[ここから本文]

キャンペーンの車体広告 ワーキングホリデーでカナダ・バンクーバー在住の野口朋子さんによるレポート。今回は、環境に配慮した交通システムを実現するために様々な活動を行っている”BEST(BetterEnvironmentally Sound Transportation)”のキャンペーン”Bike Month”とバンクーバー市の自転車事情について紹介してもらう。
■June is Bike Month!
日本では6月というと梅雨で雨ばかりだが、ここバンクーバーでは反対に天気がいい時期になる。日も長くて夜は22時近くまで明るいため、さまざまなアウトドアでのイベントが行われる。

バス停にもBike Monthのポスター ”Bike Month”は、環境に優しい交通手段である自転車利用を推進することを目的としたキャンペーンで、期間中の6月には様々な団体によって企画運営されるサイクリングツアーやフェスティバルや、子供対象のセミナーなど約50もの自転車関連のイベントが行われる予定である。
BESTは、大バンクーバー地域の交通システムを管理するTRANS LINK、銀行の財団であるTDFriends of the Environment Foundation、TV局のCBC、ラジオ局のCBC1、CBC2からの資金提供や、その他さまざまな団体からの協力を得て、ポスターや情報誌の発行、自転車などがあたるクジなどを行ってBike Monthをアピールしている。

トレイルの入り口 BESTによると、昨年Bike Month関連イベントに参加したのは延べ17,000人以上、大バンクーバー地域の16歳以上の住人の42%が6月はBike Monthだと認識しているとのこと。
このBike Monthのキャンペーンを取りまとめるのは、昨年のBike MonthからBESTで働き始めたリチャードさん。Bike Monthコーディネーターの仕事について尋ねたところ、自身もイベントには出来る限り参加するので6月はほとんど休みなく走り回ることになるが、サイクリストでもある彼にとって環境に優しい交通手段である自転車をアピールするこの仕事はやりがいがあるという。
ただ、期間限定なのが問題で、昨年はBike Month終了後にレイオフがあったので、今年はどこかから助成金を獲得して年間を通してBESTで仕事ができるようにしたいとの話だった。
⇒ June is Bike Month!
“Best--Better Environmentally Sound Transportation"

サイクリングロードの看板■バンクーバーのサイクリング事情
坂が多いと言われるバンクーバーだが、サイクリングコースが縦横に整備されていて、特にこの季節にはサイクリストを良く見かける。バンクーバー市では1988年のTheComprehensive Bicycle Plan(自転車に関する包括的な計画)、1992年のThe BicycleNetwork Study(自転車ネットワークに関する調査) によって市内全域の自転車道路の計画が作成された。それに基づき1990年以降16の自転車道路が整備され、その後も新しいルートが計画されている。

サイクリングロードの自転車のサイン サイクリングロードは交通量の多いメインストリートに平行して設定されていることが多く、より安全に、かつあまり遠回りをすることなく自転車で目的地に到達することができるようになっている。ルートには通りの名前の横に自転車のイラストがついた看板が掲げられており、道路にも自転車のイラストがペイントされ、サイクリングルートであることが示されていてわかり易い。また、サイクリストが安全に道路を渡ることができるように信号機ボタンも整備されている。
http://www.city.vancouver.bc.ca/engsvcs/transport/cycling/index.htm
http://www.city.vancouver.bc.ca/engsvcs/transport/cycling/routes.htm
■自転車と一緒に市内を移動

自転車を運ぶバスが走る サイクリングで行くには遠い場所へ自転車と一緒に移動したい場合には、各種公共交通に自転車を載せることができる。バスの前面には自転車を運ぶためのラックが備え付けられているものがあり、1台当たり最大2台の自転車を無料で乗せて運ぶことが出来る。載せ方は、1.閉じられているラックを開き、2.自転車を載せ、3.前輪をロックするためのバーをセット、の3ステップ。
私も実際に利用しているが、ラック自体にも手順が書かれていてわかりやすく、初めてでも特に問題なく利用することができた。ラックに載せるときに自転車を持ち上げるのが少し大変だったが、あとはびっくりするほど簡単。下ろす時は載せる時と反対の手順を踏むことになる。

バスの前のバイクラック。使用方法が書かれている。 全てのバスに備えつけられているわけではないし、1台のバスに2台までしか載せられないので、例えば週末に郊外でサイクリングを楽しみたい、通勤時に運びたいなどの混み合う時には早い者勝ちになるのが問題だが、それでもかなり手軽だと言えるだろう。
また、ダウンタウンと郊外を結んで運行しているSkytrain(無人運行の列車)には、昨年2003年6月からラッシュアワー以外(月~金/9:30~15:00、18:30以降、土日祝祭日/終日)なら無料で自転車を載せることができるようになっている(ただし、一番後ろの車両の一番後ろのドアのところに2台までという制約あり)。
ダウンタウンと対岸のノースバンクーバーを結んで運行しているSea Bus(船)にも自転車を載せることができるので、バンクーバー近郊なら大抵の場所へ公共交通を使って自転車と共に移動することができるようになっていると言えるだろう。
http://www.translink.bc.ca/Transportation_Services/Bikes/Default.asp
■BESTについて
BESTは1991年に数人のサイクリストによって結成され、最初は主に自転車に関連する活動を行っていたが、その後対象を全ての持続可能な交通手段に広げて活動している、「綺麗な空気」、「安全な道路」、「持続可能な交通手段」をテーマに活動している非営利団体である。
1996年には”Bike to Work Week(車に代わる交通手段を促進すると同時に自転車通勤を促進するキャンペーン。現在はBike Month)”、”Commuter Challenge(持続可能な通手段の利用を促進するキャンペーン)”を開始、その後97年には”Go Green Choices program(持続可能な交通手段を促進させるための社員教育プログラム)”、99年には”Off Ramp secondary schools projects(学生を対象とした持続可能な交通手段に関する教育プログラム)”を開始。
その年に行われた州選挙の際には他の団体と協力し、市民に対して持続可能な交通に関する情報提供を行うパンフレットを作成し、州全体に配布するというような活動も行っている。2000年には”Off Ramp program”がOECDの教育/若者のカテゴリーにおいて”Best Practice”に選ばれている。現在はバンクーバーダウンタウンにオフィスを持ち、パート/フルタイムスタッフ合わせて12人を抱えて活動している。
(野口朋子/インフォメーション・プランナー)
関連サイト
BEST