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<2005年10月10日、OurPlanet-TV(東京・文京区他で)>
世界には様々な問題があるのに、視聴率重視の既存のテレビ局では、世界や地域で起きている現実を十分に伝えているとはいえない・・。マスメディアが見落としがちな事柄にも光をあて、インターネット配信している独立系映像メディアのOurPlanet-TVでは、10月10日に行われた「東京夢舞いマラソン」で、市民主体のマラソン中継(インターネットによるライブ配信)を行った。このインターネット中継に、実際にボランティアとして参加した。
■東京夢舞いマラソン・・都内42.195kmを走る市民ランナー達
「世界の先進国主要都市には例外なく万人単位のランナーが参加できるマラソン大会がある。トップランナーもファンラン・ランナーも、障害の有無を問わずに誰もが走れるマラソン大会を都心に創設したい。」という想いから始まった「東京夢舞いマラソン」。
2001年に77人のランナーが走った初回から大会は規模を大きくし続け、6回目となる今年は2500名の参加者を募集するまでになった。現在はまだ実現には至っていないが、車道を走る本格的な国際市民マラソンの開催という夢に向けて活動している。今回のコースは、日比谷公園をスタートし、ほぼ都営大江戸線に沿って歩道を走る42.195km。レースではなく、制限時間もないため、観光名所を走りながら見物できる。
■インターネット中継前日
今回のこの中継、実は東京夢舞いマラソン開催の2週間ほど前に急遽実現が決まった企画だという。マラソンコースのスタート・ゴールである日比谷公園と、コース途中の4ヶ所に中継ステーションを設置、ボランティアがカメラとPCをインターネットにつなぎ、ライブ放送を実現する計画が立てられた。
マラソン大会前日の10月9日、OurPlanet-TV事務所において、ボランティア説明会が開催され、約30人ほどが集まった。当日の役割分担が配布されて確認すると、私は浅草中継ポイントのカメラ担当。ほとんど操作したこともないのに、大丈夫なのだろうかという不安がよぎるが、他のボランティアも初めての役割が割り振られているケースばかりなので、妙な安心感も覚えた。続いて、役割ごとに当日の中継の流れ、中継地点毎のポイントなどについて説明があり、随時質問を交えて確認が行われた。
説明の後は、実際に各中継ポイントに出向き、下見と配信確認を行う。浅草チームは、映像編集の仕事をしているという女性がディレクター、リポーターにはインターネットでイベントのことを知って応募したという女子大生、エンコーダーにはOurPlanet-TVでインターン中の男性、そしてカメラマンの私の4人。
皆で手分けして機材を持って移動する。現地に到着後、PCを設定し、持参したケーブル(100m)でインターネットにアクセスできるように作業。その後、カメラをつなぎ、ケーブルを伸ばして、カメラ位置などを決める作業に入る。当初はケーブル100mの長さを生かし、カメラが動く撮影が想定されていたのだが、実際には、ケーブルをさばきつつ動くのはかなり大変であることが判明。歩道上での撮影なので、道にケーブルを這わせると歩行者・ランナーが引っかかる危険性が大きいのだ。
その反面、浅草らしさを出すのに雷門を入れたい、とか、給水所のボランティアの様子も撮りたい・・ということもあって、なかなかポイント設定が難しい。しかし、しばらくの試行錯誤の後、カメラ位置も含めて中継の大雑把な流れも決まり、一安心。
あとは配信確認のテストを待つばかりになったのだが、何か機器トラブルがあったとの連絡に一同不安になったものの、待つことしばらく、ようやくテスト開始可能の連絡が入ってホッとする。カメラを回して周りで見守っていると、PC画面にカメラの映像が映った!しかも、かなりクリアな映像だ。カメラ付属マイクしかないので危惧していた音声も、きちんと伝わってきているし、技術の進歩はすごい!と関心。ただ、カメラとインターネット配信には約20秒のタイムラグがあるので、それが少し不思議な感じがした。その後、テストOKの連絡があり、大会前日の準備は終了となった。
■雨にも負けず・・走る気満々のランナー達
翌朝、窓を開けると外は雨。しかもかなり降っている。どうなるのだろう・・と不安になる中、日比谷公園に向かった。地下鉄の日比谷駅の改札を出ると、あちこちに夢舞マラソンのゼッケン、Tシャツをつけた参加者が見受けられる。カッパを着たり、ビニールを上から被ったり、レインコートを着たりと皆さんの雨対策は万全で、そこに走る意気込みが感じられ、本当に走るのが好きなのだという印象を受けた。
マラソンのスタートは9時。スターターは、オリンピック金メダリストの荻原健司さん。そして、ついにスタート!その頃には雨は少し小降りになっていた。信号のある歩道を走る42.195kmの始まりだ。今回はランナーの他に、走路・給水所スタッフ、本部スタッフで400名を超えるボランティアも活躍している。
■浅草中継ポイントにて
さて、9時にスタートしたランナー達だが、信号のある歩道を走るため、30km地点手前の浅草中継ポイントに到達するのは11時過ぎと予想される。浅草中継ポイントでは電源等をお借りしているお店「まるごと北海道」の開店時間に合わせて集合、カメラのセットアップ、ネットの接続確認を行った。少し離れたところにある給水ポイントでは、ボランティアの方々がテントを設営し、準備に余念が無い。
雨は小降りにはなったものの降り続いており、カメラ、PCへの影響が心配される。そのため、昨日打合せた撮影ポイントを変更、お店の軒先にPCを設置できるようにセッティングすることに。雷門とランナーを捉えられるように三脚を設置して、カメラを回し始める。
インターネット中継のメイン画面の映像はメイン会場で操作するのだが、地図中の各中継ポイントをクリックするとサブ画面でその地点のカメラ映像が流れる仕組みになっているので、サブ画面がつながった時点で中継は実質開始となる。最初にメイン画面に流れた中継は、青山のキラー通りから。ランナーが次々に走り抜けていく様子が送られてきた。
浅草の前の中継地点は隅田川なので、そちらの映像を確認しつつ準備を進め、ランナーを待つ。隅田川の中継では、夢舞マラソンのテーマ曲を歌う「ひなたぼっこ」のライブの準備の模様なども見えて面白い。そうこうするうちに、とうとう最初のランナー集団が浅草に到着!カメラでランナー達を捕らえ、リポーターがゼッケン番号を読み上げて声援を送る。
それからは、(たぶん信号の関係で)ある程度の間隔を置いてランナー集団が通り過ぎるたびに、ゼッケン番号を読み上げて声援を送り続けることとなった。それにしても、30kmを走ってきたというのにランナーの方々には疲れも見えない。信号待ちをしていらっしゃる所で感想を聞くと、一様に「楽しい!」という返答。本当に楽しんで走っていらっしゃる様子が印象に残った。
■ハプニング発生
さて、浅草にメイン画面の中継が回ってくる13時が近づいてきた。メイン会場とディレクターが携帯で連絡を取り、インターネットでメイン会場をチェックしつつ、タイミングを待つ。そして、「Go!」。リポーターがカメラの横で話し始める。浅草給水ポイントのボランティアで、日本に住む外国人のグループ「南蛮連合」メンバーのカレンさんのインタビューが終了。
続いて、お世話になっているお店「まるごと北海道」の店員さんのインタビューに移ろうとしたときに、ハプニングは起こった。カメラを移動する際、焦って引っ張り過ぎたため、カメラとPCをつなぐケーブルが外れてしまったのだ。慌てて復旧作業をするが、メイン画面の中継は日比谷会場に戻される。せっかく上手く行っていたのに・・。しかし、起こってしまったことは仕方が無い。再度インターネットに接続、気を取り直して浅草を走り抜けるランナーの姿を送り続ける。
タイミングを見て、再度メイン画面の中継で「まるごと北海道」インタビューを送ることになったのだが、その頃にはランナーがゴールし始めており、中継はどうしてもそちらに集中し、なかなかタイミングが無い。しばらくして日比谷から指示があり、インターネット中継最後に中継が回ってくる旨が伝えられた。
だんだんと走り抜けるランナーの数は少なくなってきて、とうとう最後を守って走るしんがり隊の皆さんが到着。そして、インタビューを受けるようにとの指示を受けたのですが・・と伝えてきた。これは浅草チームには初耳だったために少々戸惑ったが、ディレクターがメイン会場と連絡を取り、段取りを確認。無事に「まるごと北海道」としんがり隊のインタビューを中継し、終了!となった。
■ボランティアの手によるインターネット中継
この中継が可能となったのには、配信にかかわった約50名のボランティアスタッフの力が大きい。また、ケーブルの制作費やパソコンのレンタルなどで経費が20万円ほどかかったが、ストリーミングのホスティング会社「デジタルスタジオ」が無償でサーバーを提供してくれたほか、インターネット中継ポイントの確保には個人宅やお店が協力してくれるなど、さまざまな人や会社の協力を得た。
さらに、詳細は省くが、携帯電話FOMAを使用したネット中継も試みられ、予想を超えた成果を出したという。そして、マラソン中継最中には、設置されたインターネット掲示板への書き込みも行われ、同時性・双方向性を確認できるイベントになった。また、当日の中継内容は編集し、ホームページで見られるようにする予定とのこと。2週間という短い準備期間にも関わらず、これだけの物事をコーディネートして無事に中継を行ったということに、改めて驚きを感じる。
一流選手から障害者まで誰もが都心を走れる国際市民マラソンを目指す夢舞いマラソンを、市民のメディアをめざすOurPlanet-TVが中継した今回のイベント。今後、こういった市民の活動を市民が伝えていく試みがますます進んでいくことが期待される(野口朋子/インフォメーション・プランナー、ViVa!コンテンツサポーター)。
<関連HP>
・OurPlanet-TV
・東京夢舞いマラソン
・デジタルスタジオ