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2005年07月01日

秋田・鷹巣町「高齢者安心条例」廃止提案に異論あり

 「高齢者虐待防止」の法制化が進む中、高齢者福祉を先駆的に進めてきた、秋田県鷹巣町が制定した「高齢者安心条例」(2002年4月施行)が、「廃止」の危機に晒されています。6月に開かれた初議会で、新市長は同条例の廃止を議会に提案。結論は9月議会に持ち越されましたが、まさに「風前の灯」と呼ぶべき状況です。前町長の岩川徹さんが現状を伝えてくれました。


 鷹巣町は「住民参画の福祉のまちづくり」を、ワーキンググループを中心とした住民と行政が一体となって進めてきました。その結果、日本の自治体として初めてのホームヘルパー24時間派遣、介護・看護の人手の充実、全室個室・ユニットケアの老人保健施設「ケアタウンたかのす」の建設等、高齢者に提供される介護サービスはかなり整備されました。

 さらに、介護保険制度の下、保険者である鷹巣町は、高齢者の尊厳を守ることを最大の価値と考え、介護を必要とする高齢者の人権を守る防波堤として「高齢者安心条例」を制定しました。
 施設において、認知症(痴呆症)高齢者の自由意志や自己決定が否定されたり、その行動が管理・制限されたりする事態が簡単に起き得ます。条例では、サービス提供者による、こうした高齢者の心身への介入行為を一括して“権力行使”と呼んでいます。

 例えば、利用者の手の動きを押さえたり、手や腕を取って本人の意志に反する方向に誘導したり、といった日常生活の中で何気なく行われている職員の行為も“権力行使”に当たります。鍵を掛けて利用者を部屋に閉じ込めたり、センサーや監視カメラを設置して利用者を見張ったりする行為は勿論のこと、中でも一番大きな“権力行使”が身体拘束です。

 町内の高齢者施設で起きた“権力行使”を毎月記録し、これを行政に報告することが条例上では義務付けられています。条例の目的の一つは、毎月報告される“権力行使”をどうしたら「ゼロ」に近づけることができるのか、施設職員が記録を教材にして学習することにあります。こうした学習を通じて、職員の「介護の質」を高めていくことが町全体のレベルアップに繋がっていくからです。
 鷹巣町は、「介護の質」を高めることで高齢者の人権を守り、合わせて「高齢者虐待防止」を実現しようとしたのです。

 今年3月、鷹巣町は周辺三町と合併し、人口4万人の北秋田市となりました。一つの町は高齢化率が43%を超えていました。日本の中でも最も高齢化が進んだ自治体の誕生です。
 そして6月、初議会が開催されました。驚いたことに、岸部陞・新市長は「高齢者安心条例」の廃止提案を議会に行ったのです。提案理由は「縛ることは刑法で罰せられるので、何も条例をつくるまでも無い」、だそうです。議会は、結論を9月議会で出すことを決めました。

 「高齢者虐待防止」の法制化が進む中、そのモデルとも言える大切な条例が風前の灯です。皆様のお力をお貸しください。(岩川徹・前鷹巣町長/投稿)

鷹巣町

投稿者: JCAFE事務局  2005年07月01日 20時00分
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