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企業で働いている人にボランティアのことを知ってもらう入門講座「会社員のための『はじめてのボランティア活動ABC』」が、8月20日(金)、27日(金)の2日間、東京・千代田区の三井物産本社で開催された。企画運営は(社)日本フィランソロピー協会が協力で、両日で224名が参加した。福祉や国際協力、環境など2日間で計17団体の活動紹介とブース形式での相談会を通して、会社員に日頃触れる機会の少ないボランティアやNPO/NGOのことを知ってもらい、参加につなげていくのが目的だ。参加団体から、NPO法人「さなぎ達」を紹介する。
■ホームレス狩り事件を機に発足
NPO法人「さなぎ達」(岡田一雄理事長)は、横浜の寿町で路上生活者や、そうなりそうな人たちの自立を支援する活動を行っている特定非営利活動法人だ。さなぎ達が発足したきっかけとなったのが、1983年に山下公園で起きたホームレス狩り事件。事件以来、同団体では毎週木曜日に周辺地域の夜間パトロールを開始し、2001年から憩いの場として「さなぎの家」を開設した。緊急時に助けを求められる駆け込み寺的な役割を果たすため、さなぎの家は365日オープンだ。

『さなぎの家』の内部。明るくて過ごしやすそうだ。 ここで、さなぎ達のフィールドである寿町について少し解説すると、第二次世界大戦後米軍に接収された同町は、1955年の接収解除後に土地が売りに出され、在日朝鮮・韓国人の人たちが少しずつ購入していった。また、駐留軍や港に仕事を求めて桜木町の水上ホテルに溢れていた復員軍人や日雇い労働者が、職業安定所と寄せ場の寿町への移転を機に移転してきた。
その結果と言ってはなんだが、現在の寿町の住人約6,500人の9割以上が単身の男性だ。また、住民の3分の1が60歳以上で、8割が生活保護を受けている。しかもこの不況で一泊1500円のドヤに住めない人々が野宿をしていて、野宿者は神奈川県内で3000人、全国で20,000人いると言われている。
明るくて過ごしやすそうだ。「この街は日本の経済を映している。高齢化が進んでいて、現在、寿町の労働者の60%が60歳以上だ。」こう話すのは、理事で事務局長の桜井武麿さん。
寿の街の労働者は、殆どが日本経済成長を支えてきた建設業に従事する肉体労働者であり、バブル崩壊により、影響を大きく受け、失業者が増大した。また、そうした失業者の中には簡易宿泊施設(=ドヤ)に住むことができず、路上生活者としての生活を余儀なくされている人も多い。
それだけでなく、事業に失敗したり、会社が倒産したりするなど、さまざまな問題を抱えている失業者も多い。さらに、不況で経済的に貧しくなったために仕事から離れられず、結果として街全体の労働者の高齢化も進み、若手が育たないといった悪循環は、地域全体の問題ともなっている。
■多様で自由な活動が魅力
こうした状況にある寿町で活動するさなぎ達は、1)寿町に関する正しい情報を「ソトブキ(寿町以外で暮らす人々)」に向かって発信する、2)毛布や衣類、日用品などの基本的な支援物資の提供、3)医療や「空きドヤ」情報など生活者が必要な情報の提供、の3つの目的を柱に活動を続けている。
活動の種類は大きく「医・衣・職・食・住・メンタル」の6つに分けられる。主な活動を見ると、自分たちの街の中で助け合えるよう、ヘルパーの育成を行っている。

配膳にレジに大忙しの『さなぎの食堂』。 自ら運営するさなぎ食堂では、パン券を使える店として、食事の提供も行っている。このパン券は毎日、横浜市が路上生活している人に面接のうえ配布しており、ホームレスの人たちは、横浜市が指定した食堂やスーパーでのみ、食料と引きかえることができる。寿町の中には5-6軒、指定店があり、さなぎ食堂もその一つである。
パン券は750円分の食料と交換ができるが、現金でおつりを出さない仕組みになっている。そのため、以前は食料をまとめ買いすることしかできず、朝買った食べ物を夜冷めてから食べるのが当たり前となっていた。そこで、さなぎ食堂は一枚のパン券に対し、2枚のさなぎ券をおつりとして返す方法を考案した。一種の「地域通貨」である。
これで、さなぎ券があれば、空腹時にいつでも好きな時に食べに来ることが可能となった。無理に食券を使い切る必要もないし、冬場には暖かい豚汁で体を温めて貰う事もできるようになった。また、最近では緑化プロジェクト「寿緑化」もスタートさせた。緑化を通じて、皆の心を癒すのが一番の狙いだ。
このように、さなぎ達は、路上生活者の自立支援を、精神面を中心に据えて行うことで、生活者自身が自分たちを支援し、生活の質全体を向上させ、精神的・身体的に自立した生活ができるようになる「自立自援」の実現を目的として活動している。
さなぎ達の活動の魅力について、インターンをしている学生は「とにかく自由」である点と話す。「はじめ、寿町の前をたまたま通りかかった時に、この街がどういう街だとか、さなぎ達の活動などについても全く知らず、一体どんな街なのかと思ってインターネットで調べたところ、この団体にたどり着きました。今はインターンをしていますが、皆やりたいことを自由にやって、楽しんで活動していて、とてもいい雰囲気です」。
さなぎ達のウェブサイトには、「路上生活者の巣立ちを支援し、人それぞれの生きがいを共に発見していきたいと思います」との言葉が掲げられている。お互いを認め、同じ立場に立って一緒に生きていこうとする姿勢が、インターンの言う自由さにもつながっているのかもしれない。
路上生活者には、身体的な疾患だけでなく、アルコール症や薬物の依存症など、精神的な病を抱えている人も多い。彼らを社会のさらに隅に追いやったり、知らん振りを装ったりするのではなく、路上生活者が置かれている状況やそこに至った経緯、社会的な背景を理解し、地域全体の問題として皆で解決策を探っていく姿勢が必要だ。
さなぎ達は、活動を通してその実践に挑戦し続けている。
(高井彩/ViVa!コンテンツサポーター)
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さなぎ達