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今日は11月17日。私は今、WSISの本会議(WSIS Plenary)の会場にいます。我らが竹中平蔵総務相のスピーチ中なのですが、発音は良いのですけれど内容はそれなりみたいなので、暇をもてあまして原稿を書いています。本会議場にはOverpass(参加証)が必要ですが、会議の状況を伝えるという仕事の理由ができて、時間も取れたので、いろいろな意味でこのレポートを書くことができました。
■いよいよ本会議、事務総長の言葉に関心高く
WSISの本会議は11月16日に始まりました。ですので、このレポートは一日遅れになっています。その理由は後述しますが、昨日はいろいろなミーティングに参加したり、インタビューしたり、お酒を飲んだりと大変だったのです。
本会議ではアナン事務総長のスピーチがありました。今は比較的空いている本会議場のホールも、そのときばかりは大変な混雑でした。参加証を持っていない人は食い入るように外のモニターを見つめ、中には入り口に詰め掛けて騒ぎになったりもしていて、彼の言葉への関心の高さを伺わせました。終わった後で周りの人にインタビューしたのですが、評価は二分されました。「重みのあるよい内容だった」という人もいれば、「踏み込みが弱くがっかりした」という人もいました。ただ、全体的には後者の方が多く、私もせっかく彼の地元アフリカでの開催なのですから、もっともっとそのあたりに分量を割いてもよかったのではと思いました。人や団体による立場の違いもあるのでしょうが。
■CSに対する態度の厳しさを実感
さて、昨日大変なことになっていたのは、もちろんWSIS、特にCivil Society(CS)で、私はそれに引きづられて右往左往していただけです。そもそも、昨日のCSPlenary(CS総会)もおかしなことになっていたようでした。浜田さんや原田先生によると、外で聞こえていた拍手や歓声は、実はチュニジア関係のNPOなどの発言に向けたもので、しかも、同じようなことを交代で何度も発言して議事を止め、それに対して一部から拍手が起こる、というようなものだったようです。チュニジア政府の差し金とは思いたくありませんが、議事妨害に近いものといわざるを得ません。
CSに対する態度の厳しさは、あらゆる方面で感じることができます。例えば、ネットが自由に使えるサイバーカフェがあるのですが、プリントが一人10枚までと決まっています。それでは自分達の資料はおろか、WSISのアジェンダも全部印刷することができません。常に係りの人が見張っているのでどうして駄目なのか聞くと、「CSのスペースで印刷しろ」ということになります。何か資料をもらおうとしても、すぐ「CSで聞け」と言われたりして、がんばってやっともらえる有様です。
一方のCSのスペースはというと、事務局と会議室が4つ、小会議室が3つ、あとは机が数個、パソコンと紙切れのプリンタが5台ぐらいで、そこをみんな交代で使っているのが実態です。私もよく床に座り込んで、パソコンの電源を奪い合っています。
以前の国連のサミットに比べ、NGO、NPOはCSとして、より正式に認知されるようになり、会議での発言権を獲得したり、環境を提供されたりと、扱いが良くなっていると言われたりします。しかし、その一方でWSISでは、発言しても意見が反映されなかったり、実際の決定段階で参加できなかったり、狭い場所に押し込められたりします。いつも込んで混乱しているCSスペースを見ていると、会場の隅っこに飛び出すかたちであることもあって、まるでガス抜きの弁であるかのように感じるのは、うがちすぎでしょうか?
■アジェンダ(Agenda)とCommitment(コミットメント)
先ほど、最終のアジェンダとコミットメントが発表されました。延長戦を繰り広げて、やっと出たようです。私の周りの人の評価も、また分かれていますが、全般的にすべて納得のいくないようではないようです。さっと見た限りでも、例えば、障害者向けや文化的多様性に関しては大きく言及されている一方で、問題が多いサイバー犯罪条約に関する言及も入りました。関心を持つ方も多いであろうネットガバナンスに関しては、インターネット・ガバナンス・フォーラムが設置され、そこで議論されることになりました。以上については、詳しくわかり次第、お届けしようと思います。
それにしても今日は情報に振り回された一日でした。「アメリカがどうこう」「ホストのチュニジアがどうこう」と。アジェンダとコミットメントにCSの意見が十分反映されていないので、CS独自に宣言(CSdeclaration)を出すということになりそうですが、それもホストカントリーの意向で事務局が認めないのではないか、という噂まで流れています。
このWSISでCSは正規のメンバーとして招かれ、共に情報社会を構成するメンバーであるはずです。誰がサミットを動かし、誰が動かされているのか、考えてしまう出来事が多くなっています。(つづく)
(レポート=柴田邦臣/大妻女子大学社会情報学部、ViVa!コンテンツサポーター、写真も)。
<短期連載>WSIS Tunis現地レポート <第1回> <第2回> <第3回> <第4回> <第5回>
<関連HP>
■国内のサイト
・市民コンピュータコミュニケーション研究会(JCAFE)
・市民のための情報とIT技術のサイト(JCAFE運営)
・障害保健福祉研究情報システム
・国連のサイト
・総務省
■海外のサイト
・世界情報社会サミット公式ページ(英語)
・進歩的コミュニケーション協会(APC)「市民社会と情報社会サミット」
・World Summit on Information Society
・World Wide Volunteer