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市民活動スクランブル

このコーナーでは、さまざまな分野で活躍するNGO・NPOなどの 市民団体・非営利団体の活動やイベント、最新動向をお伝えするコーナーです。 専門家、ジャーナリスト・ライターによるレポートや、団体・活動家自身による 報告をもとにお届けします(現在データ移行中です。全コンテンツはこちらから)。

2004年04月24日

“Volunteering in Canada!"――カナダ・ボランティア事情 その2 コミュニティラジオ局「Co-op Radio」訪問記

番組放送中
番組放送中
 私は2003年9月からワーキングホリデーでカナダに来ており、現在(2004年3月)は、西海岸の代表的都市バンクーバーに滞在している。先日、ボランティアベースで運営されているコミュニティラジオ局「Co-op Radio」が毎月1回行うボランティア説明会に参加してきたのでその活動内容などを紹介したい。

■週に90以上の番組をボランティアが製作

 今回説明をしてくれたのは、有給スタッフの一人であるリラさん。参加者は私の他に、音楽を演奏したいという男性1人と、メディア関係の勉強を始めるのでラジオ放送を経験したいという男性1人の計3人だったのだが、毎回大抵10名前後の参加者があるということで、彼女は今回の少なさに驚いていた。

 まずは簡単な自己紹介をしてから、リラさんがCo-op Radioの成り立ちや運営の仕組み、プログラム内容などについて説明をしてくれた。

スタジオをセットアップするスタッフ
スタジオをセットアップするスタッフ
 Co-op Radioは、共同出資で運営されているコマーシャル無しのFMラジオ局で、1974年にラジオ放送の許可を得て、1975年に初めての放送を行ってから今日まで30年の歴史を持つ。先住民や移民の人々など社会で軽んじられがちで声を上げにくい人々の声、コミュニティの声を代表することを目的としており、現在は週に90以上の多様な番組が放送されているのだが、それらの番組は全てボランティアによって製作されているというのが最大の特徴である。

 番組は、「社会問題」、「音楽」、「芸術」、「英語以外の言語放送」という4つのカテゴリーに分類され、できるだけ多様性を持たせるようにという観点でプログラムは構成されている。ただし、人種、性別、宗教批判などに関連した番組は認められていない。新規番組の提案も随時受け付けており、その採用率は約50%程度とのことであった。ただ、放送枠には限界があるため、もし空き時間がなければ順番待ちのリストに登録して待つことになるという。

 番組の中には20年以上の歴史を持つものもあるとのことで、例えば、ラテンアメリカの政治、文化、音楽などの情報をスペイン語と英語のバイリンガルで放送している「Ameica Ltatina al Dia」は27年、様々な話題について街頭インタビューを行う「Redeye」は20年の放送歴があるとのこと。長く続いているので安心して聞けるといういい点もあれば、その反面、それだけ続いていると変えるのが難しいという事情もあるようだった。

■Co-op Radioの運営の仕組み

番組放送中の様子
番組放送中の様子
 Co-op Radioの活動はそのほとんどがボランティアによって運営されており、現在活動しているのは約400名。ボランティアになると月に最低2時間の事務所での活動(電話かけ、掃除など)をすることが求められる。

 また、ラジオ番組制作のボランティアをするためにはCo-op Radioのメンバーになって会費を払う必要がある。さらに、それぞれの番組には1時間の放送枠ごとに毎年700CND(1CNDは約80円)の資金を集めることが義務付けられているとのことだが、90%以上のボランティアが何かしらの番組制作に関わっているという。

 ボランティア以外に有給スタッフとしてパートタイムが4人いて、それぞれが「会員管理・渉外」、「ボランティア」、「会計」、「技術」を担当している。他に職を持っているスタッフもいるが、リラさんはここでの仕事に専念しているとのこと。給料は月1,400CND程度なので決して高くはないし、パートタイムといっても仕事は忙しい。また、時間は不規則なので大変なところもあるというが、協同組織なので保険なども完備されており、カナダの経済状況が低迷している中では悪くない労働条件といえるのではないだろうか。それに、スタッフは何より、働き甲斐のある職場だから楽しいと話してくれた。

■Web radioサービスの開始を準備中

各番組のメッセージBox
各番組のメッセージBox
 一通り説明を聞いた後、リラさんについて事務所の設備を見せてもらった。2001年に設立当時のスタジオから程近い現在の場所に移ったとのことで、中はまだ新しい(建物自体はかなり歴史があるとのことだが)。1階と中2階があり、中2階には小さなオフィスが2つとミーティングスペース、1階には2つの放送用スタジオとレコーディング用のスタジオが1つあり、更に3つ目のスタジオを使えるように現在準備中とのこと。

 私が訪問した時には一つのスタジオで男性が番組を放送し、3つ目のスタジオでは技術スタッフのダンがケーブルに囲まれて作業中だった。その他、それぞれの番組へのメッセージボックスや、いろいろなイベント情報の掲示板、音楽番組で使えるようにCDが満載されたラックなどがあり、事務所自体とてもよく整理されている印象を受けた。

 実はこのスタジオ、麻薬中毒の患者が多いことで有名なダウンタウン東側の地域にある。技術スタッフのダンさんに怖くないのかと尋ねたところ、建物の周辺には監視カメラが設置されているし、特に問題はないとの答えが返ってきた。

 また、Co-op Radioがこの地域にあり、多様な立場から発信し続けていくことには大きな意味があると思うとのことだった。さらに、将来的にはラジオなどの放送技術の訓練プログラムなども提供していきたいという計画があるとも話してくれた。

ラック一杯のCD
音楽番組用のCDはラックに一杯
 最後にリラさんに、一番の課題は何かと質問したところ、すぐに「資金」との答えが返ってきた。予算は年に18万CNDで、現在約2,000名いる会員からの会費や寄付、バンクーバー市などからの資金提供を財源にギリギリで運営している。

 少しでも出費を抑えるために、必要な物品については寄付を募ったり、ボランティアという人的資源を最大限に活用してCo-op Radioの活動を継続させようとしているそうだ。

 Co-op Radioは残念ながらまだWeb radioのサービスはないが、現在開始に向けて準備中とのこと。Webサービスが開始されたら、多様な人々がつくりあげているCo-op Radioをぜひ一度聞いてみてほしい。

(野口朋子/インフォメーション・プランナー)

関連サイト
Co-op Radio

バンクーバー市


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投稿者: ViVa! 編集部  2004年04月24日 11時07分