものです。また、小林さんのミャンマーでの活動の様子は、「地球が舞台-国際NGO最前線からの活動報告-」(津守滋編著、勁草書房刊)の「ミャンマー保健医療支援活動:子どもたちに笑顔と健康を」に掲載されています。

小林哲也さんのプロフィール
小林哲也さん
小林哲也さん
 大学卒業後、民間企業を経て、環境NGOの気候フォーラム(現気候ネットワーク)の事務局スタッフに。COP3終了後、環境政策立案や立法活動に実際に携わるポジションで仕事がしたいと考え、参議院議員福山哲郎氏(民主党)の政策秘書に。温暖化防止や野生生物保護、ダイオキシン対策、PRTR、フロン、使用済核燃料、景観保全、ODAと環境、自然エネルギー、廃棄物・循環型社会形成など多分野に携わる。その後、より広い視点で世界を見たいとの思いからAMDA(特定非営利活動法人)に参加。2000年9月からミャンマー駐在代表として赴任し、保健医療、保健衛生支援のコーディネート・、マネジメントに従事。2002年12月に帰国し、福山事務所政策秘書に復帰。現在に至る。

関連サイト
特定非営利活動法人アムダ(AMDA)

「地球が舞台」(勁草書房ホームページ)

JICA(国際協力事業団)

参議院議員 福山哲郎


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投稿者: ViVa! 編集部  2003年04月12日 16時46分