[ここから本文]

市民活動スクランブル

このコーナーでは、さまざまな分野で活躍するNGO・NPOなどの 市民団体・非営利団体の活動やイベント、最新動向をお伝えするコーナーです。 専門家、ジャーナリスト・ライターによるレポートや、団体・活動家自身による 報告をもとにお届けします(現在データ移行中です。全コンテンツはこちらから)。

2005年11月18日

情報社会は誰のものか?/WSIS Tunis現地リポート2

<短期集中連載>WSIS Tunis現地レポート

第2回 情報社会は誰のものか?

今日11月15日は、準備会合PrepCom-3の最終日です。JCAFEの浜田代表と原田先生は、それを受けてこの夕方開かれている、Civil Society(CS=市民社会)の全体会議(Plenary)に出席しています。私は入れなかったので、外でこの原稿を書いています。時々激しく拍手も起こっています。中で何か良いことがあったのでしょうか。期待が持てます。

■アジアからの参加

AIさんと浜田さん、筆者らさて、今日はJCAFEのメンバーが参加している、Asia-Pacific caucusのミーティングがありました。フィリピンから参加のAIさん(写真右から2番目)がコーディネーターで、メーリングリストの管理者は浜田さん(写真左から2番目、一番左が筆者)です。WSISの状況に関する情報交換とともに、本会議へのOverpass(参加証)や、今後の活動などについて話し合いました。写真では酔っ払っているようにしか見えませんが、終わったあとのコンパの風景だからで、日本からは会津泉さん、そして慶応義塾大学の森祐介さんも参加して、議論を戦わせていました。

WSISのアクターは、大きく、政府、国際機関とともに、企業(Private Sector)、そして市民社会に分かれています。CSは、地域別と、テーマ別、課題別のグループなどに分かれ、地域での特色や個別テーマでの問題をWSISでの議論に訴え、反映させる活動を続けています。このような地域別、テーマ別での知識の集積こそが、政府・国際機関・企業とは異なった力を、市民社会での活動に与えているわけです。

■WSISの中での“障害者”

北海道の「べてるの家」について発表するDAISY今日はもうひとつ、ぜひご紹介したいCaucusがあります。国立身体障害者リハビリテーションセンターの河村宏先生が中心になっているPersons with disabilities(PWD=障害を持った人)です。私も日々実感してきたのですが、ICTはさまざまな障害のある人たちにとって、価値の高い、不可欠なエンパワーメントツールとなっています。しかしそのような状況は、初期のWSISのプロセスでは十分認知されていませんでした。そこをPWDが中心になって提言し、知らしめて、反映させてきた経過があります。日本障害者リハビリテーション協会の野村美佐子さんなど、DAISYコンソーシアムに関わる多くの方々が携わっており、世界において日本がその一翼を担う、誇れる業績のひとつだといえるでしょう。

11月15日には、DAISYコンソーシアムのグローバル・フォーラムがありました。私も行ったのですが最初はすし詰め状態の盛況ぶりで、中に入って聞けませんでした。静岡県立大学の石川准先生の講演があったとのことで、以前、ジョークを交えた英語のスピーチをお聞きして以来、すっかりファンになった私としては極めて悔やまれるところです。個人的事情はさておき、世界が、これまで特別な問題と思われてきたいわゆる“障害者福祉”とされる分野でのICTに、熱く注目していることをわかっていただけるのではと思います。

■コミュニティが織り成す情報社会

この日はもうひとつのセッションに参加してきました。ご存知マイクロソフト(株)のCommunity Affairsが開催したものです。前述のとおり、浜田さんと私は、日本ではマイクロソフトが行っているUPプログラムをきっかけに知り合いました。このセッションでは、世界各地でのマイクロソフトの支援事業について聞くことができ、世界企業が社会貢献をめざす場合の範囲、そして内容のあまりの幅広さに、いろいろ考えさせられました。

筆者とBrosnanさんそこでパネラーとして参加していたのがBrosnanさん(写真左下)です。彼はアイルランドのジャーナリストで、NPOの活動家で、詩人でもあります。その自己表現を担うのはWords+というソフトです。彼はパソコンを使って、日常会話、文書作成はおろか、メールやウェブまですべてこなし、著名な活動家としての業績をお持ちでいます。彼がマイクロソフトのパネラーとして講演し、議論にも参加しているという事実もまた、情報社会の重要な成果なのです。

WSISに参加してもっとも強く感じることは、いろいろなコミュニティが、人々が集まって、情報社会を作り上げ、織り成しているということです。その中では、ITUも、国家も、アメリカも、日本政府でさえ、ひとつの参加アクターに過ぎません。今、WSISでも、発言できる組織の正統性が問題になっていると聞いています。国家や企業と異なり、組織としての裏づけが弱いCSの各コーカスは、どうしてもその問題に直面してしまうようです。しかし逆に、さまざまな会合で政府代表が発言し続けるのを聞いていると、その意見がどこまで正当に現在の情報社会を代表したものなのか、疑問が湧き上がっています。

いよいよ明日、本会議がはじまります。もうできることはあまりなく、さじは投げられた状態だといってよいでしょう。WSISの成果が、現在の情報社会のあり方を正しく代表し、そのよさを生かしてくれるものであることを願ってやみません。(つづく)
(レポート=柴田邦臣/大妻女子大学社会情報学部、ViVa!コンテンツサポーター、写真も)。

<短期連載>WSIS Tunis現地レポート <第1回> <第2回> <第3回> <第4回> <第5回>

<関連HP>
■国内のサイト
市民コンピュータコミュニケーション研究会(JCAFE)
市民のための情報とIT技術のサイト(JCAFE運営)
障害保健福祉研究情報システム
国連のサイト
総務省

■海外のサイト
世界情報社会サミット公式ページ(英語)
進歩的コミュニケーション協会(APC)「市民社会と情報社会サミット」
World Summit on Information Society
World Wide Volunteer

投稿者: http://www.viva.ne.jp/  2005年11月18日 20時02分