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市民活動スクランブル

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2003年12月07日

農場で精神障害者向けプログラムを実施 デイケアファーム「サンシャイン ファーム」見学記

<2003年11月、カナダ/ブリティッシュ・コロンビア州より>陶芸工房での製作の様子
陶芸工房での製作の様子

 カナダ・ブリティッシュ・コロンビア州の中部、Kelownaにある農場「サンシャイン ファーム」"Sunshine Farm"では、主に精神障害者を対象としたデイケアプログラムを1998年から実施している。

■多様なプログラムで利用者にチャンスを提供

 私は2003年9月からワーキングホリデーでカナダに来ていて、現在(11月)は、とあるオーガニックファームにステイさせてもらっている。そのオーガニックファームの主人ウォルフと、その知人バーサがサンシャイン ファームを見学に行くというので、同行させてもらった。

 バーサの17歳になる息子さんはダウン症で今は学校に通っているが、卒業後はウォルフの農場で働く予定とのこと。また、彼らはデイケアを広く実施したいという希望を持っていることから、既にデイケアを実施しているサンシャイン ファームを見学して話を聞くという。私達が施設に到着したのは午後2時半過ぎ。玄関前にバスが来ていて、ちょうど利用者が帰るところだった。それを見送り、中に入って施設を見学しながら施設長ご夫婦から話を伺った。

 この農場の特徴は、利用者にチャンスを提供すること、利用者が自分に自信を持てるようにという考えで運営されている。そのため、何をするかについての選択の幅が広い。料理、音楽、文学、農作業、木工作業など興味に合わせてプログラムを選ぶことができ、プログラムは、季節性のある農場という特性もあり、大抵は利用当日に決まるという。

木工作業場の棚
木工作業場の棚。道具や塗料がきちんと並んでいる。
 利用時間が終わった14時半を過ぎてから到着したので実際に作業をしているところを見ることができなかったのが残念だったのだが、施設見学だけでもかなり幅広いプログラムを実施することができることがわかった。

 入ってすぐの場所はショールームになっていて、この農場で生産されたものが並べられていた。その脇には台所、奥には温室があっていろいろな植物が置かれていた。2階にも部屋があり、そちらは事務室、音楽レッスン場所、TV、PCスペースなどがある。

 この施設の利用時間は週5日で、毎日午前9時半から午後2時半まで。利用者数は毎週約42人ほどだが、皆が毎日来るわけではなくて、平均すると1日18人ほどということだ。

 スタッフは9人でフルタイムが3人、パートタイムが6人で、全員がFirst Aid(応急手当)かそれと同等の資格を持っており、スタッフ数は1日あたり平均5人、1利用者あたりでは5人の計算になる。これはかなりいい人数比とのことだ。

■ともに作業する大切さを学ぶことに重点

温室の様子
温室ではいろいろな植物が育てられている
 この農場は"Certificated Organic farm"でもあり、春から夏にかけてはデイケアセンターとは別に農作業専門の作業員を雇って生産してマーケットで売ることもしているのだが、それはあくまでも施設とは別の話だという。

 このセンターの利用者によって生産されたものは、例えば料理教室で使ったりするというように主に内部で消費されるということで、売るためにモノをつくるというのではなくて、あくまでも何ができるのか、何をしたいのか、そして、皆と作業することの大切さを学ぶことなどに重点を置いている。そのため、生産物の品質や量は問題にはしていないとのこと。センターは一般に開かれていて店もあるものの、それほど売れるものではなくて、例えばクリスマスシーズンに少し売れたり、ファーマーズマーケット、バザーなどで売る程度とのことだ。

 カナダでの障害者をとりまく環境の変化について施設長に聞いたところ、プログラムを始めた頃から比べてかなり良い方向に向かってきているとの答えで、最大の原因は、親達が変わってきたことであると力説していたのが印象的だった。

製品の数々
サンシャインファームで作られた製品の数々
 自分達でもデイケアセンター運営を考えているウォルフ達に対しては、まず第一に既に何があって、どのくらいの利用人数が想定されて、その場合にはどの程度コストがかかるのかをリスト化することと、州にプロポーザルを出すことがアドバイスされていた。サンシャイン ファームはブリティッシュ・コロンビア州にサポートされており、こういった施設へのサポートは州ごとに異なるものの、ほぼ同等だとか。どこの国でも現状を変えるには、とにかく「声を上げていくこと」が重要であることに変わりはないようだ。ただし、個人を対象としたサポートについてはばらつきがあるとのことだった。

 また、サンシャイン ファームの場合はSocial Workerとの出会いに恵まれた、という話を聞いて、どこでも最終的に重要なのは、やはり人と人とのつながりなんだな、と感じた。

 今回見学したサンシャイン ファームのようにプログラムの多様性があるのはかなりのレアケースのようで、ほとんどは単一のプログラムしか持たずに運営されているとの話をバーサから聞いた。

 私は現地での一般のデイケアセンターを見たことがないので、細かくは比較できなかったが、多様なプログラムを選択できるデイケアファームの考え方には、学ぶべきところが多くあると思った。

(野口朋子/インフォメーション・プランナー)

関連サイト
サンシャイン ファームのHP

カナダ大使館/ブリティッシュ・コロンビア州について


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投稿者: ViVa! 編集部  2003年12月07日 15時34分