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市民活動スクランブル

このコーナーでは、さまざまな分野で活躍するNGO・NPOなどの 市民団体・非営利団体の活動やイベント、最新動向をお伝えするコーナーです。 専門家、ジャーナリスト・ライターによるレポートや、団体・活動家自身による 報告をもとにお届けします(現在データ移行中です。全コンテンツはこちらから)。

2003年10月08日

ハイデ・ベルクマンさん講演会「ドイツに学ぶ環境教育~エコステーション・フライブルクの実践」に参加して

[ 環境 ]

エコステーション・フライブルクの外観
エコステーション・フライブルクの外観
 2003年10月1日、国際環境NGOのFoE Japanの主催により、武蔵野公会堂で行われた講演会「ドイツに学ぶ環境教育~エコステーション・フライブルクの実践」に参加してきました。

■エコステーション・フライブルク誕生の背景と現状

 「FoE」は、世界70ヶ国にネットワークを持つ国際環境NGOで、日本では1980年から活動しています。今回お話しを聴いたハイデ・ベルクマンさんが所属する「BUND」(ドイツ環境自然保護連盟)は、その同国のネットワーク団体で、ハイデさんは現在BUNDの職員として「エコステーション・フライブルク」の共同館長を務めています。

 エコステーション・フライブルクは、フライブルク市が所有し、運営をBUNDが行っている体験型環境教育施設で、毎年1万2000名近い来訪者があります。常勤はハイデさんを含めて2名で、あとはパート、研修生、ボランティアなどです。

 エコステーション・フライブルクは、1986年に同市で「ガーデンショー」が行われたのを機に公の予算で作られ、半年の開催で100万人が訪れました。当時のドイツは、チェルノブイリ原発事故による放射能の影響や、大気汚染による森林被害、化学工場によるライン川の汚染、ごみ問題..など、さまざまな環境問題を抱えていて、「環境を良くしよう」という市民の動きが盛んになっていました。「緑の党」ができたのもこの頃です。

 そのため、ドイツは環境省を設置し、各行政にも環境関連部署を設置。環境関連のセンターもたくさん作られたのです。

 エコステーション・フライブルクに使われている建材は全てが自然のもので、壁は土や石を使用し、屋根は草を使って屋上緑化になっています。部屋の中心に八角形のホールがあり、それを取り囲むように小さい部屋がいくつもあるつくりで、北側は土壁を多く、南側は窓ガラスを多くし、できるだけ暖かい雰囲気を出す工夫をしています。また、ドイツで一番日照時間が長いフライブルクの特性を活かして、太陽光発電を導入しています。

 5000㎡ある庭は、できるだけ自然に近い形で保たれていて、都会の中でも鳥や虫、昆虫が来ることや、自然を再現できることを来館者に知ってもらえるようになっています。
また、全植物の名前を記載した花畑や、農薬や合成肥料を使わない野菜畑や堆肥場もあります。特に家庭から出るごみの3~4割は生ごみだと言われているので、家庭ごみを減らす方法として、堆肥作りの話は受け入れられやすいのです。

■「緑の教室」/ごみを減らす努力を実感/太陽光エネルギーのプログラムも

ハイデ・ベルクマンさん
ハイデ・ベルクマンさん
 エコステーション・フライブルクでは、主に幼稚園児や小学生をターゲットとした「緑の教室」というプログラムを行っています。

 幼稚園児や小学生は、好奇心が旺盛で感動できる年齢なので、この時期に自然を身近に感じられるようにしてあげたい、という思いがあるそうです。そのため、ハイデさんは毎年プログラムを作って学校に配る宣伝活動を行っていて、その結果、年200回程度、クラス単位で訪れてくるそうです。

 ドイツでも、フライブルクなどの都会の子どもたちは、日本同様に、テレビやビデオ、ゲームに費やす時間が増え、日常生活はスケジュールが決まっていて忙しく、ファーストフードで食事を済ませる子も多いとか。ハイデさんは、「子どもたちに自然がどんなに美しいかを見せることで、自然を大切にしようという気持ちが生まれてきます。そして、子どもの頃に自然と触れ合った経験はその子のその後の人生や生活を勇気づけてくれるでしょう」と話します。

 そのため、知識ではなく、頭や心、手など五感の全てに語りかけることで、子どもが自ら何かの感覚や感情を抱き、行動を起こせるようにしていきたいと考えていて 学校単位でやって来る子ども達に小さなグループに分かれてもらい、課題を与えて「何かをやってみて→できた」という経験をさせているそうです。

 例えば、池の中の生物を顕微鏡で観察することで、池の中という別の世界を発見したり、人間によっていかに影響を受ける世界があることを学んだり。例えば、有機栽培の食品に、どんな表示がされているかスーパーへ行って見たり、目隠しして、どのハーブにどんな香りがするかをあてるゲームをすることで、神経を研ぎ澄ましたり。まさに、「百聞は一見に如かず」を地でいく体験学習です。

 一方、ごみを減らす運動については、同市の清掃局と協力しています。ごみに関することだけで、毎年60程度のクラスが緑の教室にくるので、子どもたちにまず、どうやってごみを出さないように努力するかを教えます。そして、それでも出てしまうごみを分別した上で、リサイクルしたり、埋没や焼却処分したりしていることを教えています。

 例えば、子どもたちに実際にスーパーへ買い物に行ってもらい、できるだけ包装していない商品を買ってきてもらいます。その後で子どもたちと、昼食のサンドイッチをラップでなく容器に入れることや、ペットボトルでなく水筒を持ってくることで、ごみ減量につながることなどについて話します。

 また、小学校高学年向けに、太陽光エネルギーに関するプログラムが用意されています。太陽の熱だけでどれだけのエネルギーを集められるか実感してもらうために、ソーラー調理器でお湯を沸かしたり、実際に調理をしてもらったりしています。

■次世代もより良い社会を築いていけるために

プログラムの様子
子どもたちの五感に語りかける「緑の教室」
 エコステーションのプログラムに参加した子どもは、フライブルクの小学校の約40%にも上ります。こうした協力関係に一役買っているのが、1990年から続いている、「環境にやさしい低エネルギー学校」キャンペーンです。学校がこのキャンペーンに認可されると、州政府や市町村から助成金をもらえる制度で、実際に、電力や水の消費量を学校全体で協力して20%程度の節約になったところもあるそうです。

 エコステーション側の協力としては、教職員向け研修を行っているほか、学校の校庭に自然を身近に感じられる場所を作りたい時や何かのイベントを行いたい時に、アドバイスしています。

 エコステーションを運営していく上で最大の課題は、財政基盤が脆弱で長期的な計画が立てにくいことです。収入を見ると、市や州政府からの支援が全体の半分以上(約7万ユーロ)で、個別のプロジェクトについてはプロジェクト予算制を取り、そのほかに友の会による財政支援や、セミナー参加費などあります。

 また、スタッフ不足も大きな悩みで、プログラムをこなすことに時間やエネルギーの大半を取られてしまい、なかなか活動の評価にまで至っていないのが現状です。それでもハイデさんは、「良い仕事をすることで世間に認められ、やがて世論の声で変えていけると思っています」と語ります。

 ハイデさんが今の仕事をするようになったきっかけは、もともと自然の中で育ち、外で遊ぶことが好きで関心があったためと、学生時代に教師になる教育と、主に、造園師の勉強をしていたことが影響しているそうです。

 ハイデさんが1987年にリーダー教師として環境教育プログラムを創設した頃は、自然保護や環境保護はまだ新しいテーマで、偏見も多かったそうですが、17年経った今、ハイデさんやスタッフたちは、そうした偏見をなくし、多くのものを変えさせてきたという自負を持っていることが分かります。事実、この10年間でフライブルクのごみの量は半分に減っているそうです。

 ハイデさんは、「次世代もより良い社会を築いていけるために『自然との共生』、『社会正義』、そして『責任ある経済界』などについて考えていきたい」と話してくれました。私は以前、「今私たちが住んでいるこの地球は祖先からの『借り物』なので、次世代によりよい形で引き継いでいかなければならない」という話を聞いたことがあります。その時は「でも、実際にどうやって?」と思いましたが、エコステーション・フライブルクの取り組みを知って、自分たちが実践していくためのヒントをもらったような気がします。

(国田真紀子/NETS=環境NPOネットワーク)

関連サイト
FoE Japan

エコステーション・フライブルク(ドイツ語)

BUND(ドイツ環境自然保護連盟、ドイツ語)

BUND南ライン上流支部(フライブルク地区、日本語)


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投稿者: ViVa! 編集部  2003年10月08日 14時14分